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ギルドの設立
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たわいない会話をしていると、レーネが帰ってきた。
ちょうど話が終わった頃合だった。
「ナイスタイミングだな!レーネ!」
「ようやく目覚めよったか周!随分遅いお目覚めじゃの~」
心配とかじゃないのかよ!
別にそこに関しては自分の落ち度だからいいのだが。
「やっと全員揃ったってことで、とりあえず皆大会お疲れ様!」
「遅いわね」
「もう一週間も経ってるのです~」
「まあまあ、みんなの頑張りのおかげでランクが上がったんだからいいだろ!」
「まあ、初めから結果は見えておったがな」
確かに、こいつがいて勝てないわけないもんな。
だが、そこは突っ込まないことにした。
「このランクアップに伴って、俺たちにギルドを作らないかって話が冒険者連盟から掛かったんだが、まずこの世界のギルドについて簡単に説明してくれないか?」
説明という言葉に、ぴょこっとサリーが反応する。
待ってましたと言わんばかりの反応だ。
こいつ、この立ち位置気に入ってんだな。
「サリーが説明するです!」
「あぁ、よろしく頼む!」
元よりサリーに頼むつもりだったが、本人が嬉しそうなので気にしないでおく。
「ギルドとは、冒険者同士の組織的なものです!設立すると功績に応じて国からお金が貰えるのです!」
大まかな概念はゲームのギルドと変わらないんだな。
だが、功績に応じて報酬が出るというのはゲームとは違うところだ。
これは大きなメリットになりうる!
「作るデメリットはないのか?」
「大型ダンジョンの攻略の際に、招集がかかったりするくらいです!」
それは少し面倒そうだが、貰える金が多いことに越したことはない。
「俺は作っていいと思ってるんだが、みんなはどう思う?」
「私は賛成なのです!」
「さっき言ったでしょ、夜ト神君に任せるわよ」
「妾も異論はないぞ」
「じゃあ、満場一致でギルド設立だ!」
ギルド設立が決まり、俺たちは冒険者連盟に向かった。
俺は歩くことがままならなかったため、車椅子を桜田に押してもらい何とか冒険者連盟に到着した。
「悪いな桜田、迷惑かけちまって」
「気にしないでいいわ、これも仲間の務めよ」
いい仲間を持ったな、なんてことを思いながら、冒険者連盟のドアを開ける。
受付の人に頼んで話を通してもらう。
以前に居た町とは違い、冒険者連盟の建物はスケールの違う大きさだった。
「全部の建物が大きいなー」
「都会ってことでしょ?夜ト神君は田舎者なの?」
人が感動してるって言うのに水を差しやがって。
「ここの冒険者連盟は、いくつか置かれている本部のひとつなので大っきいのです!」
サリーがドヤ顔で説明する。
そんなサリーを見て俺は1人和んでいると、いかにもお偉いさんのような見た目のおじさんがでてきた。
「ようやく目覚めましたか、期待のルーキーさん」
「別に期待なんてされてねえよ、それより誰だ?」
「失礼失礼、私一応ここのまとめ役をしておりますスコットと言います。以後お見知り置きを」
お偉いさんというわけか。
如何にもだな。
「ギルドの件で話に来たんだが、ひとつ聞きたいんだが」
「なんでも仰ってください?」
「夜ト神君まだ聞きたいことあったの?」
「なんで私に聞いてくれなかったです?」
「サリーじゃ答えられない質問だからだよ。なんで俺たちにギルドを作らせたいんだ?意図を知りたい」
新しくSランク入りした冒険者に、しかも仲間も少ない俺たちにギルドを早速作らせるのは少々違和感を覚える。
なにか裏があると俺は考えていた。
「それはもちろん、冒険者の勢力拡大ですよ。勢力が増えれば、ダンジョンからの危機を斥けられる。市民たちを守ることに繋がるからです」
「綺麗事を並べるなよ?真実だけを俺は聞いてるんだ」
こいつがお偉いさんか知らないが、こういう繕ったやつが俺はいちばん嫌いだ。
「流石飛び級するほどの実力の持ち主ですね。感も鋭いと言う訳ですか」
スコットは、俺を欺くのをどうやら諦めたらしくため息をつく。
「実は近々SSランクのダンジョンへの初挑戦計画がありまして、夜ト神さん達にはそれに参加していただきたいのです」
「俺達が参加して何になるんだ?所詮俺達はSランクとAランクそんな戦力は期待できないだろ?」
よっぽど人出に困っているのか?
