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【新婚旅行編】四日目:限定メニューに踊らされて
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俺にとってはウェルカム過ぎる状況だ。しかし、彼からの大サービスはとどまることを知らない。美しい姿勢の手本のようにシャンと伸ばしていた背筋を丸めたかと思えば、しっとりと柔い頬を俺の頬に寄せてきたのだ。
「っ……」
ま、まさか、この為に誰もいない方のテーブルに? こっそりイチャイチャしたかったから?
聞いてみてもいいんだろうか? それとも聞かない方が? そんな気もなくて、ごくごく普通なスキンシップのつもりかもだし。
俺が息を飲み、胸を小躍りさせている間も彼はぴたりと俺に寄り添ってくれたまま。時々、絡めて繋いでいる指を指横に擦り寄せてくるくらい。だんだんとご機嫌そうにはためく彼の羽の音が遠のいていく。指の先にまで響いている俺の心音にかき消されていく。
ふと空いている彼の手が、テーブルへと伸びていった。釣られて見れば、見覚えのあるベルが。
もしかして、何か注文が出来るんだろうか。真ん中に置かれているベルは、ホテルにあったものとデザインは違う。が、同じだろう。魔力を込めて、メニュー表を表示するという用途は。
こちらのデザインは、ドラゴンの翼をモチーフにしているみたい。持ち手の部分から生えている翼は、まるでベルを守っているよう。相変わらず、置物としても素敵なお品だ。
「アオイ、お飲み物はいかがでしょうか?」
「あ、やっぱり、何か注文出来るんですね」
「はい。一日では到底歩き回れない広さでございます故……此方のように小さな休憩所はいくつもあるようです。大きなお店とは違って、此方へと直接転移することは出来ませんが」
「へぇ、でも、有り難いですね。ひと息つけるところがいっぱい用意されているのは」
「ええ」
話している最中に、バアルさんが魔力を込めてくれてしまっていた。涼しげで清らかな音が聞えてきた時には、手のりサイズの黒いドラゴンがメニューを俺達の前で広げていた。小さな翼を一生懸命にはためかせながら、くりくりとした丸い瞳で俺達を見つめている。
術による映像だと言うのは分かっているんだけど、ホントに生きているみたいだ。豊かな表情は勿論のこと、その仕草も愛らしい。メニューをめくれば、ちょこんと首を傾げてくれたり、注文すれば嬉しそうに細い尻尾を振ってくれたり。
可愛らしい彼の反応に口元を緩めている内に、注文が多くなってしまっていた。ただ、飲み物を頼むだけのつもりだったんだけれども。
「ちょっと、頼み過ぎちゃいましたね……」
「ええ……」
数分もしない内にテーブルの上に現れた魔法陣から出現した品々。飲み物二つにパフェ、ケーキの盛り合わせ、ナポリタンにサラダまで頼んでしまっていた。
まぁ、もうすぐお昼は近いんだけれども。これくらいはペロリと食べられるくらいには、お腹は空いているんだけれども。
パーク内のメニューだけあって色々と凝っている。迷って選んだ二種類。その内一つ目の飲み物のモチーフに使われているのは、パークの看板の主役であるドラゴン。コーラらしい黒い炭酸のジュースに、丸い鮮やかな赤のシャーベットが浮かべられている。
多分イチゴだろうか? トッピングとしてチョコレートで作られたドラゴンの片翼が、シャーベットの横に刺さっている。悠々と広げられたチョコレートの細工は見事で、食べるのがもったいないくらいだ。
お次のモチーフは、あの水晶の山。ブルーハワイのかき氷のように真っ青な炭酸の上に、これまた青いシャーベットがころんと浮かべられている。こちらに刺さっているチョコレート細工は空を飛ぶドラゴン。水晶の山に見立てたシャーベットの周りを、優雅に旋回しているかのように添えられている。
フロートな飲み物を頼んでしまったのに、アイスとクリームたっぷりなパフェまで。此方のモチーフは、ドラゴンの背に乗って眺められるであろう、お城と神様の木だ。
逆三角形なグラスの下の層は、おそらくお城をイメージしているんだろう。一口サイズな青いゼリーが詰められている。そして、その上は白、白、白。ゴロゴロと白桃を詰めた上から生クリームをふんだんに。更にはバニラなソフトクリームとアイスが盛られている。
此方のトッピングはアイシングされたクッキー。青く色付けされたチョコレートで描かれたお城と、ホワイトチョコレートで描かれた神様の木が、それぞれソフトクリームやバニラアイスに添えられている。
ケーキのモチーフは、ペガサスやユニコーン、ケルベロスなど。彼らの色合いを意識したクリームやフルーツをあしらった小さめのケーキが盛られている。色々な味が楽しめるお得な一品だ。
そして、先程まで俺達が散策していた、このゾーンをモチーフにした色どり豊かなサラダ、それからサラマンダーナポリタンと銘打った、少し辛めのナポリタンと。いかにも限定メニューに踊らされたような頼み方をしてしまったのである。
「っ……」
ま、まさか、この為に誰もいない方のテーブルに? こっそりイチャイチャしたかったから?
