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【新婚旅行編】三日目:トロピカルフルーツってどんな味?
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屋台が多いだけあって、食事が出来るようにテーブルが並べられたちょっとしたスペースや、座って休めるベンチもところどころにある。たまたま空いていたベンチに俺達も腰掛け、お饅頭をいただこうとしたのだが。
「…………」
「…………」
なんか、気まずい。なんて言ったらいいんだろう? 分かんないし、自分の今の気持ちも説明し辛い。唯一分かっているのは、照れくさいってことだけだ。多分、それはバアルさんも一緒なハズで。
「えっと……トロピカルフルーツって、どんな味なんですかね?」
「そう、ですね……暖かい気候で育った果物の爽やかな甘みが特徴だとか。基本的にはパイナップルやマンゴー、バナナなどが使われた味を指すとのことでございますが……もしかしたら此方で採れるパッションフルーツやドラゴンフルーツ、グアバなども使われているのやもしれませんね」
振った話題に即座にのってくれた優しさもだが、流石の知識量だ。ぼんやりと、なんか夏が近くなったらそういう味のジュースが売られ始めるよね、くらいの感覚だった俺とは違って。
「へぇ……じゃあ、早速食べて確かめてみましょうよ。折角、蒸し立てなんですから、冷めちゃったらもったいないですし」
「ふふ……左様でございますね」
流れを変えることに成功したようだ。バアルさんに柔らかな笑みが戻ってホッとする。
紙袋から取り出されたお饅頭は見た目からしてフカフカそう。俺だったら触っただけで、あっちっちとなりそうなくらい、まだ湯気を漂わせているけれど、バアルさんはへっちゃら。
涼しい顔をして先ずは半分に、そうしてお目見えした中身のクリームは鮮やかな黄色……いや、オレンジ? いや、それら両方の色が混ざったような。とにかくキレイでトロリとしていた。
半分にした内の一つを術で宙に浮かべてから、手元に残っている片割れをさらに食べやすいようにちぎってくれる。
「どうぞ、アオイ。お気をつけて召し上がって下さいね」
「はいっ、いただきます」
細く長い指から差し出された、クリームと生地のバランスが丁度いい一口を慎重にいただく。舌や上顎を火傷することはなかったものの、アツアツだ。口にしてすぐは、はふはふと外気を取り入れるのに必死で味わえない。
「アオイ、大丈夫ですか?」
心配そうに見つめる彼に頷いてみせても、細められた瞳には不安が残っている。取り除けたのは、口いっぱいにジューシーな甘みが広がってから。
「ん……おいひいでふっ」
笑顔で感想を伝えられてからだった。小さく息を吐き、目尻のシワを深くしたバアルさんが頭を撫でてくれる。
「左様でございましたか……それは何よりです。では、お願いしても?」
また、いつの間に。俺が熱い思いをしないようにだろう。紙ナプキンを持ち手にした、一口サイズにちぎった饅頭を俺に手渡してくれる。受け取って、触角を揺らして待つ彼の形の良い唇へと近づけた。
「はい、どうぞ」
「頂きます」
器用に饅頭だけを口にした彼の頬がもくもくと動く。
「……美味しいですね。甘さは濃厚ですが、程よい酸味が後からくるのでサッパリと頂けますね」
「確かに。ぺろっと食べられちゃいそうですね」
前のめりに頷いたもんだから、おかわりを所望したと思われたのだろう。再び一口サイズの饅頭をいそいそと俺の口元へと運んでくる。
このままでは、元々の二つどころか、おまけの方まで俺の胃袋に収まってしまいそう。負けじと俺も、バアルさんにあーんしたいと強請った。
珍しく俺の思惑は大成功。饅頭四つを二人で丁度はんぶんこに出来たのだけれども。
「……それで、どのようなお味かは分かりましたか?」
「んー……分かんなかったです。甘くて美味しいってことくらいしか」
「ふふ、私もです」
