上 下
7 / 64

第7話 メイド

しおりを挟む
私たちメイド一同は、王弟のリマーニ様が、
大好き集団です。
メイドから第2王子、目下の者から、
目上の者への言葉かけは、原則禁止です。

私は、かなりの競争率をくぐり抜け、
寝ずの番を射止めました。
リマーニ様の寝顔や、寝起きのお顔を
近くで見れる幸せ。いやされます。
今朝は、起こす前に、起きられ、まだ
寝起きで、あどけなさが残る顔で、
目が合うと、ビックリされていました。
私は、頭を下げました。
かわいいお顔だわ。目があった。
今日も一日、しあわせだわ。

同じく競争率の高い、朝の支度を、
お手伝いするメイド、本来なら
1人から2人で、出来る事です。
水が入った銀のボールをもつ係。
ふかふかのタオルを渡す係。
王弟の髪を触れる係
にわかれ、第2王子リマーニ様を、
見つめていました。

「一人で、出来ますので、あのー、
すみませんが、大丈夫です。」
遠慮がちに、メイドにまで、優しく
話しかけて下さる、私たちの
かわいいリマーニ様。
メイド全員同じ事を考えたのか、
みんなはポッと、顔が赤くなりました。

「気分を、害したらごめんなさい。
一人で大丈夫ですし。見られながら
洗うのは、恥ずかしいです。」
気分を害してません。
気分は、最高です。リマーニ様、
お気遣いありがとうございます。
私たちの、顔がさらに赤くなりました。

パシャパシャ。
リマーニ様が、顔を洗ってます。
まるで、小鳥が水浴びをするように、
儚げな、少年と、少女のような、
あいまいな、かわいさです。
表現が下手ですが、とにかく、
リマーニ様は、すごくかわいいです。

水浴び、いえいえ、顔を洗い終えた
リマーニ様が、濡れました。
パジャマまで、濡れていました。
着替えが、必要です。
メイドさん同士、目で牽制し
あっていました。
またまた、競争に、勝ちぬいた私は、
着替えをお持ちしました。

「ごめんなさい。」
着替えを手伝おうとすると、リマーニ様は
必死に逃げ、着替えを持って、
キョロキョロされていました。
しばらくすると、クローゼット
の扉を開き、着替えられている
ご様子でした。
お手伝い失敗、残念です。
ガチャ

天使が、現れました。シンプルな、
お召し物を身につけた、私たちの、天使。
ハァー。かわいい。
口元に、手を当てて、かわいいとか、
天使最高。とか、叫びそうになるのを
必死で、こらえました。

ガチャ、パタン。
「おお。かわいい我が弟よ。おはよう。
今日も、かわいい我が弟よ。
さあ、おはようのハグだ。
お兄ちゃんの腕の中にさあ、おいで。
はぁー。
リマーニ様がため息を、ついてます。

「おはようございます。」
きゃー。かわいい声。
王子はリマーニ様を抱きしめ
小声で、耳元でささやかれています。

リマーニ様は上目遣で、口元を両手で
メガホンのように、囲い話を
していきました。
王子は、ニコニコ笑顔、
リマーニ様は、真剣な表情から、
恥じらった表情、色々な表情を
されていました。

最高な1日が、始まりました。
しおりを挟む

処理中です...