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【新婚旅行編】五日目:自信満々、絶好調
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前のめりな彼には、俺の緊張の鼓動は聞こえてはいないのだろう。ぱたぱたとはためく羽の音を賑やかにしながら、期待に満ちた眼差しを向けてくる。
大人の余裕に満ちた穏やかな笑みはご顕在だ。だというのに、そこかしこから喜びが滲んでいて。
「っ……うんっ! バアルに喜んでもらえると、俺、すっごく嬉しいからさ……遠慮しないで、いっぱいお願いして欲しいな……」
俺まで前のめりに頷いていた。抱き締めてくれている彼の腕をぎゅっと掴んでしまっていたんだ。
当然、俺くらいの力では、バアルにとってはどうということもない。白い髭を蓄えた口元に浮かぶ笑みを深めながら、おずおずと切り出してきた。
「では……また、お召しになって頂きたい、服があるのですが……」
「うん……なに?」
着て欲しいって……エッチなの、かな。やっぱり。花柄の方はまだ旅行中には穿けていないし、レースのヤツは初日に見せられただけだもんな。
……嬉しいな。気に入ってくれて。まだ、ちょっとだけ恥ずかしいけど、頑張ろう。いっぱいバアルに喜んでもらう為に。
だらしなく緩みかけていた顔を引き締めて、気合いを入れていたのだけれども。
予想外だった。頬をほんのりと染めながら、珍しく遠回しな言い方をしてきた彼の言葉は。
「ホワイトデーの時に、お召しになって頂き……その御姿が、誠に愛らしかったものですから……」
ホワイトデー……? エッチな下着じゃなくて? あれ? そん時に俺、何を着て。
「あっ、もしかして、彼ジャケ?」
そういえば、気に入ってくれてたんだっけ。元はといえば、俺からのお願いだったんだけど。バアルが普段着ている執事服のジャケットを着てみたいって。
それで、そのまま……着させてもらったまま……致してもらっちゃったんだよな。
「はい、この老骨めのジャケットを、素肌に羽織った貴方様の御姿を見させて頂きたく……」
「うん、いいよ……でも、それだけで、いいの?」
まだ俺の口は絶好調のようだった。それから気持ちの方も。なんせ自信満々だったのだ。絶対に喜んでもらえるっていう確信に満ちていたんだから。
「……と、申しますと?」
俺の顔を覗き込むように見つめてくる彼は、少しだけ驚いているようだった。けれども、その眼差しには同じくらいの期待を宿しているように見えた。
高鳴る鼓動が頭の中にまで響いてくる。彼の腕に添えているても、切り出した声もちょっとだけ震えてしまっていた。
「……下着……エッチなの、じゃなくて、いいのかなって……あの時は、普通のボクサーパンツだったから……っ」
また、筋肉質な長い腕にぎゅっと力が込められた。しっとり濡れた弾力のある温もりが背中に当たってしまう。全身を包み込まれてしまう。
「バアル……」
少し緩んだかと思えば、熱のこもった眼差しとかち合った。バスチェアには座ったままなのに、いつの間にやら彼と向き合う形になっている。
水晶のように透き通った四枚の羽が、俺達を覆い隠すように大きく広がっていく。たおやかな手が、俺の手を包み込むように握り締めた。
「……緑のレースでお願い致します」
「うん……もし、花柄の方も見たくなったら言っ」
「では、途中でお召し替えさせて頂いても?」
食い気味だったのは言葉だけじゃ。鍛え抜かれた長身も、ずいっと前のめりに近づいていた。後ほんの少しで、高い鼻先と触れ合ってしまいそう。
「ふふ……うん。バアルの好きなタイミングで、着替えさせて欲しいな」
「……身に余る光栄に存じます」
委ねるように目を閉じれば、俺の望み通りに柔らかな温もりが唇に触れてくれた。
