【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】七日目:色が、そっくりさんなのだよ

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 先陣を切った俺をヨミーン様は満面の笑みで大きく頷いて、サターン様は温かな笑顔で迎えてくれた。

「うむっ、何でも申してみよ!」

「どんな質問でも答えるからの」

「……何で、俺達を選んでくれたんですか?」

 素朴な疑問だった。そりゃあ、まぁ、レタリーンさんから「新婚様」と呼ばれたのだから、それが理由だと言われてしまえばそれまでだ。

 とはいえ俺達の他にも、ちらほらといらっしゃったのだ。互いに贈りあった魔力の花を、愛を誓い合った証を身に着けていた方々が。

 そもそも、新婚さんキャンペーンをやっているくらいには、訪れる割合が多いであろうリゾート地。こちらでは、新婚さんなんて珍しくはないと思うのだけれども。

 そう俺が考えたことは、やはりヨミーン様も承知だったらしい。

「うむっ、良い質問だな。そちらには丁度、私も触れておきたかったが故に、余計にな」

「え、じゃあ……やっぱり別の理由があるんですか? 俺達が新婚さんだからって以外にも」

「おお、オレンジ殿は聡いな! どれ、飴ちゃんをあげようではないか」

「ふぇ……ありがとう、ございます」

 ゆるりと口角を持ち上げながら、ヨミーン様が差し出してくれたのはツヤツヤとした光沢を持った飴細工。反射的に受け取っていた二本の飴は、どちらも鋭い牙をニコッと覗かせた満面笑顔のヨミーン様の形をしていた。

 青い棒のさきっちょに威風堂々と立ち、星の装飾が施されたマントを靡かせているヨミーン様飴。透明な袋と真っ赤なリボンでラッピングされているそれは、ぱっと見、ガラス細工かと見間違えてしまいそうな。素晴らしい職人技で立体的に、いわゆるフィギュアっぽく作られている。

「……食べちゃうのが勿体ないですね」

「最高の褒め言葉であるな。だがしかし、見て楽しむだけでは、本来の楽しみの内の半分も楽しめぬ。是非、後でグリーン殿と共に味わって欲しい」

「そう、ですね……いただきます。二人で一緒に」

「うむっ」

 ヨミーン様は満足そうに笑みを深めてから、先程の俺の質問に答えてくれた。

「ところで……貴殿らを選んだ理由、であったな」

「はい」

 俺達とほとんど同時に、会場の皆さんも息を飲んだみたいだった。謁見の間の空気がシンと静まり返っていく。

「ズバリ、そちらの魔力の花であるな」

 ヨミーン様の声だけが、際立って響いた。優しげな声だった。

「へ?」

「色が、そっくりさんなのだよ」

「色……?」

『ああ、なんと……』

 俺はピンともきていないが、バアルさんは分かったらしかった。俺にだけ聞こえている声が、微かに震えている。重ねている手のひらも。

「私めも驚きました。魔力の花の形が似ることはあれど色は……同じ色など、一つとして無かった筈なのですが」

 何事にも例外はあるものですが、と何やら考え込むように細い顎に指を添えたレタリーンさんの言葉に、サターン様が感慨深げに付け加える。

「それも、まさかバアルーンとアオニャン殿と似るとはのう」

「それで……」

「うむっ! これは、もはや運命なのでは? とビビっときたという訳である!」

 得意気に片方の口端を持ち上げて、ヨミーン様が胸を張る。途端に室内であるにも関わらず爽やかな風が吹き抜けて、引き締まった腰まで伸びた彼の長く艶かな黒髪とマントをふわりと靡かせた。

 真っ赤な瞳が微笑んでいる。温かな慈愛に満ちた眼差しは俺達に、それも何故か下の方へと向けられているような。
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