51 / 112
会議 カールside
しおりを挟む
俺らが救助されて四日間。目が覚めてから二日間が経過した。どうやら俺らは二日間、目を覚まさなかったらしい。
怪我の状態もかなり悪く、あと一歩でも救助が遅れていたら死んでいた可能性もあったとのこと。俺はまだましな方であったが、一番酷かったリンなんかは、目を当てられない程の酷さで、普段怪我を見慣れている騎士の目からしても相当の酷さだったらしい。
幸いにも全員後遺症などもなく完治することができた。俺らの傷を治すのにかなり無理をしたようで、騎士団に配置されている聖女以外にも王宮にいる上位の聖女も動いてくれたらしい。
勿論、騎士達も相当の無理をしたようで、今回は要として動いていた第1班以外にも、俺ら以外の班長を筆頭に沢山の騎士が魔道具でやり取りしながら情報を集めてくれたらしい。
そして今日は俺らの傷も完治し、大分動けるようになったということで会議がある。参加者は、俺含め班長を勤めている8人と総長、後は今回要として動いてくれた第1班の中から代表で4人の合計13人でやる。第1班からは今回まとめ係をしてくれた奴と、かなり派手に動いたというキーカルとガリウス、それとライが参加するらしい。ライはまだ新人でかなり不安があったが、かなりいい戦力になったらしい。まあその分無理をしたようで、三日間の自室療養を命じられていたが。
そんなわけで俺らは今会議室にいる。もうほとんど揃っていて、後は総長が来るのを待つだけだ。さっきからライが緊張しまくっている。まあ、班長全員集合にプラスして総長まで来るんだもんな、そら緊張するわ。少しだけ同情していると、総長が入室してきた。一斉に立ち上がり礼をする。総長が座ったのを確認し俺らも席に座る。因みにこの会議は俺ら側からの視点と騎士達側からの視点の照らし合わせなどをする。長引く可能性があるので、スムーズにいくといいが…
「まずは今回の件ご苦労様でした。公になる前に事態を終息できたのは貴方達のお陰です。カール、リン、ハールドも後遺症もなく治ったようで何よりです……早速会議に入りたいと思います。進行役は第5班班長のラズにお願いします」
「第5班班長のラズです。宜しくお願いします」
ラズは班長の中では唯一の魔族で、魔族の中でも中の上位の強さにはいるらしい。また、物事を客観的に捉えるのが得意で、よく会議の進行役に選ばれている。
「ではまず、我々から見た今回の件について話していこうと思います。質問や意見の相違などは後でお願いします。」
そう言ってラズが話した今回の件について、俺らが特に突っ込む点はなかった。だが気になる点は何個かある。
1つ目、俺らの居場所を特定できたのは侯爵家にあった紙のお陰らしいが、俺らの最後の記憶は侯爵家をでた後、3人で本部に戻る途中のことだ。家族とは侯爵家で別れ、そのまま本部に戻る途中で急に意識を失ったのだ。
2つ目、侯爵家のパーティーに呼ばれた奴らは皆何かしらの物を貰ったと言っていたが、俺らはそんなもの全く知らないし、貰ってないのだ。
と、こんな風にいくつか疑問になる部分はある。これ以外にも何点かあったが、特に気になるのはこの2つだ。
どういうことか、中々疑問解消がされない中、ライが恐る恐る手を上げた。
「どうしましたか?ライ」
「えっと、パーティー中に渡されたという魔道具のことなんですけど、気になる点があって…確証は持てないんですけど」
「気になる点ですか?」
「はい、私がその物を見た時、最初に思ったのが相当魔力を消費した筈、でした。自分でもよく分かっていないのですが…本能というか…えっと……」
なんと言っていいか分からない、と言った様子で言葉につまっているライ。それにしても、魔力の消費?俺もさっき見たがそんなこと思わなかったな…他の皆も心当たりがない様子だ。ライだけが感じられるもの?