離れていってしまいそうなタイミングで、そっと開いてみると緑の瞳が微笑んでいる。
何だか嬉しくて、擽ったくて、俺はつい笑ってしまっていた。バアルも釣られたように笑みをこぼしていた。
大人の余裕に満ちた穏やかな笑みはご顕在だ。だというのに、そこかしこから喜びが滲んでいて。
「っ……うんっ! バアルに喜んでもらえると、俺、すっごく嬉しいからさ……遠慮しないで、いっぱいお願いして欲しいな……」
俺まで前のめりに頷いていた。抱き締めてくれている彼の腕をぎゅっと掴んでしまっていたんだ。
当然、俺くらいの力では、バアルにとってはどうということもない。白い髭を蓄えた口元に浮かぶ笑みを深めながら、おずおずと切り出してきた。
「では……また、お召しになって頂きたい、服があるのですが……」
「うん……なに?」
着て欲しいって……エッチなの、かな。やっぱり。花柄の方はまだ旅行中には穿けていないし、レースのヤツは初日に見せられただけだもんな。
……嬉しいな。気に入ってくれて。まだ、ちょっとだけ恥ずかしいけど、頑張ろう。いっぱいバアルに喜んでもらう為に。
だらしなく緩みかけていた顔を引き締めて、気合いを入れていたのだけれども。
予想外だった。頬をほんのりと染めながら、珍しく遠回しな言い方をしてきた彼の言葉は。
「ホワイトデーの時に、お召しになって頂き……その御姿が、誠に愛らしかったものですから……」
ホワイトデー……? エッチな下着じゃなくて? あれ? そん時に俺、何を着て。
「あっ、もしかして、彼ジャケ?」
そういえば、気に入ってくれてたんだっけ。元はといえば、俺からのお願いだったんだけど。バアルが普段着ている執事服のジャケットを着てみたいって。
それで、そのまま……着させてもらったまま……致してもらっちゃったんだよな。
「はい、この老骨めのジャケットを、素肌に羽織った貴方様の御姿を見させて頂きたく……」
「うん、いいよ……でも、それだけで、いいの?」
まだ俺の口は絶好調のようだった。それから気持ちの方も。なんせ自信満々だったのだ。絶対に喜んでもらえるっていう確信に満ちていたんだから。
「……と、申しますと?」
俺の顔を覗き込むように見つめてくる彼は、少しだけ驚いているようだった。けれども、その眼差しには同じくらいの期待を宿しているように見えた。
高鳴る鼓動が頭の中にまで響いてくる。彼の腕に添えているても、切り出した声もちょっとだけ震えてしまっていた。
「……下着……エッチなの、じゃなくて、いいのかなって……あの時は、普通のボクサーパンツだったから……っ」
また、筋肉質な長い腕にぎゅっと力が込められた。しっとり濡れた弾力のある温もりが背中に当たってしまう。全身を包み込まれてしまう。
「バアル……」
少し緩んだかと思えば、熱のこもった眼差しとかち合った。バスチェアには座ったままなのに、いつの間にやら彼と向き合う形になっている。
水晶のように透き通った四枚の羽が、俺達を覆い隠すように大きく広がっていく。たおやかな手が、俺の手を包み込むように握り締めた。
「……緑のレースでお願い致します」
「うん……もし、花柄の方も見たくなったら言っ」
「では、途中でお召し替えさせて頂いても?」
食い気味だったのは言葉だけじゃ。鍛え抜かれた長身も、ずいっと前のめりに近づいていた。後ほんの少しで、高い鼻先と触れ合ってしまいそう。
「ふふ……うん。バアルの好きなタイミングで、着替えさせて欲しいな」
「……身に余る光栄に存じます」
委ねるように目を閉じれば、俺の望み通りに柔らかな温もりが唇に触れてくれた。
離れていってしまいそうなタイミングで、そっと開いてみると緑の瞳が微笑んでいる。
何だか嬉しくて、擽ったくて、俺はつい笑ってしまっていた。バアルも釣られたように笑みをこぼしていた。
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