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【新婚旅行編】旅行前日:一瞬一瞬を余すことなく
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「であろう! 流石は我が同志! 気に入ってくれて何よりである!」
バアルさんの側から俺達の元へと、一目散に駆け寄ってきたヨミ様のご尊顔はキラッキラ。得意満面に黒い羽を揺らしているご様子からは、若くして地獄を治める王様の威厳は何処へやら。褒めて欲しいと親に期待の眼差しを向けてくる子どものような無邪気さしか感じられない。
いつもの俺の斜め前、一人掛けの大きなソファーの真ん中で、しなやかな足を高々と組んでから言葉の続きを待っている。
「……はい、ホントにカッコよ過ぎて……心臓がもたないと言いますか」
「であろう!」
重ねてお礼を言おうとしたところで、食い気味にヨミ様が身を乗り出して賛同してくれた。続けてお向かいのソファーのグリムさんが、丸い薄紫色の瞳を輝かせ、小さな拳を握りながら立ち上がった。
「やっぱり、バアル様は何を着てもカッコいいですね! アオイ様も、いつも可愛くてカッコいいですけど!」
「ひぇ……」
「うむっ! 流石はグリム、分かっておるな!」
座ったままグリムさんの背を撫でながら、クロウさんが微笑む。
「気が早いですけど、お二方が仲睦まじいご様子でビーチを歩む姿が目に浮かびますね……」
「うむっ! 気が早くなどはない、私もだぞ、クロウ。是非とも二人には、かけがえのない思い出を沢山作ってきて欲しいものだ……そして、土産話だけでなく、写真や動画も沢山残してきてくれると尚良いのだが……」
「ぼ、僕も見たいです……お二人の旅行の思い出……」
「是非、拝見させて頂きたいですね……」
気持ちのグラフが乱れまくっている。
ただでさえ、レアなバアルさんのリゾートコーデを浴びた直後に身に余るお褒めの言葉を被弾して。温かいお気持ちに胸がじんわりして。三人から期待に満ちた眼差しをチラチラ向けられて。
トドメに、いつの間にやら側に来ていたレタリーさんから断言されたのだ。
「バアル様がご一緒なのです、ご心配なさらずとも愛らしいアオイ様の一瞬一瞬を逃すことなく収めてきて下さるかと」
「ひょわ……」
その執事服に見合った角度のついたお辞儀を披露した彼だけでなく、コルテまで。どこか気合十分に小さな身体を緑色に瞬かせ、針よりも細い手足で掲げたスケッチブックに「万が一の時は、こっそり撮影しておくから!」と名乗りを上げている。
お気持ちはスゴく有り難い。けれども俺的にはバアルさんを中心に、彼の一瞬一瞬を余すことなく記録していて欲しいんだが。
熱くなっていた頬に、不意に柔らかい温もりが触れる。
はたと顔を向ければ、バアルさんが俺の隣に腰掛けていた。撫でてくれていた手を引っ込めたかと思えば、長く筋肉質な腕を肩へと回してくる。
優しく掴まれ、抱き寄せてもらえて、服越しでも弾力のある胸板へと頬を寄せてしまっていた。無防備な首元から香ってくるハーブの匂いに、触れ合えた安心できる温もりに、自然と胸が踊り出してしまう。煩い音が伝わってしまいそう。
なのにバアルさんときたら。頭を撫でてくれながら、慈しむような微笑みまで。お陰様で、余計にやかましくなってしまっていた。
「……無論、投影石にて常に記録していくつもりですのでご心配なく。ただ、一部は非公開にさせて頂きますが」
「えー……確実にその一部に含まれているであろうアオイ殿が格別に愛らしいであろうに……ケチであるなぁ……」
「何とでも……それよりも、私からもお礼を……大変良いお品をありがとうございます」
