【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】七日目:おあずけをされたからといって、終わりだという訳では

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 可愛らしく、擽ったいものだった。

「ひゃっ、ふは……ば、バアル? バアルしゃ、ははっ」

「まだまだ緊張なされているようでございますからね」

「先ずは、そちらを解していかなければ」

 思わず目を開けていた俺に応える二人の表情は真剣そのもの。バアルは俺の首横に口づけながら、バアルさんは耳をそっと食みながら、空いている手で俺の身体を撫で回している。

 その手つきは変わらず優しいものの、甘やかしてくれている訳でもなければ、可愛がってくれている訳でもない。言葉の通り俺の緊張を解そうとしてくれている。絶妙な擽ったさで。

「ほぐ、解すってそういう、ふふっ……だからって、二人がかりはズル、あははっ」

 いつもならば、俺だってと懸命に反旗を翻すところ。大人な彼に一矢でも多く報いようと俺なりにじゃれてみたり、口づけ返してみたりするのだが。今回ばかりは、分が悪過ぎた。

 両手に花な状態の俺は、文字通り手も足も出せなかった。彼らが俺の緊張が解けたと認めてくれるまで、腹筋が痛くなってしまうまで、存分に笑わせられることになってしまったんだ。



 シーツはひっちゃかめっちゃかに乱れてしまっていたけれども、ベッドの上の雰囲気は和やかなものだった。

 緊張のきの字も無くなるほどにしっかりと解されてしまった俺は、彼らの筋肉質な腕の中でのんびりと。今度は俺もバアルとバアルさんの頭を同時に撫でたり、二人がかりで撫で返されたりと、一番最初に俺が思い描いていた通りに三人で過ごせていた。

 てっきり俺は、もうしばらくはこんな穏やかな触れ合いが続くもんだと。彼らの大きな手のひらから、ゆったりと愛でてもらえるのだと思っていたのだけれども。

「アオイ……」

 ふと穏やかな声のトーンが低くなる。

 耳に吐息を吹き込むような囁きに背筋を甘く震わせてしまっている内に、白く長い指に顎を掴まれ、促された。素直に従って彼の方へと向けばご褒美をもらえた。柔らかく微笑む唇が重ねられた。

「バアル……ん、ふ……」

 交わしてもらえたのは、じゃれ合うようなキス。お互いに唇を擦り寄せ合ったり、押し付け合ったり。何度してもらえても飽きることのない、飽きる訳がないやり取り。気分がふわふわと浮かれてしまう口づけを、俺はもっと交わしていたかった。

「ぁ……」

 なのに、おあずけをされてしまった。最後に額に優しいキスを送ってくれてからバアルが離れていってしまう。

 だからといって、終わりという訳ではなかったみたい。

「アオイ……私めにも、どうか御慈悲を」

 バアルが頭を撫でてくれ始めたタイミングで、今度はバアルさんが俺の顎に指を添えてきた。

 どうやら交代をしたかっただけみたい。またしても優しく促されるがまま今度は左を向けば、やっぱり柔らかな笑顔に迎えられる。形のいい唇を重ねてもらえる。

「っ、うん……バアルさ……ふ、ぁ……」

 分かってはいた。頭を撫でてもらえていた時に、手の甲に口づけてもらえていた時に。感じた温もりや感触は、元のバアルよりも少しぼんやりとしてはいたものの、やっぱりバアルだなって。ちゃんと、俺が大好きな彼と瓜二つだなって。

 実際に口づけてもらえれば、より明確に感じることが出来た。ホントに本物のバアルに口づけてもらえているのと変わらない。いや、まぁ、ちゃんとした触れる分身さんなんだし、今は個別になっているとはいえバアルの一部みたいなもんなんだから当たり前なんだけれども。それでも。

 ……何だか、不思議な気分だな。
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