「ですよねっ」
トロピカルフルーツがどんな味なのかは、お互いに最後の一口を食べ終えても謎なままだった。すっかり聞き忘れてしまっていた俺だけの謎、何で新婚さんだと気づかれたのかってことも。
「…………」
「…………」
なんか、気まずい。なんて言ったらいいんだろう? 分かんないし、自分の今の気持ちも説明し辛い。唯一分かっているのは、照れくさいってことだけだ。多分、それはバアルさんも一緒なハズで。
「えっと……トロピカルフルーツって、どんな味なんですかね?」
「そう、ですね……暖かい気候で育った果物の爽やかな甘みが特徴だとか。基本的にはパイナップルやマンゴー、バナナなどが使われた味を指すとのことでございますが……もしかしたら此方で採れるパッションフルーツやドラゴンフルーツ、グアバなども使われているのやもしれませんね」
振った話題に即座にのってくれた優しさもだが、流石の知識量だ。ぼんやりと、なんか夏が近くなったらそういう味のジュースが売られ始めるよね、くらいの感覚だった俺とは違って。
「へぇ……じゃあ、早速食べて確かめてみましょうよ。折角、蒸し立てなんですから、冷めちゃったらもったいないですし」
「ふふ……左様でございますね」
流れを変えることに成功したようだ。バアルさんに柔らかな笑みが戻ってホッとする。
紙袋から取り出されたお饅頭は見た目からしてフカフカそう。俺だったら触っただけで、あっちっちとなりそうなくらい、まだ湯気を漂わせているけれど、バアルさんはへっちゃら。
涼しい顔をして先ずは半分に、そうしてお目見えした中身のクリームは鮮やかな黄色……いや、オレンジ? いや、それら両方の色が混ざったような。とにかくキレイでトロリとしていた。
半分にした内の一つを術で宙に浮かべてから、手元に残っている片割れをさらに食べやすいようにちぎってくれる。
「どうぞ、アオイ。お気をつけて召し上がって下さいね」
「はいっ、いただきます」
細く長い指から差し出された、クリームと生地のバランスが丁度いい一口を慎重にいただく。舌や上顎を火傷することはなかったものの、アツアツだ。口にしてすぐは、はふはふと外気を取り入れるのに必死で味わえない。
「アオイ、大丈夫ですか?」
心配そうに見つめる彼に頷いてみせても、細められた瞳には不安が残っている。取り除けたのは、口いっぱいにジューシーな甘みが広がってから。
「ん……おいひいでふっ」
笑顔で感想を伝えられてからだった。小さく息を吐き、目尻のシワを深くしたバアルさんが頭を撫でてくれる。
「左様でございましたか……それは何よりです。では、お願いしても?」
また、いつの間に。俺が熱い思いをしないようにだろう。紙ナプキンを持ち手にした、一口サイズにちぎった饅頭を俺に手渡してくれる。受け取って、触角を揺らして待つ彼の形の良い唇へと近づけた。
「はい、どうぞ」
「頂きます」
器用に饅頭だけを口にした彼の頬がもくもくと動く。
「……美味しいですね。甘さは濃厚ですが、程よい酸味が後からくるのでサッパリと頂けますね」
「確かに。ぺろっと食べられちゃいそうですね」
前のめりに頷いたもんだから、おかわりを所望したと思われたのだろう。再び一口サイズの饅頭をいそいそと俺の口元へと運んでくる。
このままでは、元々の二つどころか、おまけの方まで俺の胃袋に収まってしまいそう。負けじと俺も、バアルさんにあーんしたいと強請った。
珍しく俺の思惑は大成功。饅頭四つを二人で丁度はんぶんこに出来たのだけれども。
「……それで、どのようなお味かは分かりましたか?」
「んー……分かんなかったです。甘くて美味しいってことくらいしか」
「ふふ、私もです」
「ですよねっ」
トロピカルフルーツがどんな味なのかは、お互いに最後の一口を食べ終えても謎なままだった。すっかり聞き忘れてしまっていた俺だけの謎、何で新婚さんだと気づかれたのかってことも。
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