それとも、確実にクリアしたいのか?
どちらにしても俺たちを呼ぶ理由はなんだ?
「単純な人手不足ですよ、他に高ランクの冒険者がいるのは事実ですがこの世界は広い。故に一同に集めようとしては、少々時間がかかりすぎてしまうのです」
成程、だからお手軽に近くにいてある程度の戦力のある俺たちを引き入れたいと。
「ギルド単位でないと、クエストの押し付けができなないからギルドを作らせたいってことだな?」
「まあそういうことになりますね」
俺たちにとってそのクエストを受けるのは、なかなかに天秤が釣り合ってないな。
だがいずれは超えないといけない壁ではある。
悩みどころだな.......。
「どうするのだ?周よ」
「どんな決断でも、私達はついて行くわよ」
「です!!!」
こいつらがいれば何とかなるか!
みんなが俺に声をかけてくれ、信頼してくれる。
大会を経て俺達は以外に団結していたんだな。
俺は心の中でこんなことを思う。
「いいぜ、お前の作に乗るのは気が進まねぇが乗ってやるよ!ただし報酬はたんまり貰うからな!」
「ここまで聞いておいて乗ってくれるんですね、こちらとしては助かりますが.......」
「いいってんだろ!気が変わらないうちにさっさと手続きでもなんでもしろ!」
俺がそう言うと、スコットはいくつかの書類を持ってくる。
「ここにメンバーとギルドマスターの記入、そしてギルド名をお願いします」
ここに来て結構アナログな方法で作るんだな、ギルドって。
俺は渡された紙に、みんなの名前を書く。
「ギルドマスターはどうする?」
「今更それを聞くの?」
「それは無いぞ.......周.......」
「決まっているです!」
俺はその言葉を聞き、そっと自分の名前を書き記す。
そしてギルド名の欄で少し迷う。
だが、ここで質問をするのも野暮なので、俺は直感で名前を考え、スコットに返す。
「後の手続きは、こちらでしておきますので!これから追加のメンバーがいる際は、マスターの推薦を冒険者連盟で申請すれば加入させることが出来ます」
「わかった、後はよろしく頼むぞ」
「後これを」
スコットは、謎の端末を4つ俺に手渡す。
「これは通信機です、通話機能とメール機能があるので人数分差し上げます。囁かなお返しだとでも思ってください。追加で必要な際は、冒険社連盟で私の名前を言って頂けましたら貰えると思いますので」
携帯電話みたいなもんか、かなり便利なものを貰ったな。
これは意外な収穫だ。
「じゃあ、行くぞお前ら!」
そうして俺達は、宿に戻る。
かっこよく決めているが、俺は桜田に車椅子を押してもらっての退場なのでかなりダサい。
そして一悶着を終えた俺達は宿で、今や恒例行事の会議をしていた。
「ギルドの名前何にしたです?」
「気になるか?」
「そりゃなるでしょ、ダサいのだったら嫌じゃない」
「妾はなんでも良いがな」
突発的に考えたから、こいつらに何言われるか少し心配だが、隠していてもいずれバレるので白状する。
「ギルド名は、夜明けの転生者達だ!!!」
「意外といい名前付けたじゃない」
「妾に相応しい良き名じゃの」
「カッコイイのです!」
意外と好評じゃないか?
予想と違う反応に照れてしまう。
照れ隠しのために俺は急に叫ぶ。
「夜明けの転生者達始動だ!」
こうして、俺たちのギルドが設立したのだった。
常に先には心配が待っているが、ギルドの仲間達と共に乗り越えていける。
4人はひっそりとそんなことを思っているのであった。
ちょうど話が終わった頃合だった。
「ナイスタイミングだな!レーネ!」
「ようやく目覚めよったか周!随分遅いお目覚めじゃの~」
心配とかじゃないのかよ!
