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★【新婚旅行編】六日目:今宵は、此方の貴方様を愛させて頂きたく存じましたので
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調子に乗ってまた食むと、笑みまでこぼれてきた。くつくつと喉の奥で笑っているような音がして、その震えが触れ合っている唇から伝わってきた。
「んぅ……っ」
お返しのつもりなのだろう。軽く舌先を吸われてしまった。思わず、変に上擦った声を漏らしてしまう。無理もないだろう。穏やかな心地よさに揺蕩っていたところで、強めの刺激をもらってしまったのだから。
緩急をつけられると、たった一撃であろうとより強く感じてしまうもんなのだろうか。舌先だけでなく、頭の奥の方までジンジンと痺れているような気がしてくる。
「あ、ふぁ……」
甘えるように擦り寄ってきていた唇が、不意に名残惜しそうに離れていった。バアルさんは、軽く上体を起こしてから、膝のところで引っかかっていたズボンをするりと俺の足から引き抜いていった。
これもまた、お先に放り投げられて視界の外へと消えていった、パーカーやシャツと同じ運命を辿ることだろう。
ああ、やっぱり。たおやかな手によって、白のズボンがぞんざいに放り投げられていってしまった。これで、俺が身に纏っているのは一枚のみ……って、あれ?
「パンツ、脱がさない、ですね……」
いつもだったら、ズボンと一緒にズリ下ろしちゃうのに。
俺は素直に尋ねていた。呼吸を整えることよりも優先していたなんて、よっぽど気になっていたんだろう。
「はい。今宵は、此方の貴方様を愛させて頂きたく存じましたので」
はて……こちらの俺、とは?
すぐに答えは返ってきたものの、余計に分からなくなってしまっていた。
不思議そうな俺の反応すらも、バアルさんは楽しんでいるんだろうか。白い髭を蓄えた口元に浮かべている笑みを深くしている。目元にかかっていた髪を払ってくれてから、額に口づけてくれてから視線を落とした。
丁度、俺のヘソ下辺りへと向けられている視線。艶っぽい眼差しに促されてから、ようやくだった。こちらの俺、と彼が言った意味を理解出来たのは。
「あ……き、着替えさせて、くれていたんだね……」
俺が身に着けていた最後の一枚が、いつの間にやら変わっていた。お気に入りのボクサーパンツから、白地に小さなオレンジの花柄のブーメランパンツへと。
それは、バアルさんと一緒に選んだ彼好みの下着の内の一枚。ウェストゴムのところに、ひらひらとあしらわれたフリルがチャームポイントなヤツだ。
……つまりは、昨日のレース生地のヤツを穿いていた俺が、あちらの俺ってこと、だよな。そういえば、こっちは見せてあげられなかったんだっけ。途中で俺がヘタっちゃったから。
少し出遅れて納得していた俺の頬を、大きな手のひらが優しく撫でてくれる。
「ええ。私が好きな時に着替えさせて構わないと、許可を頂けておりました故」
ふと、彫りの深い彼の顔が不安に沈んでいく。凛々しい眉を、金属のような光沢を帯びた触角を申し訳無さそうに下げながら、おずおずと尋ねてきた。
「……先に、貴方様に確認を取ってから、お召し替えさせて頂くべきでしたか?」
「い、いや、全っ然大歓迎だよっ……これからも、今みたいに……バアルの好きにしてくれると、嬉しい……」
ちょっぴりの恥ずかしさには慣れないだろうし。多分、毎回びっくりはしちゃうと思う。それでも。
「……バアルに喜んでもらえるのが……俺にとっての一番だから……」
「んぅ……っ」
お返しのつもりなのだろう。軽く舌先を吸われてしまった。思わず、変に上擦った声を漏らしてしまう。無理もないだろう。穏やかな心地よさに揺蕩っていたところで、強めの刺激をもらってしまったのだから。
緩急をつけられると、たった一撃であろうとより強く感じてしまうもんなのだろうか。舌先だけでなく、頭の奥の方までジンジンと痺れているような気がしてくる。
「あ、ふぁ……」
甘えるように擦り寄ってきていた唇が、不意に名残惜しそうに離れていった。バアルさんは、軽く上体を起こしてから、膝のところで引っかかっていたズボンをするりと俺の足から引き抜いていった。
これもまた、お先に放り投げられて視界の外へと消えていった、パーカーやシャツと同じ運命を辿ることだろう。
ああ、やっぱり。たおやかな手によって、白のズボンがぞんざいに放り投げられていってしまった。これで、俺が身に纏っているのは一枚のみ……って、あれ?
「パンツ、脱がさない、ですね……」
いつもだったら、ズボンと一緒にズリ下ろしちゃうのに。
俺は素直に尋ねていた。呼吸を整えることよりも優先していたなんて、よっぽど気になっていたんだろう。
「はい。今宵は、此方の貴方様を愛させて頂きたく存じましたので」
はて……こちらの俺、とは?
すぐに答えは返ってきたものの、余計に分からなくなってしまっていた。
不思議そうな俺の反応すらも、バアルさんは楽しんでいるんだろうか。白い髭を蓄えた口元に浮かべている笑みを深くしている。目元にかかっていた髪を払ってくれてから、額に口づけてくれてから視線を落とした。
丁度、俺のヘソ下辺りへと向けられている視線。艶っぽい眼差しに促されてから、ようやくだった。こちらの俺、と彼が言った意味を理解出来たのは。
「あ……き、着替えさせて、くれていたんだね……」
俺が身に着けていた最後の一枚が、いつの間にやら変わっていた。お気に入りのボクサーパンツから、白地に小さなオレンジの花柄のブーメランパンツへと。
それは、バアルさんと一緒に選んだ彼好みの下着の内の一枚。ウェストゴムのところに、ひらひらとあしらわれたフリルがチャームポイントなヤツだ。
……つまりは、昨日のレース生地のヤツを穿いていた俺が、あちらの俺ってこと、だよな。そういえば、こっちは見せてあげられなかったんだっけ。途中で俺がヘタっちゃったから。
少し出遅れて納得していた俺の頬を、大きな手のひらが優しく撫でてくれる。
「ええ。私が好きな時に着替えさせて構わないと、許可を頂けておりました故」
ふと、彫りの深い彼の顔が不安に沈んでいく。凛々しい眉を、金属のような光沢を帯びた触角を申し訳無さそうに下げながら、おずおずと尋ねてきた。
「……先に、貴方様に確認を取ってから、お召し替えさせて頂くべきでしたか?」
「い、いや、全っ然大歓迎だよっ……これからも、今みたいに……バアルの好きにしてくれると、嬉しい……」
ちょっぴりの恥ずかしさには慣れないだろうし。多分、毎回びっくりはしちゃうと思う。それでも。
「……バアルに喜んでもらえるのが……俺にとっての一番だから……」
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