聞いてみてもいいんだろうか? それとも聞かない方が? そんな気もなくて、ごくごく普通なスキンシップのつもりかもだし。
俺が息を飲み、胸を小躍りさせている間も彼はぴたりと俺に寄り添ってくれたまま。時々、絡めて繋いでいる指を指横に擦り寄せてくるくらい。だんだんとご機嫌そうにはためく彼の羽の音が遠のいていく。指の先にまで響いている俺の心音にかき消されていく。
ふと空いている彼の手が、テーブルへと伸びていった。釣られて見れば、見覚えのあるベルが。
もしかして、何か注文が出来るんだろうか。真ん中に置かれているベルは、ホテルにあったものとデザインは違う。が、同じだろう。魔力を込めて、メニュー表を表示するという用途は。
こちらのデザインは、ドラゴンの翼をモチーフにしているみたい。持ち手の部分から生えている翼は、まるでベルを守っているよう。相変わらず、置物としても素敵なお品だ。
「アオイ、お飲み物はいかがでしょうか?」
「あ、やっぱり、何か注文出来るんですね」
「はい。一日では到底歩き回れない広さでございます故……此方のように小さな休憩所はいくつもあるようです。大きなお店とは違って、此方へと直接転移することは出来ませんが」
「へぇ、でも、有り難いですね。ひと息つけるところがいっぱい用意されているのは」
「ええ」
話している最中に、バアルさんが魔力を込めてくれてしまっていた。涼しげで清らかな音が聞えてきた時には、手のりサイズの黒いドラゴンがメニューを俺達の前で広げていた。小さな翼を一生懸命にはためかせながら、くりくりとした丸い瞳で俺達を見つめている。
術による映像だと言うのは分かっているんだけど、ホントに生きているみたいだ。豊かな表情は勿論のこと、その仕草も愛らしい。メニューをめくれば、ちょこんと首を傾げてくれたり、注文すれば嬉しそうに細い尻尾を振ってくれたり。
可愛らしい彼の反応に口元を緩めている内に、注文が多くなってしまっていた。ただ、飲み物を頼むだけのつもりだったんだけれども。
「ちょっと、頼み過ぎちゃいましたね……」
「ええ……」
数分もしない内にテーブルの上に現れた魔法陣から出現した品々。飲み物二つにパフェ、ケーキの盛り合わせ、ナポリタンにサラダまで頼んでしまっていた。
まぁ、もうすぐお昼は近いんだけれども。これくらいはペロリと食べられるくらいには、お腹は空いているんだけれども。
パーク内のメニューだけあって色々と凝っている。迷って選んだ二種類。その内一つ目の飲み物のモチーフに使われているのは、パークの看板の主役であるドラゴン。コーラらしい黒い炭酸のジュースに、丸い鮮やかな赤のシャーベットが浮かべられている。
多分イチゴだろうか? トッピングとしてチョコレートで作られたドラゴンの片翼が、シャーベットの横に刺さっている。悠々と広げられたチョコレートの細工は見事で、食べるのがもったいないくらいだ。
お次のモチーフは、あの水晶の山。ブルーハワイのかき氷のように真っ青な炭酸の上に、これまた青いシャーベットがころんと浮かべられている。こちらに刺さっているチョコレート細工は空を飛ぶドラゴン。水晶の山に見立てたシャーベットの周りを、優雅に旋回しているかのように添えられている。
フロートな飲み物を頼んでしまったのに、アイスとクリームたっぷりなパフェまで。此方のモチーフは、ドラゴンの背に乗って眺められるであろう、お城と神様の木だ。
逆三角形なグラスの下の層は、おそらくお城をイメージしているんだろう。一口サイズな青いゼリーが詰められている。そして、その上は白、白、白。ゴロゴロと白桃を詰めた上から生クリームをふんだんに。更にはバニラなソフトクリームとアイスが盛られている。
此方のトッピングはアイシングされたクッキー。青く色付けされたチョコレートで描かれたお城と、ホワイトチョコレートで描かれた神様の木が、それぞれソフトクリームやバニラアイスに添えられている。
ケーキのモチーフは、ペガサスやユニコーン、ケルベロスなど。彼らの色合いを意識したクリームやフルーツをあしらった小さめのケーキが盛られている。色々な味が楽しめるお得な一品だ。
そして、先程まで俺達が散策していた、このゾーンをモチーフにした色どり豊かなサラダ、それからサラマンダーナポリタンと銘打った、少し辛めのナポリタンと。いかにも限定メニューに踊らされたような頼み方をしてしまったのである。
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