別にそこに関しては自分の落ち度だからいいのだが。
「やっと全員揃ったってことで、とりあえず皆大会お疲れ様!」
「遅いわね」
「もう一週間も経ってるのです~」
「まあまあ、みんなの頑張りのおかげでランクが上がったんだからいいだろ!」
「まあ、初めから結果は見えておったがな」
確かに、こいつがいて勝てないわけないもんな。
だが、そこは突っ込まないことにした。
「このランクアップに伴って、俺たちにギルドを作らないかって話が冒険者連盟から掛かったんだが、まずこの世界のギルドについて簡単に説明してくれないか?」
説明という言葉に、ぴょこっとサリーが反応する。
待ってましたと言わんばかりの反応だ。
こいつ、この立ち位置気に入ってんだな。
「サリーが説明するです!」
「あぁ、よろしく頼む!」
元よりサリーに頼むつもりだったが、本人が嬉しそうなので気にしないでおく。
「ギルドとは、冒険者同士の組織的なものです!設立すると功績に応じて国からお金が貰えるのです!」
大まかな概念はゲームのギルドと変わらないんだな。
だが、功績に応じて報酬が出るというのはゲームとは違うところだ。
これは大きなメリットになりうる!
「作るデメリットはないのか?」
「大型ダンジョンの攻略の際に、招集がかかったりするくらいです!」
それは少し面倒そうだが、貰える金が多いことに越したことはない。
「俺は作っていいと思ってるんだが、みんなはどう思う?」
「私は賛成なのです!」
「さっき言ったでしょ、夜ト神君に任せるわよ」
「妾も異論はないぞ」
「じゃあ、満場一致でギルド設立だ!」
ギルド設立が決まり、俺たちは冒険者連盟に向かった。
俺は歩くことがままならなかったため、車椅子を桜田に押してもらい何とか冒険者連盟に到着した。
「悪いな桜田、迷惑かけちまって」
「気にしないでいいわ、これも仲間の務めよ」
いい仲間を持ったな、なんてことを思いながら、冒険者連盟のドアを開ける。
受付の人に頼んで話を通してもらう。
以前に居た町とは違い、冒険者連盟の建物はスケールの違う大きさだった。
「全部の建物が大きいなー」
「都会ってことでしょ?夜ト神君は田舎者なの?」
人が感動してるって言うのに水を差しやがって。
「ここの冒険者連盟は、いくつか置かれている本部のひとつなので大っきいのです!」
サリーがドヤ顔で説明する。
そんなサリーを見て俺は1人和んでいると、いかにもお偉いさんのような見た目のおじさんがでてきた。
「ようやく目覚めましたか、期待のルーキーさん」
「別に期待なんてされてねえよ、それより誰だ?」
「失礼失礼、私一応ここのまとめ役をしておりますスコットと言います。以後お見知り置きを」
お偉いさんというわけか。
如何にもだな。
「ギルドの件で話に来たんだが、ひとつ聞きたいんだが」
「なんでも仰ってください?」
「夜ト神君まだ聞きたいことあったの?」
「なんで私に聞いてくれなかったです?」
「サリーじゃ答えられない質問だからだよ。なんで俺たちにギルドを作らせたいんだ?意図を知りたい」
新しくSランク入りした冒険者に、しかも仲間も少ない俺たちにギルドを早速作らせるのは少々違和感を覚える。
なにか裏があると俺は考えていた。
「それはもちろん、冒険者の勢力拡大ですよ。勢力が増えれば、ダンジョンからの危機を斥けられる。市民たちを守ることに繋がるからです」
「綺麗事を並べるなよ?真実だけを俺は聞いてるんだ」
こいつがお偉いさんか知らないが、こういう繕ったやつが俺はいちばん嫌いだ。
「流石飛び級するほどの実力の持ち主ですね。感も鋭いと言う訳ですか」
スコットは、俺を欺くのをどうやら諦めたらしくため息をつく。
「実は近々SSランクのダンジョンへの初挑戦計画がありまして、夜ト神さん達にはそれに参加していただきたいのです」
「俺達が参加して何になるんだ?所詮俺達はSランクとAランクそんな戦力は期待できないだろ?」
よっぽど人出に困っているのか?
