【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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★【新婚旅行編】十一日目:上手い誘い文句は得意じゃないから

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 硬くて太い熱が、俺とは違う体温が、俺の中へと入り込もうとしている感覚。しっかり慣らしてもらえていたとはいえ、三本の指とは比べものにならない太さが尻の穴を広げようとしてくる感覚。

 何度も体験してきているとはいえ、いつも何らかの理由で苦戦を強いられる可能性が高いこの段階は、今日も今日とて俺が愛する旦那様を受け入れる邪魔をしようとしているらしい。俺の身体のクセに。

「は、っ……アオイ……大丈夫、ですからね……」

 苦しそうな吐息を漏らしながらも柔らかな笑みを絶やさないでくれている唇が、甘やかすように口付けてくれる。

 柔らかな温もりと触れ合えたことで、もたらされた安心感。その効果は絶大で、俺の意思に反して頑なだった俺の中が不思議なくらいに容易く緩んでいく。ついさっきまで侵入を妨害するように強く締め付けてしまっていたってのに。

 無意識な妨害さえなくなってしまえば後は容易い。尻の奥から腹の奥まで、するすると彼の体温で満たされていく。

 最後に待ち受けている弁のところですら、一度行き止まりに止まったかのように硬い先が、そこにコツンと当たったくらいで。そこから、より時間をかけてゆっくりと進めてしまえば、あっさりと。

 腰に響くような重たい快感を俺にもたらしながらも抜けることが出来た。今届くであろう一番奥にまで彼のものを招き入れることに成功した。

「ん……んん……っ」

 大きく張り出した先端が、弁を擦るようにしながら抜けていった際の快感。頭がバカになってしまいそうな、気持ちのいい波がまだ全身に広がっていってしまっている。頭の天辺は勿論のこと、震えっぱなしの足のつま先にまで。どこもかしこも痺れるように熱い。

 全身を揺らしているように感じるほどの煩い心音。その中でも俺を心配してくれている彼の呼びかけは、優しく小さなものだったのに不思議なくらいにハッキリと聞き取ることが出来ていた。

「アオイ……」

「は、ぁ……バ、アル……」

 大丈夫だよって、言わなくても伝わってくれたような。バアルの眉間に少しだけ刻まれていたシワが、俺が指先で撫でなくても消えていく。

 鮮やかな緑の瞳を細めながら、バアルはまた緩やかな笑みを浮かべた唇で俺に触れてきてくれた。汗ばんでしまっている額にも、涙が滲んでいる目元にも、慈しむように触れてくれる。

 鼻先や、頬にも。もう触れてもらえていないところなんてないんじゃないかな、なんて。

 そうぼんやりと考えられる余裕が生まれてきたからだろう。身体の方も、そわそわしてきてしまっていた。俺の中を隙間なく埋めてくれている彼の熱に対して、物足りないな、なんて。もどかしさを感じてしまっていた。

「ね……そろそろ、いいよ?」

 上手い誘い文句は相変わらず得意じゃない。

 だから、別の形でもアピールしてみた。彼の頬を包み込むように手を添えながら、その括れた腰に足を絡めてみた。これで俺の気持ちは伝わったハズ……だよね?

 俺を見下ろす瞳には変化が見られた。

 優しく微笑んでくれていたのが、鋭く細められていく。柔らかだった輝きに、ギラギラとした獣じみた欲が滲んできてくれている。なのに。

 バアルは動かなくなってしまっていた。優しいキスすらもしてくれることなく、また眉間に深いシワを刻んでしまっている。顔にもだ。元々目元や頬骨辺りにあるカッコいいシワが、その濃さを増してしまっていた。
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