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【新婚旅行編】七日目:また一つ増えた記念の品
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「こう、ですか?」
「ええ、完璧でございます。後は、ゆっくりと慎重に。力任せに無理矢理引き抜こうと致しますと、途中で栓が折れてしまう恐れがございます故」
「は、はい……頑張りますっ」
折れて抜けなくなってしまう栓を、否が応でも想像してしまい肩に力が入ってしまう。
すると見越していたかのようにバアルが重ねている俺の手を優しく握った。
「ふふ、大丈夫ですよ、アオイ。仮に折れてしまっても、まだ手段はございます。それに私めも、時々やらかしてしまいます故」
「え、バアルも? 失敗しちゃうの?」
「ええ、二本目、三本目と空けていくにつれて手元が狂いやすくなります故」
「ふは、成る程ね」
悪戯っぽく微笑む彼に、釣られて俺も笑っていた。ムダに入ってしまっていた力がふわりと抜けていく。
「では、リラックス出来たところで参りましょうか。私が付いております故、気楽に参りましょう」
「うんっ、よろしくね、バアル」
「ええ、貴方様のバアルにお任せを」
バアルさんからアドバイスを受けながら、時々俺の手に重ねてくれてお力を貸してもらいながら。一緒に奮闘すること数分。
突如、スポンっと気持ちのいい音と共に、キレイな細長い円柱のまま、俺達はコルク栓を引き抜くことに成功した。
「やったっ、出来たよ、バアルっ」
「ええ、おめでとうございますアオイ。大変お上手でしたよ」
頭をよしよしと褒めてもらえて、頬もひと撫でしてもらえてからバアルさんは、危ないですので、と俺が思わず強く握ってしまっていた器具を受け取った。
取り出した時のように手品みたく消してしまうのではなく、バネのようにぐるぐるとしている金属の棒から、刺さっているコルクを丁寧に抜いてから俺に見せてくれる。
「おお、キレイに抜けましたねっ」
「ええ、此方のコルク栓も、貴方様との記念のお品。ラベルとご一緒に大事に取っておかなければなりませんので」
コルクを見つめる彼の眼差しは、まるでかけがえのない宝物を見つめているかのよう。嬉しそうに細められた瞳から、キラキラとした眩さがあふれてしまいそう。
器具はパッと消してしまったけれどもコルクの方は。いつの間にやら取り出して、手のひらの上にちょこんと乗っていた黒い小さなケースへと大事にしまってから、器具と同じように煙のように消してみせた。
「ねぇ、バアル、ラベルはどうやって」
「そちらも、ご一緒に致しましょう。その際に、外し方を教えて差し上げますので」
「うんっ、楽しみにしてるね」
お願いする前に増えた新たな楽しみ。早くもワクワクしてしまっていた気持ちを、今はワインの方へと向ける。ボトルを手にしていたバアルさんは、今度は真っ白な布を取り出していた。
「注ぐ前に、瓶の口は拭いておいた方が宜しいです。引き抜く際にコルク栓が細かく砕け、そちらのクズが瓶口に付着してしまっている場合がございます故」
「それは、危ないね……」
「ええ。ですからこのくらい、丁寧に拭いておいた方が安心ですね」
言いながらバアルさんはグラスを磨くように拭いてから、瓶口を見せてくれた。見た感じ、木くずのようなものはついていない。
「大丈夫そうですね」
「ええ。では、頂きましょうか」
俺を誘う穏やかな低音に応えるように、テーブルの上に現れたのはヨミ様からいただいたペアのワイングラス。今まではジュースばかりを注いでしまっていたが、今回はノンアルコールとはいえワイン。ようやく本来の出番を任せることが出来る。
「ええ、完璧でございます。後は、ゆっくりと慎重に。力任せに無理矢理引き抜こうと致しますと、途中で栓が折れてしまう恐れがございます故」
「は、はい……頑張りますっ」
折れて抜けなくなってしまう栓を、否が応でも想像してしまい肩に力が入ってしまう。
すると見越していたかのようにバアルが重ねている俺の手を優しく握った。
「ふふ、大丈夫ですよ、アオイ。仮に折れてしまっても、まだ手段はございます。それに私めも、時々やらかしてしまいます故」
「え、バアルも? 失敗しちゃうの?」
「ええ、二本目、三本目と空けていくにつれて手元が狂いやすくなります故」
「ふは、成る程ね」
悪戯っぽく微笑む彼に、釣られて俺も笑っていた。ムダに入ってしまっていた力がふわりと抜けていく。
「では、リラックス出来たところで参りましょうか。私が付いております故、気楽に参りましょう」
「うんっ、よろしくね、バアル」
「ええ、貴方様のバアルにお任せを」
バアルさんからアドバイスを受けながら、時々俺の手に重ねてくれてお力を貸してもらいながら。一緒に奮闘すること数分。
突如、スポンっと気持ちのいい音と共に、キレイな細長い円柱のまま、俺達はコルク栓を引き抜くことに成功した。
「やったっ、出来たよ、バアルっ」
「ええ、おめでとうございますアオイ。大変お上手でしたよ」
頭をよしよしと褒めてもらえて、頬もひと撫でしてもらえてからバアルさんは、危ないですので、と俺が思わず強く握ってしまっていた器具を受け取った。
取り出した時のように手品みたく消してしまうのではなく、バネのようにぐるぐるとしている金属の棒から、刺さっているコルクを丁寧に抜いてから俺に見せてくれる。
「おお、キレイに抜けましたねっ」
「ええ、此方のコルク栓も、貴方様との記念のお品。ラベルとご一緒に大事に取っておかなければなりませんので」
コルクを見つめる彼の眼差しは、まるでかけがえのない宝物を見つめているかのよう。嬉しそうに細められた瞳から、キラキラとした眩さがあふれてしまいそう。
器具はパッと消してしまったけれどもコルクの方は。いつの間にやら取り出して、手のひらの上にちょこんと乗っていた黒い小さなケースへと大事にしまってから、器具と同じように煙のように消してみせた。
「ねぇ、バアル、ラベルはどうやって」
「そちらも、ご一緒に致しましょう。その際に、外し方を教えて差し上げますので」
「うんっ、楽しみにしてるね」
お願いする前に増えた新たな楽しみ。早くもワクワクしてしまっていた気持ちを、今はワインの方へと向ける。ボトルを手にしていたバアルさんは、今度は真っ白な布を取り出していた。
「注ぐ前に、瓶の口は拭いておいた方が宜しいです。引き抜く際にコルク栓が細かく砕け、そちらのクズが瓶口に付着してしまっている場合がございます故」
「それは、危ないね……」
「ええ。ですからこのくらい、丁寧に拭いておいた方が安心ですね」
言いながらバアルさんはグラスを磨くように拭いてから、瓶口を見せてくれた。見た感じ、木くずのようなものはついていない。
「大丈夫そうですね」
「ええ。では、頂きましょうか」
俺を誘う穏やかな低音に応えるように、テーブルの上に現れたのはヨミ様からいただいたペアのワイングラス。今まではジュースばかりを注いでしまっていたが、今回はノンアルコールとはいえワイン。ようやく本来の出番を任せることが出来る。
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