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★【新婚旅行編】八日目:いつもの彼の手口
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左右の耳元でそれぞれ囁いてくる声は楽しそうで、嬉しそうで、無邪気だった。こういう状況じゃなかったら、可愛いなぁ、と和んでしまうくらいに。
言うまでもないだろうが、俺にはそんな余裕はない。そもそも彼らの質問に答えることすら。
出来ていることといえば、言葉になっていない声を上げながら身体をもじもじ揺らすだけ。それすら、俺の意思とは関係なくやっちゃっているんだけれども。二人から触れてもらえる度に勝手に声が、身体がそういう反応を示してしまっているんだけれども。
「あ、ぅ……あ、んっ……」
「アオイ……」
「アオイ様……」
不意に手を止めて俺を呼んだ声は打って変わって弱々しい。思わず彼らの頭を撫で回したくなるような声だった。
それが、いつもの彼の手口だってのは分かっている。分かっているんだけれども、寂しげな光を湛えた瞳で見つめられてしまえば。
「っ……そう、だよ……昨日、二人からしてもらえたの、思い出しちゃったから……思い出しちゃっただけで、こんな」
「可愛いですね」
「誠に嬉しく存じます」
食い気味に返ってきた声にも、擦り寄らんばかりに近づいてきてくれた顔にも、あふれんばかりの喜びが滲んでいる。ぶんぶん、ぱたぱたと、急に賑やかになった触角と羽も嬉しいんだって、俺に全力でアピールしてくれているみたいで。
「う……もう……」
ちょっぴりの気恥ずかしさなんて、どうでもよくなってしまっていた。むしろ勇気を出せて良かったなって思えていた。
俺の中では大団円。満足してもらえただろう、と安心していたもんだから、少し余裕が戻ってきたもんだから、欲が出てしまっていた。
シャンデリアに頑張ってもらわなくても、カーテンから差し込む日差しによって部屋は明るくなってしまっているけれど、ちょっとだけなら、なんて。そういう方向でもイチャイチャ出来ないかな、なんて期待してしまっていたのだ。
けれども、俺の予想に反して二人は意外と欲張りさんだったみたい。
それぞれ俺の右手と左手とで繋いでくれながら、バアルとバアルさんが尋ねてくる。吐息だけでなく高い鼻先までもが頬に触れてしまいそう。
「ところで、アオイ……この老骨めらに、何か仰ることがあるのでは?」
「どうか、貴方様の望みを、私めらに聞かせては頂けないでしょうか?」
緩やかに上がっている口角だけでなく、一緒にくいっと持ち上がっているお髭まで何だか悪戯っぽい。
さっきと同じで答えればいいだけだ。望み通りに。そうすれば、俺の期待していた通りに可愛がってくれるだろう。
けれども、俺の口も心も余計な余裕を取り戻してしまっていた。
「……ズルくない? 先に触ってくれておいてさ」
その前から、そわそわしちゃってはいたけどさ。でも、もっとその気にさせておいてから、最終的には俺に言わせたいだなんて、そんなの。
「申し訳ございません」
ぴったり揃った言葉が口だけの謝罪だってのはすぐに分かった。
だって、そもそも俺は全然怒ってなんかいない。嫌がっているなんて、それこそある訳がない。そのこと自体は二人にはバッチリお見通しなのだ。
だから、このやり取りはもはやお遊びというか、俺達にとってはお約束というか。
「ですが、どうしても貴方様の口からお聞き致したく……」
「どうか、私めらに願っては頂けないでしょうか?」
とはいえ、俺だって一矢は報いたかったというか。相変わらず大人な余裕に満ちている彼らに、ちょっとくらい俺でドキドキしてもらいたかったのだ。
「……バアル」
「はい……っ、ん」
腕を伸ばして両手で包みこんだ端正な顔には、分かりやすく驚きが滲んでいる。
言うまでもないだろうが、俺にはそんな余裕はない。そもそも彼らの質問に答えることすら。
出来ていることといえば、言葉になっていない声を上げながら身体をもじもじ揺らすだけ。それすら、俺の意思とは関係なくやっちゃっているんだけれども。二人から触れてもらえる度に勝手に声が、身体がそういう反応を示してしまっているんだけれども。
「あ、ぅ……あ、んっ……」
「アオイ……」
「アオイ様……」
不意に手を止めて俺を呼んだ声は打って変わって弱々しい。思わず彼らの頭を撫で回したくなるような声だった。
それが、いつもの彼の手口だってのは分かっている。分かっているんだけれども、寂しげな光を湛えた瞳で見つめられてしまえば。
「っ……そう、だよ……昨日、二人からしてもらえたの、思い出しちゃったから……思い出しちゃっただけで、こんな」
「可愛いですね」
「誠に嬉しく存じます」
食い気味に返ってきた声にも、擦り寄らんばかりに近づいてきてくれた顔にも、あふれんばかりの喜びが滲んでいる。ぶんぶん、ぱたぱたと、急に賑やかになった触角と羽も嬉しいんだって、俺に全力でアピールしてくれているみたいで。
「う……もう……」
ちょっぴりの気恥ずかしさなんて、どうでもよくなってしまっていた。むしろ勇気を出せて良かったなって思えていた。
俺の中では大団円。満足してもらえただろう、と安心していたもんだから、少し余裕が戻ってきたもんだから、欲が出てしまっていた。
シャンデリアに頑張ってもらわなくても、カーテンから差し込む日差しによって部屋は明るくなってしまっているけれど、ちょっとだけなら、なんて。そういう方向でもイチャイチャ出来ないかな、なんて期待してしまっていたのだ。
けれども、俺の予想に反して二人は意外と欲張りさんだったみたい。
それぞれ俺の右手と左手とで繋いでくれながら、バアルとバアルさんが尋ねてくる。吐息だけでなく高い鼻先までもが頬に触れてしまいそう。
「ところで、アオイ……この老骨めらに、何か仰ることがあるのでは?」
「どうか、貴方様の望みを、私めらに聞かせては頂けないでしょうか?」
緩やかに上がっている口角だけでなく、一緒にくいっと持ち上がっているお髭まで何だか悪戯っぽい。
さっきと同じで答えればいいだけだ。望み通りに。そうすれば、俺の期待していた通りに可愛がってくれるだろう。
けれども、俺の口も心も余計な余裕を取り戻してしまっていた。
「……ズルくない? 先に触ってくれておいてさ」
その前から、そわそわしちゃってはいたけどさ。でも、もっとその気にさせておいてから、最終的には俺に言わせたいだなんて、そんなの。
「申し訳ございません」
ぴったり揃った言葉が口だけの謝罪だってのはすぐに分かった。
だって、そもそも俺は全然怒ってなんかいない。嫌がっているなんて、それこそある訳がない。そのこと自体は二人にはバッチリお見通しなのだ。
だから、このやり取りはもはやお遊びというか、俺達にとってはお約束というか。
「ですが、どうしても貴方様の口からお聞き致したく……」
「どうか、私めらに願っては頂けないでしょうか?」
とはいえ、俺だって一矢は報いたかったというか。相変わらず大人な余裕に満ちている彼らに、ちょっとくらい俺でドキドキしてもらいたかったのだ。
「……バアル」
「はい……っ、ん」
腕を伸ばして両手で包みこんだ端正な顔には、分かりやすく驚きが滲んでいる。
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