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【新婚旅行編】七日目:プロローグに過ぎなかったようだ
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「なんか……ちょっぴり、照れちゃいますね……」
「ええ、左様でございますね……ですが」
ずっとアオニャンの方を見つめていた眼差しが、俺に微笑む。芯の通った声で堂々と俺に告げてくる。
「事実でございますので」
「ふぇ……」
「この老骨めが、出会えたばかりの貴方様に焦がれるように心惹かれたことも……必ずやその御心を私が射止めようと、愛しい貴方様を他の誰にも渡してやるものかと、年甲斐もなく躍起になっていたことも」
「ひぇ……」
全身を揺らすように、心臓が踊り狂ってしまう。両手で包み込むように握り直された手に、伝わってしまいそう。
周囲の音が遠退いていく。丁寧な語り手の声も、アトラクションを共に楽しんでいたお客さんのざわめきも、もう聞こえない。二人っきりになれたみたいに、もう、彼の声しか。
「って、そんな独占欲マシマシな嬉しいナレーションはなかったけどっ?」
「これは、失礼……熱がこもってしまい、つい本音を」
「はわ……」
「ですが、愛しい妻に喜んで頂けたのであれば、うっかりも悪くはございませんね」
バアルさんは、おどけた調子でそう付け加えてからキレイなウィンクを披露してくれる。怒涛のアプローチで俺の心を鷲掴んできた彼は楽しげだ。そのノリの良さは、嬉しくも照れくさいサプライズをしてくれた主と良く似ている。流石、優秀な右腕さんだ。
言うまでもなく喜びで満たされてしまった俺は腰砕けになり、ますますご機嫌になった彼に抱き支えてもらいながらアトラクションを楽しむことに。
アオニャンが、無事ヨミーン様やサターン様達とも出会いを終えたその後、俺達の馴れ初……いや、バアルーン様とアオニャンがどんな風に惹かれ合って、仲を深めてきたのか。日課のお散歩デートやダンスに始まり、初めての城下町デートにバアルーン様のバースデーパーティー。そして、魔力の花を贈り合うプロポーズまでが、丁寧に描かれていく。
それは、もう、ドキュメンタリーのようにリアリティ抜群に。多少はフェイクを入れてくれているというか、エンタメに振っているというか。ドラマチックなシーンはよりドラマチックに、くすくすと笑ってしまうシーンはよりコミカルに描かれてはいたけれど。
「会話の内容とかは勿論全然違いますけど、大筋はそのまんまですね。そういえば、グリムさんとクロウさんも協力したって言ってましたけど……」
「ええ、恐らくは私達が彼らに話した惚気話が少なからず反映されているのかと」
「はは、ですよね……」
まぁ、今更だけれども。なんせ、国中に結婚式を中継してもらう前も、ヨミ様達と過ごしたプライベートなあれやこれやとかが、ごくごく普通にお城の皆さんだけでなく国民の皆さんにも周知の事実のように知れ渡っていたし。
その際に記念にと撮影していた写真が、俺とバアルさんにとっては身に覚えしかない写真がそのままグッズと化していたり、王室の公式ホームページに掲載されてはいたんだし。
やっぱり、ちょっぴり照れくさいけれども。
それから、勿論あの日のことも。ついさっき二人で思い浮かべていたあの日の奇跡も、しっかりと描かれていた。
サターン様とレタリーンさんの苦悩。ヨミーン様の悲痛な覚悟。一度、諦めようとしていたバアルーン様とアオニャンが決意を新たに立ち上がり、国中を奔走して皆に訴え、願い、ヨミーン様を、全てを救う愛にあふれた物語。
とびきりのハッピーエンドを迎えたアトラクションは、めでたしめでたし、とよくあるけれどもホッとする読後感のある結びで終わるハズだった。
「バアルーン様とアオニャン様、お二方の出会いの物語は幕を閉じましたが、お二方の物語はまだ始まったばかり。これからも、末永く続いていくことでしょう。その素晴らしい門出を、どうか皆様にも見届けて欲しいのです」
俺たちに向かってしなやかな両腕を広げて、レタリーンさんが願った途端、ホール内が輝き始める。これは、この輝きは、この感覚は、バアルさんの術と同じような。部屋の構造を変える時と似ているような。
