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【新婚旅行編】八日目:甘えてくれているからこそ、なのかな
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唐突にスイッチが入ったみたいに、ふっと意識が浮上した。どうやら眠ってしまっていたようだ。それはすぐに分かったんだけれども。
その前に……何を、していたんだったっけ?
瞼すらまだしっかりと開けていない起き抜けな状態では頭が回るわけもなく、思い出そうとしても中々直前の記憶が出てきやしない。
となれば、必然的に状況を確認しようと周囲を見回したり、とりあえず身体を起こそうとしたりしてしまう訳で。
「あ……」
そこで初めて気がついた。身動きが一切取れないことに。筋肉質な長い腕から抱き締められていることに。
それも絶対に離さないと言わんばかり。後頭部と腰にはそれぞれ大きな手が添えられているし、足は足でガッシリと。逞しくもしなやかな長い足が絡みついてしまっている。何なら普段は丁寧に折り畳まれたように縮んでいる羽までもが、掛け布団の役割を取って代わるかのよう。
広い背中から生えている透き通った四枚の羽は、磨き上げられたガラスのように美しい。触った時の質感もまさにそれで、ツルツルとしていて撫で心地がいい。けれどもガラスのように固い訳ではなく、絹のような柔らかさでご自身ごと俺を包みこんでいるのだ。全身を使って抱き締めてくれていたのだ。
そんな嬉しくて幸せな状況だったとは知らずに身を捩ってしまったからだろう。
「ん、ぅ……」
頭の上から聞こえたのは、疑問と不満とが混じったような声だった。どうやら珍しいことに、バアルはまだ眠っていたようだ。今ので起こしてしまったみたいだけど。
「ご、ごめん、バアル……ふわっ」
抱き締めてくれている腕の力が強くなった。とは言っても息苦しさはない。ますます密着してもらえて、目の前にあった分厚い胸板に頬をムニッと押し付けてしまったくらいだ。
頬にくっついてしまっている柔らかな温もりから、優しい心音が聞こえてくる。波の音もリラックス効果が高いけど、こちらとは比べものにならない。出来るならばずっと聞いていたくなる、安心出来る音だ。
……お陰様で気分がでたらめだ。
濃くなったハーブの香りに、隙間なく密着している鍛え抜かれた長身に甘い緊張感を覚えてしまっているのは確かだ。にも関わらず、身体の力がホッと抜けるほどに安堵しているのも事実な訳で。
果たして俺はそわそわしてしまっているのか、ゆったり寛げているのか。自分のことなのに訳が分からなくなってしまっていると、また穏やかな声が頭の上からポツリと降ってきた。
「アオイ……どうか、まだ暫しこのままで……」
伝えたいことはそれだけだったのか、バアルは俺の返事も待たずにまた静かな寝息を立て始めてしまった。ホントに珍しい。だってバアルは俺が起きているって、確実に気づいているのだから。
それでも、このまま眠っていたいって言ってくれたのは……俺に甘えてくれているからこそ、なのかな。
今までになかった彼からのお願いに、頭がくらくらしてしまう。どうしようもなく愛しさが込み上げてくる。
ああ……今、滅茶苦茶バアルのこと撫で回したいっ……でも、このお願いは絶対に叶えて上げたいし……
思えば、眠ってしまっていた前もこんな感じだった気がする。バアルのレアな言動にすっかりときめいてしまっていたけど、彼の眠りを妨げたくないからってじっと息を殺している内に。
そうだ。寝ちゃったんだった。とはいえ無理もないだろう。いくら珍しい彼の寝落ちする瞬間を間近で見ることが出来て舞い上がっていたとはいえ、彼の腕の中という癒し空間に居たのだから。
その前に……何を、していたんだったっけ?
瞼すらまだしっかりと開けていない起き抜けな状態では頭が回るわけもなく、思い出そうとしても中々直前の記憶が出てきやしない。
となれば、必然的に状況を確認しようと周囲を見回したり、とりあえず身体を起こそうとしたりしてしまう訳で。
「あ……」
そこで初めて気がついた。身動きが一切取れないことに。筋肉質な長い腕から抱き締められていることに。
それも絶対に離さないと言わんばかり。後頭部と腰にはそれぞれ大きな手が添えられているし、足は足でガッシリと。逞しくもしなやかな長い足が絡みついてしまっている。何なら普段は丁寧に折り畳まれたように縮んでいる羽までもが、掛け布団の役割を取って代わるかのよう。
広い背中から生えている透き通った四枚の羽は、磨き上げられたガラスのように美しい。触った時の質感もまさにそれで、ツルツルとしていて撫で心地がいい。けれどもガラスのように固い訳ではなく、絹のような柔らかさでご自身ごと俺を包みこんでいるのだ。全身を使って抱き締めてくれていたのだ。
そんな嬉しくて幸せな状況だったとは知らずに身を捩ってしまったからだろう。
「ん、ぅ……」
頭の上から聞こえたのは、疑問と不満とが混じったような声だった。どうやら珍しいことに、バアルはまだ眠っていたようだ。今ので起こしてしまったみたいだけど。
「ご、ごめん、バアル……ふわっ」
抱き締めてくれている腕の力が強くなった。とは言っても息苦しさはない。ますます密着してもらえて、目の前にあった分厚い胸板に頬をムニッと押し付けてしまったくらいだ。
頬にくっついてしまっている柔らかな温もりから、優しい心音が聞こえてくる。波の音もリラックス効果が高いけど、こちらとは比べものにならない。出来るならばずっと聞いていたくなる、安心出来る音だ。
……お陰様で気分がでたらめだ。
濃くなったハーブの香りに、隙間なく密着している鍛え抜かれた長身に甘い緊張感を覚えてしまっているのは確かだ。にも関わらず、身体の力がホッと抜けるほどに安堵しているのも事実な訳で。
果たして俺はそわそわしてしまっているのか、ゆったり寛げているのか。自分のことなのに訳が分からなくなってしまっていると、また穏やかな声が頭の上からポツリと降ってきた。
「アオイ……どうか、まだ暫しこのままで……」
伝えたいことはそれだけだったのか、バアルは俺の返事も待たずにまた静かな寝息を立て始めてしまった。ホントに珍しい。だってバアルは俺が起きているって、確実に気づいているのだから。
それでも、このまま眠っていたいって言ってくれたのは……俺に甘えてくれているからこそ、なのかな。
今までになかった彼からのお願いに、頭がくらくらしてしまう。どうしようもなく愛しさが込み上げてくる。
ああ……今、滅茶苦茶バアルのこと撫で回したいっ……でも、このお願いは絶対に叶えて上げたいし……
思えば、眠ってしまっていた前もこんな感じだった気がする。バアルのレアな言動にすっかりときめいてしまっていたけど、彼の眠りを妨げたくないからってじっと息を殺している内に。
そうだ。寝ちゃったんだった。とはいえ無理もないだろう。いくら珍しい彼の寝落ちする瞬間を間近で見ることが出来て舞い上がっていたとはいえ、彼の腕の中という癒し空間に居たのだから。
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