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第4話
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城は高台に建ち、その周りを美しい水が満たしている。
ただ水の満ちている堀は幅300メートルほどもある。
堀が大き過ぎて、まるで湖の中心にある小島に城があるように見える。
まあ、落ち着いて冷静に見れば湖は言いすぎかと思うが……。
せめて超巨大な泉、くらいかな?
しかし落ち着いて冷静に見る、などと考えている時点で俺は冷静じゃなかったのかな?
もしかすると、生まれ変わって一種の興奮状態なのかもしれない。
いかん、いかん。
冷静にならなくては。
そう冷静に。冷静に。
そして、慎重に。
まだ何も知らない世界、突然何が起こるかも解らない。
深呼吸……。
……。
ああっ! 冷静になってみると、こういったファンタジー世界のお約束があった!
「……ステータスオープン」
いやいや、たんなるお約束だから、……まさか本当に、……?
頭の中に自分のステータスが浮かぶ。
冷静になる為にと思って、ちょっとふざけたつもりが……。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【名前】ルイ・アリス
【年齢】0歳
【種族】人種・人間
【称号】
【レベル】1
【スキル】
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
マジですか!
俺はステータスをおもわず二度見する。頭の中でだが。
え? レベル?
この世界はレベルシステムなのか?
ゲームやラノベの様に?
聞いてないぞ!
責任者を出せ!
出て来い!
あれ?
でも、責任者は神様かな?
ごめんなさい、もう大丈夫です。
責任者の方はいいです……。
すみません。興奮状態で少しだけ荒ぶりました。
わがままクレーマーには天誅! なんて展開はどうかご勘弁を……。
本当は薄々解ってました。
転生の間で、勇者や魔王のスキルまであったから。
……たぶん……そうだろうなと。
でも、でも【レベル】1って、本気?
すごい大量のポイント使ったのに!
誰でも最初は【レベル】1なのか?
赤ん坊で生まれる勇者はそうかもしれないけど……。
ダンジョンマスターは0歳といっても体や知能は成人として生まれると聞いている。
どうなってるんだ?
何かを具体的に期待していたわけではないが、ガッカリ感がものすごい。
まさか魔王も【レベル】1なのか?
その場合、魔王は普通の人間に負けるのか?
ってことは、弱いときに見つかったらどうなるの?
生まれたばかりの魔王を倒すのだー! 的な感じで倒されちゃうのかな?
しかも、俺には、【称号】や【スキル】も無いようだ。
【名前】が有栖類ではなく、ルイ・アリスになっているが、この際、瑣末な問題である。
取り敢えずは、城に行って確かめるしかないのか?
せめて、何か手がかりがあれば良いが。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
……。
よしっ。
俺は、いまから城!
城に行く! 行くったら、行く!
しかしその際、この300メートルの堀を越えていかなければならない。
橋があるので、別に泳いで渡る訳ではない。
ゆえに、他人から見ればこんな意気込むことは無いと思われるかもしれない。
冷静になれと言うかもしれない。
だが、それは違う。
俺は冷静だ。
ただ気合を入れただけだ!
幅300メートルの堀に架かる橋。
当然長さも300メートルの橋。
幅は、約100メートル。
それが、総大理石!
橋には一定間隔で、ガーゴイルや甲冑騎士の大理石彫刻!
ファンタジー映画のようだ!
おもわず、圧倒される!
しかも、ピカピカ、ツルツル!
良く見ると、大理石ではないかもしれない!
綺麗な光沢があり、真珠のような石だ!
真珠石と名づけよう!
もう一度、城のほうをチラリと見る。
やはり気合を入れないと、立派な城すぎて腰が引ける。
でもあそこには行かなければならない何かがある気がする。
何かに、惹き付けられるような感覚がある。
それにしても、いざ近づこうとすると威圧感がある。
先ほどから誰の姿も見えないことが、そのことに拍車をかける。
早朝の誰もいない学校や会社、休館日のデパートやビルのようだ。
建物自体から圧力を感じる。
しかし、もう良いだろう。
よしっ! 行こう!
俺は、意気揚々と!
橋へと足をソロリソロリ踏み入れる。
目には見えないミクロの凹凸でもあるのか、ピカピカツルツルでも滑らない。
良かった! 俺の城は安全仕様だ。
橋の欄干すら美しい。まるで超一級の熟練職人が、心血を注いで作った作品のようだ。
おもわずため息が出る。
そんな感じで周りを見ながら歩いていたら、あっという間に橋が終わってしまった。
そして橋の次は、これまた美しい階段だ。
幅200メートルはあろうかという正面階段。
幅で、200メートル!
幅200メートルの階段ってなに?
高さは100メートルくらいかな?
しかし、それに続く城の高さは、……。
とりあえず、首が痛くなるくらい見上げるほどの高さだ。
……これ上るのか?
いや、登るのか?
さっきとは違う意味で、足を出すのが躊躇われる。
しかし、うんざりする様な高さの階段だったが、体が軽くなり速く動けるブーツを履いておかげか、俺は息も切らさずに上る。
そして。
俺は、階段の頂上で振り返って、おもわず息を呑んだ。
絶景!
遥か遠くを眺めれば、そこには光を反射して雪のようにキラキラと光る雲海。
地球で見た雲海とは、まったくの別物だ。
やはりここが天空島なんだ!
地平線が丸みを帯びてないのが少々気にはなるが、別の世界のことだ。
地動説が、天動説に変わろうとも、俺は驚かない。
いつまでも眺めていたいが、取りあえずは中に入ろう。
見上げるほどの高さがある白い扉の前に立つと、扉がゆっくりと開いてゆく。
やはり、俺のダンジョンだ! 解っているのだ! 主たる俺を!
