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【新婚旅行編】四日目:少々上書きさせて頂こうかと存じまして
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「どちらも魅力的なメニューであったこともさることながら、ドラゴンの映像と戯れる貴方様が誠にお可愛らしかったものですから」
「ふぇっ」
「まぁ、どちらのお品も保存の術がかけられております。アイスが溶けてしまうことも、ナポリタンが冷めてしまうこともございません。ゆっくり楽しみましょうね」
「あ、はいっ」
そんな、他愛のない話みたいな感じでさらりと褒めてくれないで欲しい。こっちは、バアルさんの言動一つで簡単に浮かれちゃうし、はしゃいじゃうんだからな。言わないけれど。
心の中で独り言ちして、テーブルを埋め尽くしている美味しそうな品々を眺める。さてさて、どれからいただこうか? 取り敢えずは、フロートかな。
目標を定めて、ビニール袋に包まれた真っ赤なストローに手を伸ばそうとした時だった。
「アオイ」
「はいっ、バアルさ、んっ!?」
繋いでいる手を持ち上げられたかと思えば、手のひらに滑らかで柔らかな感触が。バアルさんが、その透明感のある白い頬を、俺の手に擦り寄せていた。
「えっと……バアル?」
「お時間もあることですし、今の内に、少々上書きさせて頂こうかと存じまして」
可愛い可愛い行動の理由を、何をしているの? と聞くまでもなく教えてはくれた。だからといって、何の疑問も晴れてはいないんですけどね。上書きって何のですか?
俺を置き去りにしたまま、バアルさんは甘えるようにすりすりと頬を寄せ続けている。なんならキスまで。手のひらに始まり、手首に、指先にと、形の良い唇を寄せてきたのだ。
時々、ふわふわなお髭まで掠めていってしまう。ますます胸が騒がしく暴れ出して、とてもじゃないけれども食事の気分には。すっかり大好きな人からの嬉しいスキンシップに釘付けになってしまっていた。
綻んでいた彼の表情に、ふと陰りが。優しい目元のシワを濃くしながら、ぽつぽつと話し始めた声は寂しそうだった。
「アオイにひと目お会いしたいという理由については致し方ありません……相手はお子様なのですから、目くじらを立てるべきではないとも重々承知してはおります」
「ん……? え、それって……」
やっぱり、嫉妬してくれていたの?
そう言葉で尋ねる必要もなく、だらしなくニヤけかかった俺の表情が物語ってしまっていたのだろう。
「ええ。少々……いえ、かなり嫉妬しておりました。私の妻に魔力の香りがつくほどに甘えるばかりか、思う存分貴方様の御手で愛でられておりました故」
「ひょわ……」
「ですから……暫しの間、御慈悲を……心の狭い老骨めを、愛でて頂けないでしょうか?」
手のひらに口づけてくれながら彼が尋ねた。胸が締めつけられるような切ない声で願われて、白い睫毛に縁取られた鮮やかな緑の瞳に見つめられてしまえば。
「全っ然、狭くないですから! 愛でさせて下さい! ……俺がバアルさんの立場だったら、絶対寂しいなって思っちゃいますし」
「……左様でございますか……大変、嬉しく存じます」
その上、宣言した途端に蕩けるように瞳を細められてしまえば、心を鷲掴みにされない訳が。衝動のままに俺は、彼の頬を包み込むように両手で触れてしまっていた。
周囲の目が及んでいないのをいいことに、彼の額に口を押しつけてしまっていた。
「ふぇっ」
「まぁ、どちらのお品も保存の術がかけられております。アイスが溶けてしまうことも、ナポリタンが冷めてしまうこともございません。ゆっくり楽しみましょうね」
「あ、はいっ」
そんな、他愛のない話みたいな感じでさらりと褒めてくれないで欲しい。こっちは、バアルさんの言動一つで簡単に浮かれちゃうし、はしゃいじゃうんだからな。言わないけれど。
心の中で独り言ちして、テーブルを埋め尽くしている美味しそうな品々を眺める。さてさて、どれからいただこうか? 取り敢えずは、フロートかな。
目標を定めて、ビニール袋に包まれた真っ赤なストローに手を伸ばそうとした時だった。
「アオイ」
「はいっ、バアルさ、んっ!?」
繋いでいる手を持ち上げられたかと思えば、手のひらに滑らかで柔らかな感触が。バアルさんが、その透明感のある白い頬を、俺の手に擦り寄せていた。
「えっと……バアル?」
「お時間もあることですし、今の内に、少々上書きさせて頂こうかと存じまして」
可愛い可愛い行動の理由を、何をしているの? と聞くまでもなく教えてはくれた。だからといって、何の疑問も晴れてはいないんですけどね。上書きって何のですか?
俺を置き去りにしたまま、バアルさんは甘えるようにすりすりと頬を寄せ続けている。なんならキスまで。手のひらに始まり、手首に、指先にと、形の良い唇を寄せてきたのだ。
時々、ふわふわなお髭まで掠めていってしまう。ますます胸が騒がしく暴れ出して、とてもじゃないけれども食事の気分には。すっかり大好きな人からの嬉しいスキンシップに釘付けになってしまっていた。
綻んでいた彼の表情に、ふと陰りが。優しい目元のシワを濃くしながら、ぽつぽつと話し始めた声は寂しそうだった。
「アオイにひと目お会いしたいという理由については致し方ありません……相手はお子様なのですから、目くじらを立てるべきではないとも重々承知してはおります」
「ん……? え、それって……」
やっぱり、嫉妬してくれていたの?
そう言葉で尋ねる必要もなく、だらしなくニヤけかかった俺の表情が物語ってしまっていたのだろう。
「ええ。少々……いえ、かなり嫉妬しておりました。私の妻に魔力の香りがつくほどに甘えるばかりか、思う存分貴方様の御手で愛でられておりました故」
「ひょわ……」
「ですから……暫しの間、御慈悲を……心の狭い老骨めを、愛でて頂けないでしょうか?」
手のひらに口づけてくれながら彼が尋ねた。胸が締めつけられるような切ない声で願われて、白い睫毛に縁取られた鮮やかな緑の瞳に見つめられてしまえば。
「全っ然、狭くないですから! 愛でさせて下さい! ……俺がバアルさんの立場だったら、絶対寂しいなって思っちゃいますし」
「……左様でございますか……大変、嬉しく存じます」
その上、宣言した途端に蕩けるように瞳を細められてしまえば、心を鷲掴みにされない訳が。衝動のままに俺は、彼の頬を包み込むように両手で触れてしまっていた。
周囲の目が及んでいないのをいいことに、彼の額に口を押しつけてしまっていた。
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