この世界が乙女ゲームの舞台だとは知らない俺の物語

ユキさん

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第10話 ~隠蔽術訓練《その2》

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俺の中の魔力を自在に操れるようにする。それを実現させようと教わった瞑想法で色々とやってみるも、なかなか上手くいくことが出来ない。どうにも魔力を自身の感覚に繋ぐってことがね…、難しすぎると思うんだ。上手く繋ぐことが出来ない、どうしても乱れて魔力が不安定に流れてしまう。繋ぎ目部分が歪なのだ、そこから乱れて操れない。



二属性であるネムも四苦八苦しているし、一属性のダリアも苦しんでいる。十二属性もある俺だから難しいのでは? と思ったりもしたのだが、二人の様子を見る限り…それは関係ないようだ。一体化…繋げ方に問題があるのか? 配線を繋ぐだけじゃないか、何処に苦労する要素がある? …考えるんだ。そして見付けるんだ、…その方法を。













…約一ヶ月。…色んな方法を考え、そしてそれらを実行してみた結果に行き着いた答え。魔力を自在に操る為のイメージを変電所に例えたわけだが、…そもそも変電所がどういったモノなのかいまいちよく分からない。分からないモノをイメージして瞑想しても、上手くいくことなど出来やしないと気付いたんだよね。それに気付くのが一ヶ月後とかって、…笑い話にもなりやしないぜ。



そんなわけでイメージを変えてみました、俺自身を電気器具に例えるのです。どんな電気器具ですか? と聞かれるのは困るけど。…そうだな、言うならばオリジナルです! としか言いようがない。考えてもみな、魔力をどうにかする電気器具なんか存在しないだろ? …そういうことだ。あえて言うならオーディオ? ゲーム機? テレビ? たぶんそこら辺じゃないか? 俺にも分からんよ。単純にプラグを差して接続し、その電気器具を動かすっていうイメージをするだけだからさ。













そんな新しい俺的イメージで瞑想をし続けて一週間、遂に魔力をある程度自在に操ることが出来た。完璧とは言えないけれど、後は日々の瞑想でモノにすればいいと思う。変電所イメージよりも電気器具イメージはやり易いな、何て言ったって俺にプラグを差し込むだけなのだから。



配線化している属性魔力の一部をプラグ付ケーブルへと変換、それを俺の感覚に差し込み接続する。接続を確認したら、そこに魔力を流して感覚と繋げる。最初の内はそれに慣れるだけで留めておき、慣れてきたなと思ったら次の段階へ。まぁイメージとしては、その流れる強さをダイヤルで調整し魔力を操るだけ。ダイヤルに合わせて強弱させる、これがなかなかに難しかった。…がある程度の調整が出来るようになった、俺の中の最低ラインを越えたんで成功と言ってもいいだろう。



後は色々と微調整したり、練度を上げてダイヤル式テレビから液晶テレビへ進化させるよう頑張るだけさ。追々で外付けの備品も追加される可能性がある、それに順応出来るように仕上げておかねば。…にしてもイメージって大事だね、改めて思ったよ。













魔力を操れるようになったことを父上に報告をすれば、



「…早いな、お前は十二属性もあるから相当の時間が必要と考えていたんだが。…いや、一体化したつもりの勘違いということもある。…ミュゼよ、お前の意思で俺と同属性の闇を流してみせろ。」



とか言ってきた。操れるようになった初心者には難しくないかい? とは思うものの、俺にとっては楽なものである。



とりあえず父上の手を拝借、父上はキョトンとしていたけど…、



「…んなっ!?」



その手に俺から闇属性の魔力を流し込めば、その顔が驚愕に染まり俺を見る。……何故にそこまで驚く必要があるのだろうか? 父上が流してみせろと言ったからそれを実践しただけなのに。そう思ったんだけど…、



「お前の意思で自身の身体に闇属性の魔力を流してみせろと言ったのだが、…まさかこの俺にその魔力を流し込んでくるとはな。この短期間で譲渡を身に付けるとは、想像を遥かに越えている。一体化していることは明白、ミュゼ…お前は天才か!」



なるほど、父上に流すのではなく俺自身に流せばよかったのか。父上は魔力の流れが人よりは見えるとのことで、自分の意思一つでどの魔力が活性化しているか見る予定だったんだと。特に自分と同属性であればよく見えるとのことで、俺の成果を楽しみにしていたところの予想外。更にその上をいく譲渡にかなり驚いたってことか、…まぁ操れるってことを分かって貰えたんだから良しとしよう。



因みに一属性のダリアが最初に身に付け、二属性のネムが俺よりも少し早く身に付けたみたい。父上曰く、彼女達も身に付けるのが十分早いとのこと。魔力を把握しているっていうのが良かったみたい、そこは俺のお陰と二人は思っているらしく揃ってお礼を言われたよ。俺としては二人の努力が実を結んだと思うんだが、そこは素直にお礼を受け取っておいたよ。













魔力と一体化、自在に操れることが出来るようになった。次は、…次の段階は何ですか? 父上。



「次の段階は精霊を感じること。今この時も周囲には精霊がいる、その精霊達を感じて友好を結ぶのだ。精霊達の力を借りることが出来れば、その身の魔力を上手く隠すことが出来よう。」



…次は精霊と仲良くか、なるほどなるほど。確か属性魔力は、精霊達のお陰で宿すことが出来るんだよな? その魔力を隠すのに精霊の力を借りる…か。…何か普通だね?
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