それとも、確実にクリアしたいのか?
どちらにしても俺たちを呼ぶ理由はなんだ?
「単純な人手不足ですよ、他に高ランクの冒険者がいるのは事実ですがこの世界は広い。故に一同に集めようとしては、少々時間がかかりすぎてしまうのです」
成程、だからお手軽に近くにいてある程度の戦力のある俺たちを引き入れたいと。
「ギルド単位でないと、クエストの押し付けができなないからギルドを作らせたいってことだな?」
「まあそういうことになりますね」
俺たちにとってそのクエストを受けるのは、なかなかに天秤が釣り合ってないな。
だがいずれは超えないといけない壁ではある。
悩みどころだな.......。
「どうするのだ?周よ」
「どんな決断でも、私達はついて行くわよ」
「です!!!」
こいつらがいれば何とかなるか!
みんなが俺に声をかけてくれ、信頼してくれる。
大会を経て俺達は以外に団結していたんだな。
俺は心の中でこんなことを思う。
「いいぜ、お前の作に乗るのは気が進まねぇが乗ってやるよ!ただし報酬はたんまり貰うからな!」
「ここまで聞いておいて乗ってくれるんですね、こちらとしては助かりますが.......」
「いいってんだろ!気が変わらないうちにさっさと手続きでもなんでもしろ!」
俺がそう言うと、スコットはいくつかの書類を持ってくる。
「ここにメンバーとギルドマスターの記入、そしてギルド名をお願いします」
ここに来て結構アナログな方法で作るんだな、ギルドって。
俺は渡された紙に、みんなの名前を書く。
「ギルドマスターはどうする?」
「今更それを聞くの?」
「それは無いぞ.......周.......」
「決まっているです!」
俺はその言葉を聞き、そっと自分の名前を書き記す。
そしてギルド名の欄で少し迷う。
だが、ここで質問をするのも野暮なので、俺は直感で名前を考え、スコットに返す。
「後の手続きは、こちらでしておきますので!これから追加のメンバーがいる際は、マスターの推薦を冒険者連盟で申請すれば加入させることが出来ます」
「わかった、後はよろしく頼むぞ」
「後これを」
スコットは、謎の端末を4つ俺に手渡す。
「これは通信機です、通話機能とメール機能があるので人数分差し上げます。囁かなお返しだとでも思ってください。追加で必要な際は、冒険社連盟で私の名前を言って頂けましたら貰えると思いますので」
携帯電話みたいなもんか、かなり便利なものを貰ったな。
これは意外な収穫だ。
「じゃあ、行くぞお前ら!」
そうして俺達は、宿に戻る。
かっこよく決めているが、俺は桜田に車椅子を押してもらっての退場なのでかなりダサい。
そして一悶着を終えた俺達は宿で、今や恒例行事の会議をしていた。
「ギルドの名前何にしたです?」
「気になるか?」
「そりゃなるでしょ、ダサいのだったら嫌じゃない」
「妾はなんでも良いがな」
突発的に考えたから、こいつらに何言われるか少し心配だが、隠していてもいずれバレるので白状する。
「ギルド名は、夜明けの転生者達だ!!!」
「意外といい名前付けたじゃない」
「妾に相応しい良き名じゃの」
「カッコイイのです!」
意外と好評じゃないか?
予想と違う反応に照れてしまう。
照れ隠しのために俺は急に叫ぶ。
「夜明けの転生者達始動だ!」
こうして、俺たちのギルドが設立したのだった。
常に先には心配が待っているが、ギルドの仲間達と共に乗り越えていける。
4人はひっそりとそんなことを思っているのであった。
応援ありがとうございます!
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