俺は今度こそ本当に意気揚々と入城した。
ただ水の満ちている堀は幅300メートルほどもある。
堀が大き過ぎて、まるで湖の中心にある小島に城があるように見える。
まあ、落ち着いて冷静に見れば湖は言いすぎかと思うが……。
せめて超巨大な泉、くらいかな?
しかし落ち着いて冷静に見る、などと考えている時点で俺は冷静じゃなかったのかな?
もしかすると、生まれ変わって一種の興奮状態なのかもしれない。
いかん、いかん。
冷静にならなくては。
そう冷静に。冷静に。
そして、慎重に。
まだ何も知らない世界、突然何が起こるかも解らない。
深呼吸……。
……。
ああっ! 冷静になってみると、こういったファンタジー世界のお約束があった!
「……ステータスオープン」
いやいや、たんなるお約束だから、……まさか本当に、……?
頭の中に自分のステータスが浮かぶ。
冷静になる為にと思って、ちょっとふざけたつもりが……。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【名前】ルイ・アリス
【年齢】0歳
【種族】人種・人間
【称号】
【レベル】1
【スキル】
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マジですか!
俺はステータスをおもわず二度見する。頭の中でだが。
え? レベル?
この世界はレベルシステムなのか?
ゲームやラノベの様に?
聞いてないぞ!
責任者を出せ!
出て来い!
あれ?
でも、責任者は神様かな?
ごめんなさい、もう大丈夫です。
責任者の方はいいです……。
すみません。興奮状態で少しだけ荒ぶりました。
わがままクレーマーには天誅! なんて展開はどうかご勘弁を……。
本当は薄々解ってました。
転生の間で、勇者や魔王のスキルまであったから。
……たぶん……そうだろうなと。
でも、でも【レベル】1って、本気?
すごい大量のポイント使ったのに!
誰でも最初は【レベル】1なのか?
赤ん坊で生まれる勇者はそうかもしれないけど……。
ダンジョンマスターは0歳といっても体や知能は成人として生まれると聞いている。
どうなってるんだ?
何かを具体的に期待していたわけではないが、ガッカリ感がものすごい。
まさか魔王も【レベル】1なのか?
その場合、魔王は普通の人間に負けるのか?
ってことは、弱いときに見つかったらどうなるの?
生まれたばかりの魔王を倒すのだー! 的な感じで倒されちゃうのかな?
しかも、俺には、【称号】や【スキル】も無いようだ。
【名前】が有栖類ではなく、ルイ・アリスになっているが、この際、瑣末な問題である。
取り敢えずは、城に行って確かめるしかないのか?
せめて、何か手がかりがあれば良いが。
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……。
よしっ。
俺は、いまから城!
城に行く! 行くったら、行く!
しかしその際、この300メートルの堀を越えていかなければならない。
橋があるので、別に泳いで渡る訳ではない。
ゆえに、他人から見ればこんな意気込むことは無いと思われるかもしれない。
冷静になれと言うかもしれない。
だが、それは違う。
俺は冷静だ。
ただ気合を入れただけだ!
幅300メートルの堀に架かる橋。
当然長さも300メートルの橋。
幅は、約100メートル。
それが、総大理石!
橋には一定間隔で、ガーゴイルや甲冑騎士の大理石彫刻!
ファンタジー映画のようだ!
おもわず、圧倒される!
しかも、ピカピカ、ツルツル!
良く見ると、大理石ではないかもしれない!
綺麗な光沢があり、真珠のような石だ!
真珠石と名づけよう!
もう一度、城のほうをチラリと見る。
やはり気合を入れないと、立派な城すぎて腰が引ける。
でもあそこには行かなければならない何かがある気がする。
何かに、惹き付けられるような感覚がある。
それにしても、いざ近づこうとすると威圧感がある。
先ほどから誰の姿も見えないことが、そのことに拍車をかける。
早朝の誰もいない学校や会社、休館日のデパートやビルのようだ。
建物自体から圧力を感じる。
しかし、もう良いだろう。
よしっ! 行こう!
俺は、意気揚々と!
橋へと足をソロリソロリ踏み入れる。
目には見えないミクロの凹凸でもあるのか、ピカピカツルツルでも滑らない。
良かった! 俺の城は安全仕様だ。
橋の欄干すら美しい。まるで超一級の熟練職人が、心血を注いで作った作品のようだ。
おもわずため息が出る。
そんな感じで周りを見ながら歩いていたら、あっという間に橋が終わってしまった。
そして橋の次は、これまた美しい階段だ。
幅200メートルはあろうかという正面階段。
幅で、200メートル!
幅200メートルの階段ってなに?
高さは100メートルくらいかな?
しかし、それに続く城の高さは、……。
とりあえず、首が痛くなるくらい見上げるほどの高さだ。
……これ上るのか?
いや、登るのか?
さっきとは違う意味で、足を出すのが躊躇われる。
しかし、うんざりする様な高さの階段だったが、体が軽くなり速く動けるブーツを履いておかげか、俺は息も切らさずに上る。
そして。
俺は、階段の頂上で振り返って、おもわず息を呑んだ。
絶景!
遥か遠くを眺めれば、そこには光を反射して雪のようにキラキラと光る雲海。
地球で見た雲海とは、まったくの別物だ。
やはりここが天空島なんだ!
地平線が丸みを帯びてないのが少々気にはなるが、別の世界のことだ。
地動説が、天動説に変わろうとも、俺は驚かない。
いつまでも眺めていたいが、取りあえずは中に入ろう。
見上げるほどの高さがある白い扉の前に立つと、扉がゆっくりと開いてゆく。
やはり、俺のダンジョンだ! 解っているのだ! 主たる俺を!
俺は今度こそ本当に意気揚々と入城した。
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