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★【新婚旅行編】十一日目:珍しく分かりやすい彼の表情
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凄みが増した彼の表情に、背筋が勝手にピシッと伸びてしまう。元々バアルがカッコよくて美人さんだからだろうな。整った顔が真剣味を増しているから、恐れ多いような気分になってしまうんだろう。
俺とバアルをもっと二人っきりにしていた彼の羽は、いつの間にやら元の状態に戻っていた。いつもよりは大きく広がってはいるものの、彼の背でぱたぱたとはためいている。二本の触角も落ち着きなくそわそわと揺れていた。
「……お願いが、あるのですが」
「へ?」
このタイミングでってことは、また新たなことに挑戦してみたいっていうパターンだろう。ちょっとだけびっくりしてしまったけれども、時々あるヤツだ。初めてじゃない。
そう頭の中で整理している内に気持ちが落ち着いたんだろう。どこか言い辛そうにしている彼に対して、優しく尋ねることが出来ていたんだ。
「……なに? 遠慮しないで言っていいよ。バアルからのお願いを叶えてあげられるだなんて、嬉しいことしかないんだからさ」
「……アオイ」
見つめてくる瞳は喜びに浸ってくれているような。曇り空に晴れ間が差したかのように煌めいていて、鮮やかで。
「では、アオイに頑張って頂いても? 愛しい妻のお好きなように、この老骨めを愛しては頂けないでしょうか?」
「お、俺が? バアルが、じゃなくて?」
「駄目、でしょうか?」
「いっ、いや……いい、けど……嬉しいよ? でも、バアルこそ、いいの? 結構、限界近かったでしょ? なのに、俺が主導権を握るなんて……辛いんじゃ、ない?」
「それは……」
言葉を詰まらせたバアルの表情は珍しく分かりやすかった。図星だって、そう書かれているみたい。
透明感のある白い頬が一気に赤みを増していく。困ったように眉尻を下げながら俺から目を逸らして、長い睫毛を伏せてしまった。照れちゃったのかな。可愛いな。
胸の奥の方が、またきゅっと締め付けられているような。擽ったいような。それでも不思議と心地のいい感覚に乗せられるように、俺は彼の白い髪へと手を伸ばしていた。いつもよりは近い位置にある柔らかな髪を両の手で撫で回してしまっていた。
「へへ……いいんだよ? バアルの好きにして……俺のこと、バアルの好きなように愛してくれていいんだよ?」
「でしたら、お願い致します」
「うんっ、じゃあ、俺、後ろを向……って、え?」
すっかり調子に乗りかけていた俺がもらった答えは、予想とは違うものだった。
てっきりバアルが俺に夢中になってくれる体勢で……後ろを向いた状態で彼の逞しい身体に組み伏せられて、身動きが取れないままバアルの好きなように腰を打ちつけてもらえるのかと。貪るように俺の中を擦ってもらえるのかと。
ぽかんとしている俺をよそに、筋肉質な腕が俺を軽々と抱き上げた。繋がったまま、器用に自身も身体を起こして、俺を膝の上へと抱き直す。
「ん、ぁ……」
自重から彼のものをより深くへと招き入れていた。すぐに止まってしまったけれども、ずっと求めていた快感を思いがけずにもらえた喜びはひとしおで。思わず上げてしまっていた声に分かりやすく喜びを滲ませてしまっていた。
「……可愛いですね、私の妻は」
立場はあっさり逆転。
けれども、俺は目を逸らさせてはもらえなかった。顎を掴まれ、口付けられて、あっさりと釣られてしまう。緑の瞳が嬉しそうに微笑んだ。
俺とバアルをもっと二人っきりにしていた彼の羽は、いつの間にやら元の状態に戻っていた。いつもよりは大きく広がってはいるものの、彼の背でぱたぱたとはためいている。二本の触角も落ち着きなくそわそわと揺れていた。
「……お願いが、あるのですが」
「へ?」
このタイミングでってことは、また新たなことに挑戦してみたいっていうパターンだろう。ちょっとだけびっくりしてしまったけれども、時々あるヤツだ。初めてじゃない。
そう頭の中で整理している内に気持ちが落ち着いたんだろう。どこか言い辛そうにしている彼に対して、優しく尋ねることが出来ていたんだ。
「……なに? 遠慮しないで言っていいよ。バアルからのお願いを叶えてあげられるだなんて、嬉しいことしかないんだからさ」
「……アオイ」
見つめてくる瞳は喜びに浸ってくれているような。曇り空に晴れ間が差したかのように煌めいていて、鮮やかで。
「では、アオイに頑張って頂いても? 愛しい妻のお好きなように、この老骨めを愛しては頂けないでしょうか?」
「お、俺が? バアルが、じゃなくて?」
「駄目、でしょうか?」
「いっ、いや……いい、けど……嬉しいよ? でも、バアルこそ、いいの? 結構、限界近かったでしょ? なのに、俺が主導権を握るなんて……辛いんじゃ、ない?」
「それは……」
言葉を詰まらせたバアルの表情は珍しく分かりやすかった。図星だって、そう書かれているみたい。
透明感のある白い頬が一気に赤みを増していく。困ったように眉尻を下げながら俺から目を逸らして、長い睫毛を伏せてしまった。照れちゃったのかな。可愛いな。
胸の奥の方が、またきゅっと締め付けられているような。擽ったいような。それでも不思議と心地のいい感覚に乗せられるように、俺は彼の白い髪へと手を伸ばしていた。いつもよりは近い位置にある柔らかな髪を両の手で撫で回してしまっていた。
「へへ……いいんだよ? バアルの好きにして……俺のこと、バアルの好きなように愛してくれていいんだよ?」
「でしたら、お願い致します」
「うんっ、じゃあ、俺、後ろを向……って、え?」
すっかり調子に乗りかけていた俺がもらった答えは、予想とは違うものだった。
てっきりバアルが俺に夢中になってくれる体勢で……後ろを向いた状態で彼の逞しい身体に組み伏せられて、身動きが取れないままバアルの好きなように腰を打ちつけてもらえるのかと。貪るように俺の中を擦ってもらえるのかと。
ぽかんとしている俺をよそに、筋肉質な腕が俺を軽々と抱き上げた。繋がったまま、器用に自身も身体を起こして、俺を膝の上へと抱き直す。
「ん、ぁ……」
自重から彼のものをより深くへと招き入れていた。すぐに止まってしまったけれども、ずっと求めていた快感を思いがけずにもらえた喜びはひとしおで。思わず上げてしまっていた声に分かりやすく喜びを滲ませてしまっていた。
「……可愛いですね、私の妻は」
立場はあっさり逆転。
けれども、俺は目を逸らさせてはもらえなかった。顎を掴まれ、口付けられて、あっさりと釣られてしまう。緑の瞳が嬉しそうに微笑んだ。
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