「後は、その物からかなりの異臭を感じました。これに関しては私以外にも感じている人がいました……私が気になったのはこの2つです」
異臭に関しては俺含め心当たりがある。あれは異臭というか…
「「腐乱臭に似ていますね」」
「腐乱臭…」
声が揃う。ライが戸惑ったように声を上げる。まあ、通常の腐乱臭はあんな臭いじゃないからな。
「ある特定の魔術で死亡した時、あんな臭いがでるんだよ。その魔術についてはまだ解明中だがな」
「魔力の波長から、特定の魔術ってことまでは分かりますがそれ以上は何とも言えないんですよね」
「魔力の波長…」
考えに没頭したのか、こちらに目も貸さないライ。これは暫く返事が返ってこないな。まあ、第1班からしたらいつものことなのでライが思考から返ってくるまで俺らも会議を進める。
「気になるのはライが言っている魔力の消費についてですね。カール、貴方はなにも感じなかったんですよね?」
「ああ、同じ種族だから感じてもおかしくない筈だが生憎なにも感じなかったな」
「そうですか……これについても気になりますが、貴女方が言っていた疑問点についても気になりますね。そもそもの問題、貴女方に気付かれずに気絶させるなんて、そんなことができるのはこの国でも中々いません。しかも3人同時に」
そう、問題は一つではないのだ。時間は有限だ。効率よく考えなければ……
怪我の状態もかなり悪く、あと一歩でも救助が遅れていたら死んでいた可能性もあったとのこと。俺はまだましな方であったが、一番酷かったリンなんかは、目を当てられない程の酷さで、普段怪我を見慣れている騎士の目からしても相当の酷さだったらしい。
幸いにも全員後遺症などもなく完治することができた。俺らの傷を治すのにかなり無理をしたようで、騎士団に配置されている聖女以外にも王宮にいる上位の聖女も動いてくれたらしい。
勿論、騎士達も相当の無理をしたようで、今回は要として動いていた第1班以外にも、俺ら以外の班長を筆頭に沢山の騎士が魔道具でやり取りしながら情報を集めてくれたらしい。
そして今日は俺らの傷も完治し、大分動けるようになったということで会議がある。参加者は、俺含め班長を勤めている8人と総長、後は今回要として動いてくれた第1班の中から代表で4人の合計13人でやる。第1班からは今回まとめ係をしてくれた奴と、かなり派手に動いたというキーカルとガリウス、それとライが参加するらしい。ライはまだ新人でかなり不安があったが、かなりいい戦力になったらしい。まあその分無理をしたようで、三日間の自室療養を命じられていたが。
そんなわけで俺らは今会議室にいる。もうほとんど揃っていて、後は総長が来るのを待つだけだ。さっきからライが緊張しまくっている。まあ、班長全員集合にプラスして総長まで来るんだもんな、そら緊張するわ。少しだけ同情していると、総長が入室してきた。一斉に立ち上がり礼をする。総長が座ったのを確認し俺らも席に座る。因みにこの会議は俺ら側からの視点と騎士達側からの視点の照らし合わせなどをする。長引く可能性があるので、スムーズにいくといいが…
「まずは今回の件ご苦労様でした。公になる前に事態を終息できたのは貴方達のお陰です。カール、リン、ハールドも後遺症もなく治ったようで何よりです……早速会議に入りたいと思います。進行役は第5班班長のラズにお願いします」
「第5班班長のラズです。宜しくお願いします」
ラズは班長の中では唯一の魔族で、魔族の中でも中の上位の強さにはいるらしい。また、物事を客観的に捉えるのが得意で、よく会議の進行役に選ばれている。
「ではまず、我々から見た今回の件について話していこうと思います。質問や意見の相違などは後でお願いします。」
そう言ってラズが話した今回の件について、俺らが特に突っ込む点はなかった。だが気になる点は何個かある。
1つ目、俺らの居場所を特定できたのは侯爵家にあった紙のお陰らしいが、俺らの最後の記憶は侯爵家をでた後、3人で本部に戻る途中のことだ。家族とは侯爵家で別れ、そのまま本部に戻る途中で急に意識を失ったのだ。
2つ目、侯爵家のパーティーに呼ばれた奴らは皆何かしらの物を貰ったと言っていたが、俺らはそんなもの全く知らないし、貰ってないのだ。
と、こんな風にいくつか疑問になる部分はある。これ以外にも何点かあったが、特に気になるのはこの2つだ。
どういうことか、中々疑問解消がされない中、ライが恐る恐る手を上げた。
「どうしましたか?ライ」
「えっと、パーティー中に渡されたという魔道具のことなんですけど、気になる点があって…確証は持てないんですけど」
「気になる点ですか?」
「はい、私がその物を見た時、最初に思ったのが相当魔力を消費した筈、でした。自分でもよく分かっていないのですが…本能というか…えっと……」
なんと言っていいか分からない、と言った様子で言葉につまっているライ。それにしても、魔力の消費?俺もさっき見たがそんなこと思わなかったな…他の皆も心当たりがない様子だ。ライだけが感じられるもの?
「後は、その物からかなりの異臭を感じました。これに関しては私以外にも感じている人がいました……私が気になったのはこの2つです」
異臭に関しては俺含め心当たりがある。あれは異臭というか…
「「腐乱臭に似ていますね」」
「腐乱臭…」
声が揃う。ライが戸惑ったように声を上げる。まあ、通常の腐乱臭はあんな臭いじゃないからな。
「ある特定の魔術で死亡した時、あんな臭いがでるんだよ。その魔術についてはまだ解明中だがな」
「魔力の波長から、特定の魔術ってことまでは分かりますがそれ以上は何とも言えないんですよね」
「魔力の波長…」
考えに没頭したのか、こちらに目も貸さないライ。これは暫く返事が返ってこないな。まあ、第1班からしたらいつものことなのでライが思考から返ってくるまで俺らも会議を進める。
「気になるのはライが言っている魔力の消費についてですね。カール、貴方はなにも感じなかったんですよね?」
「ああ、同じ種族だから感じてもおかしくない筈だが生憎なにも感じなかったな」
「そうですか……これについても気になりますが、貴女方が言っていた疑問点についても気になりますね。そもそもの問題、貴女方に気付かれずに気絶させるなんて、そんなことができるのはこの国でも中々いません。しかも3人同時に」
そう、問題は一つではないのだ。時間は有限だ。効率よく考えなければ……
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる