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貴方が嬉しそうに話してくれたので
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お国が変われば謝罪の仕方が変わるのは当然だ。別の星ともなれば尚更。だからこそこれは彼にとって、最大級の誠意を見せてくれているってことなんだろうけど。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
壊れたようにその単語ばかりを繰り返しながら、リアムは絨毯へ膝をついていた。そこまでは、まぁ分かる。良くはないんだけれど。でも。
俺の手のひらに額を擦り付け続けられるのは……ちょっと。
白い手に強く握られているだけでなく、黒い手の指先でも俺の腕を、手を離さぬよう握ってくるもんだから動けないし。ネモネはネモネで真似をしているのか、その小さな額を俺の頬へとふわふわ擦り寄せてきているし。
「本当に大丈夫だって……びっくりしただけだからさ」
「ですが……」
「あー……ところでリアムの船って、どんなのなんだ? 教えてもらえると嬉しいんだけど」
途端にリアムはぴたりと動きを止めた。良かった、事態が好転しそうだ。
「喜んで、頂けるのですか?」
「うん、嬉しいよ。良かったら、教えてくれないか?」
「お任せ下さい!」
元気になってくれたみたいだ。黒の瞳に滲んでいた濃い青は消え、代わりに鮮やかな黄色が。あまり変わらない表情もどこか明るい。
すっくと立ち上がったかと思えば、さあさあ此方へ、とソファーへと案内された。見た目からしてふかふかなソファーは座り心地だけでなく、手触りもいい。何だかお高そうな感じだ。
隣に腰掛けたリアムは、その長身のほとんどを隠している白いコートの袖を徐に捲った。
手首には金属のような光沢を持つ腕輪。シンプルなデザインの中でもさり気なく目を引くワンポイント、彼の瞳と似た黒い宝石へと、リアムは白く長い指を添えた。
「此方が、この船の外観です」
腕輪から淡い光が放たれる。まるでプロジェクターのように、SF映画で良く見る立体映像のように、光の中へと映し出す。彼が船と言ったものの全体図を、俺達が今居る場所を。
それは明らかに何らかの金属出来ているだろうに、その表面は滑らかに見えた。白くて大きな丸のいくつかが、数珠のように連なり輪っかになっている。もこもことしたその特徴的な形は、まるで。
「パンでリングみたい……」
「パンデリング、とは?」
「あ」
うっかり口に出てしまっていたようだ。俺の国にとってはメジャーな、ドーナツ屋さんと言えばなお店の看板商品の名前を。
最初の感想がドーナツに似てるだなんて。もっと良い例えはなかったんだろうか。いや、そもそも例える必要は別に。
「どうか、教えて頂けませんか? そのパンデリングとやらを」
直感的に食べ物だと気付いているんだろうか。真っ直ぐに見つめてくる眼差しは期待に満ちている。
「あ、ああ……パンでリングってのは俺のところでは有名な、美味しいドーナツ屋さんの看板商品で……っと、そもそもドーナツが分からない、よな?」
「はい」
「ドーナツってのは小麦粉とかで作った生地を油で上げて作るお菓子で……形はパンでリングみたいに輪っかのか、丸いのが多いかな。揚げた生地には粉砂糖をまぶしたり、溶かしたチョコレートを纏わせたり、生クリームやカスタードクリームを中に入れたり、挟んだり……そうすることで色んな味を楽しめるんだよ」
「色んな味……」
「ああ、他にもドーナツの上に砕いたナッツをトッピングしたりとか」
「ナッツ……チョコレート……生クリーム……カスタードクリーム……」
彼の口から、ぽつり、ぽつりと紡がれている単語。真剣そうに眉をひそめながら、俺が言ったばかりのそれらを覚えようとしているかのような、どんな物だろうかと想像を巡らせているかのような。
「カイト様……?」
「ああ、うん。難しいんだなって思ってさ。言葉だけで説明するのって」
「そうですね……ただ、どれも美味しそうだということは伝わりましたよ」
貴方が嬉しそうに話してくれたので。
そんな、また顔が熱を持ってしまうことを何てことがないような顔で言ってくるもんだから。
「……作ってみるか」
食べさせてあげたいなって。自然と思っていたんだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
壊れたようにその単語ばかりを繰り返しながら、リアムは絨毯へ膝をついていた。そこまでは、まぁ分かる。良くはないんだけれど。でも。
俺の手のひらに額を擦り付け続けられるのは……ちょっと。
白い手に強く握られているだけでなく、黒い手の指先でも俺の腕を、手を離さぬよう握ってくるもんだから動けないし。ネモネはネモネで真似をしているのか、その小さな額を俺の頬へとふわふわ擦り寄せてきているし。
「本当に大丈夫だって……びっくりしただけだからさ」
「ですが……」
「あー……ところでリアムの船って、どんなのなんだ? 教えてもらえると嬉しいんだけど」
途端にリアムはぴたりと動きを止めた。良かった、事態が好転しそうだ。
「喜んで、頂けるのですか?」
「うん、嬉しいよ。良かったら、教えてくれないか?」
「お任せ下さい!」
元気になってくれたみたいだ。黒の瞳に滲んでいた濃い青は消え、代わりに鮮やかな黄色が。あまり変わらない表情もどこか明るい。
すっくと立ち上がったかと思えば、さあさあ此方へ、とソファーへと案内された。見た目からしてふかふかなソファーは座り心地だけでなく、手触りもいい。何だかお高そうな感じだ。
隣に腰掛けたリアムは、その長身のほとんどを隠している白いコートの袖を徐に捲った。
手首には金属のような光沢を持つ腕輪。シンプルなデザインの中でもさり気なく目を引くワンポイント、彼の瞳と似た黒い宝石へと、リアムは白く長い指を添えた。
「此方が、この船の外観です」
腕輪から淡い光が放たれる。まるでプロジェクターのように、SF映画で良く見る立体映像のように、光の中へと映し出す。彼が船と言ったものの全体図を、俺達が今居る場所を。
それは明らかに何らかの金属出来ているだろうに、その表面は滑らかに見えた。白くて大きな丸のいくつかが、数珠のように連なり輪っかになっている。もこもことしたその特徴的な形は、まるで。
「パンでリングみたい……」
「パンデリング、とは?」
「あ」
うっかり口に出てしまっていたようだ。俺の国にとってはメジャーな、ドーナツ屋さんと言えばなお店の看板商品の名前を。
最初の感想がドーナツに似てるだなんて。もっと良い例えはなかったんだろうか。いや、そもそも例える必要は別に。
「どうか、教えて頂けませんか? そのパンデリングとやらを」
直感的に食べ物だと気付いているんだろうか。真っ直ぐに見つめてくる眼差しは期待に満ちている。
「あ、ああ……パンでリングってのは俺のところでは有名な、美味しいドーナツ屋さんの看板商品で……っと、そもそもドーナツが分からない、よな?」
「はい」
「ドーナツってのは小麦粉とかで作った生地を油で上げて作るお菓子で……形はパンでリングみたいに輪っかのか、丸いのが多いかな。揚げた生地には粉砂糖をまぶしたり、溶かしたチョコレートを纏わせたり、生クリームやカスタードクリームを中に入れたり、挟んだり……そうすることで色んな味を楽しめるんだよ」
「色んな味……」
「ああ、他にもドーナツの上に砕いたナッツをトッピングしたりとか」
「ナッツ……チョコレート……生クリーム……カスタードクリーム……」
彼の口から、ぽつり、ぽつりと紡がれている単語。真剣そうに眉をひそめながら、俺が言ったばかりのそれらを覚えようとしているかのような、どんな物だろうかと想像を巡らせているかのような。
「カイト様……?」
「ああ、うん。難しいんだなって思ってさ。言葉だけで説明するのって」
「そうですね……ただ、どれも美味しそうだということは伝わりましたよ」
貴方が嬉しそうに話してくれたので。
そんな、また顔が熱を持ってしまうことを何てことがないような顔で言ってくるもんだから。
「……作ってみるか」
食べさせてあげたいなって。自然と思っていたんだ。
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