どうやら、こちらのアトラクションはプロローグに過ぎなかったようだ。本番はこれかららしい。
「ええ、左様でございますね……ですが」
ずっとアオニャンの方を見つめていた眼差しが、俺に微笑む。芯の通った声で堂々と俺に告げてくる。
「事実でございますので」
「ふぇ……」
「この老骨めが、出会えたばかりの貴方様に焦がれるように心惹かれたことも……必ずやその御心を私が射止めようと、愛しい貴方様を他の誰にも渡してやるものかと、年甲斐もなく躍起になっていたことも」
「ひぇ……」
全身を揺らすように、心臓が踊り狂ってしまう。両手で包み込むように握り直された手に、伝わってしまいそう。
周囲の音が遠退いていく。丁寧な語り手の声も、アトラクションを共に楽しんでいたお客さんのざわめきも、もう聞こえない。二人っきりになれたみたいに、もう、彼の声しか。
「って、そんな独占欲マシマシな嬉しいナレーションはなかったけどっ?」
「これは、失礼……熱がこもってしまい、つい本音を」
「はわ……」
「ですが、愛しい妻に喜んで頂けたのであれば、うっかりも悪くはございませんね」
バアルさんは、おどけた調子でそう付け加えてからキレイなウィンクを披露してくれる。怒涛のアプローチで俺の心を鷲掴んできた彼は楽しげだ。そのノリの良さは、嬉しくも照れくさいサプライズをしてくれた主と良く似ている。流石、優秀な右腕さんだ。
言うまでもなく喜びで満たされてしまった俺は腰砕けになり、ますますご機嫌になった彼に抱き支えてもらいながらアトラクションを楽しむことに。
アオニャンが、無事ヨミーン様やサターン様達とも出会いを終えたその後、俺達の馴れ初……いや、バアルーン様とアオニャンがどんな風に惹かれ合って、仲を深めてきたのか。日課のお散歩デートやダンスに始まり、初めての城下町デートにバアルーン様のバースデーパーティー。そして、魔力の花を贈り合うプロポーズまでが、丁寧に描かれていく。
それは、もう、ドキュメンタリーのようにリアリティ抜群に。多少はフェイクを入れてくれているというか、エンタメに振っているというか。ドラマチックなシーンはよりドラマチックに、くすくすと笑ってしまうシーンはよりコミカルに描かれてはいたけれど。
「会話の内容とかは勿論全然違いますけど、大筋はそのまんまですね。そういえば、グリムさんとクロウさんも協力したって言ってましたけど……」
「ええ、恐らくは私達が彼らに話した惚気話が少なからず反映されているのかと」
「はは、ですよね……」
まぁ、今更だけれども。なんせ、国中に結婚式を中継してもらう前も、ヨミ様達と過ごしたプライベートなあれやこれやとかが、ごくごく普通にお城の皆さんだけでなく国民の皆さんにも周知の事実のように知れ渡っていたし。
その際に記念にと撮影していた写真が、俺とバアルさんにとっては身に覚えしかない写真がそのままグッズと化していたり、王室の公式ホームページに掲載されてはいたんだし。
やっぱり、ちょっぴり照れくさいけれども。
それから、勿論あの日のことも。ついさっき二人で思い浮かべていたあの日の奇跡も、しっかりと描かれていた。
サターン様とレタリーンさんの苦悩。ヨミーン様の悲痛な覚悟。一度、諦めようとしていたバアルーン様とアオニャンが決意を新たに立ち上がり、国中を奔走して皆に訴え、願い、ヨミーン様を、全てを救う愛にあふれた物語。
とびきりのハッピーエンドを迎えたアトラクションは、めでたしめでたし、とよくあるけれどもホッとする読後感のある結びで終わるハズだった。
「バアルーン様とアオニャン様、お二方の出会いの物語は幕を閉じましたが、お二方の物語はまだ始まったばかり。これからも、末永く続いていくことでしょう。その素晴らしい門出を、どうか皆様にも見届けて欲しいのです」
俺たちに向かってしなやかな両腕を広げて、レタリーンさんが願った途端、ホール内が輝き始める。これは、この輝きは、この感覚は、バアルさんの術と同じような。部屋の構造を変える時と似ているような。
どうやら、こちらのアトラクションはプロローグに過ぎなかったようだ。本番はこれかららしい。
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