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会議②
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パーティーで貰ったという物の疑問について幾つか言うと、魔力については分からないが、臭いなら分かるらしく、それは腐乱臭らしい。ある特定の魔術を使って殺された時に生じるらしい。その魔術と、私が本能で感じた魔力は同じなのだろうか。知ろうにもその魔術の波長を知らない私にはどうしようもない。どうにかして私が感じた魔力を皆に教えれないだろうか。
テーブルの中央にある物を見る。貴族騎士が貰ったという物。今は魔力を感じることはできないが、最初見た時は確かに感じたあの魔力。あの時は少し焦っていたからできなかったが、今思うと魔力の波長の特徴ぐらいは覚えておけば良かったと思う。
何となくその物に魔力をぶつけてみる。考えをまとめる時の癖みたいなものだ。勿論、魔力量は最小にして。通常は何もおきずに霧散するだけなのだが、その物は全く違う反応だった。それは、確かに魔力を放ったのだ。しかも私の魔力を弾くのではなく、私の魔力を吸収してその魔力を自身の魔力として放ったのだ。勿論、自身の魔力として放つのだから私の魔力の質ではない。
取り敢えずこれを班長達に見てもらおうとしたが、班長達は班長達で忙しそうだ。考えてみれば当たり前で、このこと以外にも考えるべき点は沢山あるのだ。一つのことについて何十分も議論してる程暇じゃない。ここはこの会議が終わるまで待った方がいいかもしれない。今は会議に集中しよう。
「かなりの点で相違点が確認されましたね……正直言って、これ以上捜査しても見つかる情報は少ないでしょうね…」
「第一、この事は国民には伝えていないだろ?知っているのは伯爵より上の貴族階級の人と俺らぐらいだ。治療してくださった聖女も詳しいことは知らない筈だ」
「そうなんですよね。これ以上捜査するとなると、国民に事情を話さなければなりません。そうなるとシャイク家だけでなく、私達の信頼も失われる可能性があります」
「隣国との関係が危うくなってきている今、国内での信頼を失うわけにはいかないからな」
「本来これだけの事件となると解決するまで取り締まるべきなのでしょうが、今回のは国内での信頼を失うだけではなく、隣国の関係が更に悪くなる可能性があります。これ以上悪くなると、戦争になる可能性も見えてくるでしょうね」
「どの班も今年は人手不足ですし…しかし、この事件をこのまま放って置くわけには…」
かなり会議が難航しているようだ。皆が言うように、これは私達だけの問題ではなく、他国とも関係があるため迂闊に行動にできないのだ。
もし他国に説明して取り調べをするにしても向こうは徹底して証拠隠滅するだろうし、もし証拠が見つからなかったらそれこそ何を言われるか分からない。感情的に動くと間違いなく失敗する。
…一応、私も情報提供できる部分はあるのだ。奴隷時代、隣国には何度か訪れていたし、数年間留まっていたこともある。少ないとはいえ、向こうで流れている噂や他国では知られていない情報も知っている。
まあ情報源は元飼い主だから本当かは知らないが、かなり信憑性はある。元飼い主は以外にも闇業界で有名な人で、よく悪い貴族のところに行っていた。当然私もそれについて行くのだが、そこでも噂やらなんやらを聞いていたため、私が情報提供したらかなりこちらが有利になると思う。
ただ、一つ問題がある。その情報は当然普通は知らないものばかり。なぜ私が知っているのか、そう言われたら何とも返せない。当然、旅行に行ったぐらいでは掴めない情報ばかりだから、私がスパイだと疑われる可能性だってある。それだけならまだなんとかなるが、頭の回転が速すぎる皆なら、奴隷だという選択肢も頭に浮かぶ筈。もしスパイの容疑が晴れたとして、次に疑われるのはそれだろう。疑われた時点で終わり。私はそれを否定する材料を持ち合わせていないのだから。私は静かにため息をついた。
テーブルの中央にある物を見る。貴族騎士が貰ったという物。今は魔力を感じることはできないが、最初見た時は確かに感じたあの魔力。あの時は少し焦っていたからできなかったが、今思うと魔力の波長の特徴ぐらいは覚えておけば良かったと思う。
何となくその物に魔力をぶつけてみる。考えをまとめる時の癖みたいなものだ。勿論、魔力量は最小にして。通常は何もおきずに霧散するだけなのだが、その物は全く違う反応だった。それは、確かに魔力を放ったのだ。しかも私の魔力を弾くのではなく、私の魔力を吸収してその魔力を自身の魔力として放ったのだ。勿論、自身の魔力として放つのだから私の魔力の質ではない。
取り敢えずこれを班長達に見てもらおうとしたが、班長達は班長達で忙しそうだ。考えてみれば当たり前で、このこと以外にも考えるべき点は沢山あるのだ。一つのことについて何十分も議論してる程暇じゃない。ここはこの会議が終わるまで待った方がいいかもしれない。今は会議に集中しよう。
「かなりの点で相違点が確認されましたね……正直言って、これ以上捜査しても見つかる情報は少ないでしょうね…」
「第一、この事は国民には伝えていないだろ?知っているのは伯爵より上の貴族階級の人と俺らぐらいだ。治療してくださった聖女も詳しいことは知らない筈だ」
「そうなんですよね。これ以上捜査するとなると、国民に事情を話さなければなりません。そうなるとシャイク家だけでなく、私達の信頼も失われる可能性があります」
「隣国との関係が危うくなってきている今、国内での信頼を失うわけにはいかないからな」
「本来これだけの事件となると解決するまで取り締まるべきなのでしょうが、今回のは国内での信頼を失うだけではなく、隣国の関係が更に悪くなる可能性があります。これ以上悪くなると、戦争になる可能性も見えてくるでしょうね」
「どの班も今年は人手不足ですし…しかし、この事件をこのまま放って置くわけには…」
かなり会議が難航しているようだ。皆が言うように、これは私達だけの問題ではなく、他国とも関係があるため迂闊に行動にできないのだ。
もし他国に説明して取り調べをするにしても向こうは徹底して証拠隠滅するだろうし、もし証拠が見つからなかったらそれこそ何を言われるか分からない。感情的に動くと間違いなく失敗する。
…一応、私も情報提供できる部分はあるのだ。奴隷時代、隣国には何度か訪れていたし、数年間留まっていたこともある。少ないとはいえ、向こうで流れている噂や他国では知られていない情報も知っている。
まあ情報源は元飼い主だから本当かは知らないが、かなり信憑性はある。元飼い主は以外にも闇業界で有名な人で、よく悪い貴族のところに行っていた。当然私もそれについて行くのだが、そこでも噂やらなんやらを聞いていたため、私が情報提供したらかなりこちらが有利になると思う。
ただ、一つ問題がある。その情報は当然普通は知らないものばかり。なぜ私が知っているのか、そう言われたら何とも返せない。当然、旅行に行ったぐらいでは掴めない情報ばかりだから、私がスパイだと疑われる可能性だってある。それだけならまだなんとかなるが、頭の回転が速すぎる皆なら、奴隷だという選択肢も頭に浮かぶ筈。もしスパイの容疑が晴れたとして、次に疑われるのはそれだろう。疑われた時点で終わり。私はそれを否定する材料を持ち合わせていないのだから。私は静かにため息をついた。
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