拗ねたように唇を尖らせている王様へ、ことさらキレイな笑顔を向けてみせてからバアルさんは話題を変えた。撫でてくれていた手を止め立ち上がり、深々と頭を下げた。慌てて俺も彼に続いて立ち上がり、頭を下げた。
バアルさんの側から俺達の元へと、一目散に駆け寄ってきたヨミ様のご尊顔はキラッキラ。得意満面に黒い羽を揺らしているご様子からは、若くして地獄を治める王様の威厳は何処へやら。褒めて欲しいと親に期待の眼差しを向けてくる子どものような無邪気さしか感じられない。
いつもの俺の斜め前、一人掛けの大きなソファーの真ん中で、しなやかな足を高々と組んでから言葉の続きを待っている。
「……はい、ホントにカッコよ過ぎて……心臓がもたないと言いますか」
「であろう!」
重ねてお礼を言おうとしたところで、食い気味にヨミ様が身を乗り出して賛同してくれた。続けてお向かいのソファーのグリムさんが、丸い薄紫色の瞳を輝かせ、小さな拳を握りながら立ち上がった。
「やっぱり、バアル様は何を着てもカッコいいですね! アオイ様も、いつも可愛くてカッコいいですけど!」
「ひぇ……」
「うむっ! 流石はグリム、分かっておるな!」
座ったままグリムさんの背を撫でながら、クロウさんが微笑む。
「気が早いですけど、お二方が仲睦まじいご様子でビーチを歩む姿が目に浮かびますね……」
「うむっ! 気が早くなどはない、私もだぞ、クロウ。是非とも二人には、かけがえのない思い出を沢山作ってきて欲しいものだ……そして、土産話だけでなく、写真や動画も沢山残してきてくれると尚良いのだが……」
「ぼ、僕も見たいです……お二人の旅行の思い出……」
「是非、拝見させて頂きたいですね……」
気持ちのグラフが乱れまくっている。
ただでさえ、レアなバアルさんのリゾートコーデを浴びた直後に身に余るお褒めの言葉を被弾して。温かいお気持ちに胸がじんわりして。三人から期待に満ちた眼差しをチラチラ向けられて。
トドメに、いつの間にやら側に来ていたレタリーさんから断言されたのだ。
「バアル様がご一緒なのです、ご心配なさらずとも愛らしいアオイ様の一瞬一瞬を逃すことなく収めてきて下さるかと」
「ひょわ……」
その執事服に見合った角度のついたお辞儀を披露した彼だけでなく、コルテまで。どこか気合十分に小さな身体を緑色に瞬かせ、針よりも細い手足で掲げたスケッチブックに「万が一の時は、こっそり撮影しておくから!」と名乗りを上げている。
お気持ちはスゴく有り難い。けれども俺的にはバアルさんを中心に、彼の一瞬一瞬を余すことなく記録していて欲しいんだが。
熱くなっていた頬に、不意に柔らかい温もりが触れる。
はたと顔を向ければ、バアルさんが俺の隣に腰掛けていた。撫でてくれていた手を引っ込めたかと思えば、長く筋肉質な腕を肩へと回してくる。
優しく掴まれ、抱き寄せてもらえて、服越しでも弾力のある胸板へと頬を寄せてしまっていた。無防備な首元から香ってくるハーブの匂いに、触れ合えた安心できる温もりに、自然と胸が踊り出してしまう。煩い音が伝わってしまいそう。
なのにバアルさんときたら。頭を撫でてくれながら、慈しむような微笑みまで。お陰様で、余計にやかましくなってしまっていた。
「……無論、投影石にて常に記録していくつもりですのでご心配なく。ただ、一部は非公開にさせて頂きますが」
「えー……確実にその一部に含まれているであろうアオイ殿が格別に愛らしいであろうに……ケチであるなぁ……」
「何とでも……それよりも、私からもお礼を……大変良いお品をありがとうございます」
拗ねたように唇を尖らせている王様へ、ことさらキレイな笑顔を向けてみせてからバアルさんは話題を変えた。撫でてくれていた手を止め立ち上がり、深々と頭を下げた。慌てて俺も彼に続いて立ち上がり、頭を下げた。
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