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【新婚旅行編】九日目:とある王様は約束の時間を前にして舞い上がっていた
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窓の外から差し込んでいる日差しが随分と高くなってしまっている。度々聞こえてきていた音も気合の入った兵士達の掛け声から、そわそわとした賑やかさに変わってきているあたりお昼が近いのであろう。
ということは大切な、本日の最重要事項である二人との約束の時間も近づいてきてしまっているということで。
意識した途端に込み上げてきてしまった逸る気持ちが、ペンを持つ手を駆け足にしてしまう。
……落ち着け、落ち着け、後少しなのだから。残りの分量的に、十分に時間には間に合うのだから。ここで焦ってミスをしてしまった方が、余計に時間を食う羽目になってしまうのだから。
私自身に言い聞かせながら、あくまでも平静を装って残りの書類を進めていく。
自画自賛になってしまうが良いスピードだ。ペンが乗っている。今の私ならば書類タワーの一つや二つ、簡単にこなしてしまえるやも……いやいや調子に乗っては駄目であるな。確実に、正確に一つ一つを終わらせていかなければ。
やはり、約束の時間を前にして舞い上がってしまっているのであろう。少々気持ちが驕り高ぶりそうになってしまったが、体感していた感覚に間違いはなかったらしい。私が想定していた時間よりも早く、最後の書類を書き終えていた。
最後の印を押す前に、間違いをしていないかしっかりと隅々まで目を通す。問題ないと確認出来たところで青く透き通っている印鑑に、魔宝石で出来た印鑑に手を伸ばした。
仕上げを終えた書類を舞い上がらせて、積み上がっている書類の天辺へと静かに着地させる。
「よし……レタリー」
「はい、ヨミ様」
私の執務机の側で、真っ直ぐに背筋を伸ばして控えていた秘書殿。レタリーが私に会釈をしてから、机の上にタワーのように積み上げられた書類に指を伸ばす。全ての書類が高い天井へと向かって一瞬の内に舞い上がった。
紙吹雪のように無造作に、宙を浮かんでいる書類達が次々と列を成していく。一枚一枚お行儀よく彼の前へと、自分で自分をアピールするかのようにふわりと飛んでいっては、また私の執務机の上へと戻っていく。また一枚一枚と積み重なっていく。
バアルの時から見慣れているとはいえ、レタリーの手腕も負けず劣らず鮮やかだ。目を通していくスピードも素晴らしい。
改めて師としてのバアルの優秀さと、彼の全てを受け継いでくれているレタリーの優秀に感慨深く思っている内に最終チェックを終えてくれたようである。
レタリーは最後の書類が飛んでいく様を見送ってから胸元に手を当てながら、華やかな黄緑色の尾羽根を密かに揺らしながら私に向かって頭を下げた。
「お疲れ様でした、ヨミ様」
「うむっ、レタリーもお疲れ様。不備がなかったようで何よりである」
もし問題があれば、すぐさまその書類を差し出してきて、此方を、と間違ってしまっている部分を指摘してくることであろう。それが一切無かったということは、労いの挨拶をしてくれたということは万事オッケー。これで私も大手を振って、二人の元へと迎えるということである。
落ち着けようとしていた気持ちが、またしても浮かれ始めていく。だが、もう浮かれたままで構いやしないのだ。私は意気揚々と机を立とうとしていた。
「ええ、誠に完璧なお仕事でございました」
「はは、であろう?」
秘書殿は私に向かって小さく頷いた。そして、改めて形成された書類のタワーをそれはそれは感心しているような目で眺めてから、綺麗な笑顔を崩すことなく言ってのけた。
「はい。普段から斯様に優秀でいらしたら、私めがバアル様、アオイ様御夫婦の素敵なお写真を隠さずに済むものの……」
今言わなくてもいいであろう、誠に余計な一言を。
ということは大切な、本日の最重要事項である二人との約束の時間も近づいてきてしまっているということで。
意識した途端に込み上げてきてしまった逸る気持ちが、ペンを持つ手を駆け足にしてしまう。
……落ち着け、落ち着け、後少しなのだから。残りの分量的に、十分に時間には間に合うのだから。ここで焦ってミスをしてしまった方が、余計に時間を食う羽目になってしまうのだから。
私自身に言い聞かせながら、あくまでも平静を装って残りの書類を進めていく。
自画自賛になってしまうが良いスピードだ。ペンが乗っている。今の私ならば書類タワーの一つや二つ、簡単にこなしてしまえるやも……いやいや調子に乗っては駄目であるな。確実に、正確に一つ一つを終わらせていかなければ。
やはり、約束の時間を前にして舞い上がってしまっているのであろう。少々気持ちが驕り高ぶりそうになってしまったが、体感していた感覚に間違いはなかったらしい。私が想定していた時間よりも早く、最後の書類を書き終えていた。
最後の印を押す前に、間違いをしていないかしっかりと隅々まで目を通す。問題ないと確認出来たところで青く透き通っている印鑑に、魔宝石で出来た印鑑に手を伸ばした。
仕上げを終えた書類を舞い上がらせて、積み上がっている書類の天辺へと静かに着地させる。
「よし……レタリー」
「はい、ヨミ様」
私の執務机の側で、真っ直ぐに背筋を伸ばして控えていた秘書殿。レタリーが私に会釈をしてから、机の上にタワーのように積み上げられた書類に指を伸ばす。全ての書類が高い天井へと向かって一瞬の内に舞い上がった。
紙吹雪のように無造作に、宙を浮かんでいる書類達が次々と列を成していく。一枚一枚お行儀よく彼の前へと、自分で自分をアピールするかのようにふわりと飛んでいっては、また私の執務机の上へと戻っていく。また一枚一枚と積み重なっていく。
バアルの時から見慣れているとはいえ、レタリーの手腕も負けず劣らず鮮やかだ。目を通していくスピードも素晴らしい。
改めて師としてのバアルの優秀さと、彼の全てを受け継いでくれているレタリーの優秀に感慨深く思っている内に最終チェックを終えてくれたようである。
レタリーは最後の書類が飛んでいく様を見送ってから胸元に手を当てながら、華やかな黄緑色の尾羽根を密かに揺らしながら私に向かって頭を下げた。
「お疲れ様でした、ヨミ様」
「うむっ、レタリーもお疲れ様。不備がなかったようで何よりである」
もし問題があれば、すぐさまその書類を差し出してきて、此方を、と間違ってしまっている部分を指摘してくることであろう。それが一切無かったということは、労いの挨拶をしてくれたということは万事オッケー。これで私も大手を振って、二人の元へと迎えるということである。
落ち着けようとしていた気持ちが、またしても浮かれ始めていく。だが、もう浮かれたままで構いやしないのだ。私は意気揚々と机を立とうとしていた。
「ええ、誠に完璧なお仕事でございました」
「はは、であろう?」
秘書殿は私に向かって小さく頷いた。そして、改めて形成された書類のタワーをそれはそれは感心しているような目で眺めてから、綺麗な笑顔を崩すことなく言ってのけた。
「はい。普段から斯様に優秀でいらしたら、私めがバアル様、アオイ様御夫婦の素敵なお写真を隠さずに済むものの……」
今言わなくてもいいであろう、誠に余計な一言を。
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