【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】七日目:最後の仕上げをご一緒に

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 バアルさんと一緒にのんびり。広い浴槽に四肢を伸ばして寛いで、全身が十分に癒された風呂上がり。

 ルーティンのスキンケアも、バアルさんの触角と羽のお手入れのお手伝いも終えた後は、待ちかねていたお楽しみの時間。その主役は、大きな手によってテーブルの上へと静かに置かれた。

 今晩一緒に飲もうねと約束していた、ノンアルコールワインのボトル。ラベルに描かれたお城と大きな星は、シャンデリアの明かりの元でもキラキラしている。

 文房具屋で見かけて、珍しいな、こんな色もあるんだなって思った銀とか金色の絵の具。それらに含まれていたキラキラのような、もしくは宝石を砕いて塗料に混ぜたような。

 それらで描かれたように煌めいているラベルの絵は、そのキレイさと物珍しさについつい眺めていたくなってしまう。まだ開けてもいないのに、早くもワクワク感が込み上げてきてしまう。

 よっぽど分かりやすく顔にも出してしまっていたのだろう。

「ふふ、少々お待ち下さい」

 ワインばかりを見つめてしまっていた俺を見て、バアルが微笑んだ。目尻のシワを深めながらボトルをそっと手にとって、慣れた様子で栓を開け始める。

 彼が手にしていたのは、どこかで見かけた便利グッズのような。これさえあれば缶切りにでも、ハサミにでもドライバーにでも何でもなりますっ、とそんな謳い文句でも書かれていそうな、用途によって使う場所が変わる器具だった。

 先ずはナイフのように尖った部分を、キャップがあるであろう先へとあてがっていた。たおやかな手が流れるように動く様を見ている内に、プラスチックっぽいフィルムがするりと外された。その下から、映画や漫画でよく見るコルク栓が顔を出す。

「やっぱりスゴく手際がいいね……カッコいい」

「ありがとうございます、お褒めに預かり光栄です」

 バアルは視線だけをこちらへと向けてから、柔らかく微笑んだ。深くなった目尻のシワが、口角と一緒に僅かに上がった整えられたお髭がカッコいい。期待感以外の高鳴りが追加されてしまった。

 視線を手元へと戻したバアルが次に使おうとしているのはバネのような、ぐるぐると螺旋状になっている金属の棒部分のようだ。その尖った先端をコルクの真ん中へと指してから、ハンドルのような部分をネジを回すようにぐるぐるぐる。

 もうすぐ抜けるのかな? 抜けそうだよな?

 その瞬間を見逃すまいと、ワインのキャップ部分に注目しているとバアルさんから手招きされた。

「なに、なに? どうしたの?」

「折角ですので、最後の仕上げをご一緒にと。いかがでしょうか?」

「っ、やりたい! やってみたいですっ!」

「では、此方へ」

 誘われるがままにワインの前へと、バアルさんの前へと立つ。何だか二人羽織をしているかのよう。後ろから長く引き締まった腕が伸びてきて、俺の手を恭しく取った。そのまま、このように持つと良いですよ、とボトルの持ち方を教えてくれた。

「テコの要領でコルク栓を引き抜いていきます。先ずは、此方のフックを瓶の口へと引っかけてみて下さい」

「はいっ」

 整えられた指先が指し示しているフックとやらの先を、手探りで瓶の口の凸凹へと引っかけようと試みる。分からずにガチャガチャとやってしまっていたものの、わりとすぐに手応えを感じた。
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