身代わりの身、捕らわれの身?

カヨワイさつき

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第39話 王の最後の手紙

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ストルグ、チマリ、リマーユへ

まず初めに、お前達は、ぜひ、
幸せになって欲しい。
出来れば、愛のある恋愛結婚とか、
して欲しい。
政略結婚でも、多少の情はわくが、
他に目移りしてしまう。
愛のない、政略結婚するくらいなら、
独身でいたほうが、まだ、いいかもしれない。

正妃、側室とは、名ばかりで、
本当に好きだった人とは、
一緒になれなかった。

ストルグが、生まれた時、
すごく嬉しかった。
王族特化の眼をもち、
王妃も落ち着いたように見えた。
国同士の思惑をくんだ、側室通いをし、
職務の為の子作り。
だが、すべて故意に流されたと、
噂に聞いた。
嫌がらせから、守るため、離したら、
特別扱いをしたとかなんとかで、
それが返って、悪循環になっていった。
私がなだめた後、別のものが、王妃を、
なだめたと聞くが、所詮そんなもんだと、
思っていた。
お互い政略結婚だったから、火遊び程度なら、
どんなによかった、だろうか。
子さえ出来れば、周りは、世継ぎだとか、
王族特化の色だとか、王妃を、褒め称えた。

次の子を、儲けるため、やたらと猫なでした声で、
甘える態度、否定すれば、金切り声、
次第に距離を開けるようになった。

たまたま、遊びに来ていた、シュナ姉上と、
王妃は、楽しそうに、歓談していたから、
夫婦仲を取り持って、もらうために、
幾度か、王妃が寝た後、相談していた。
 
度重なる、側室たちへの嫌がらせも、
エスカレートし、正妃をなだめようとしても、
暴れて奇声を発声したり、挙げ句の果てには、
乳母にまで、嫌がらせや、直接的に
当たっていたときいた。
私は、日に日に、眠れなくなった。
睡眠剤など、飲むようになり、薬の量も
増えていった。

あの夜も、いつものように、薬を溶かして
飲もうとした。

乳母にあたっていた、正妃をなぐさめ、
正妃が寝た後、薬を飲むため、
自室に行ったら、シュナ姉上が、また、
相談というか、私の愚痴を聞いてくれた。

話も落ち着き、冷めたお茶を飲んだが、
睡眠薬入りの、お茶を取り間違えた。
偶然にも、姉上は、私が飲むはずだった
睡眠剤入りの、お茶を、飲んだとたん、
少し苦しそうにしていた。
ふらふらしながら、ソファーに、倒れた。
薬を飲み続けていたからか、薬の効きにくい、
私は、4回分の睡眠剤を、溶かして飲んでいたんだ。

効き目が強すぎて、シュナ姉上は、
苦しんでいたから、ナイトウェアの
紐を緩めてあげた。
しばらくすると、着衣が、乱れ、
太ももや、ふくよかな胸が、
目に入ってしまった。

まだ、若かった私は、シュナ姉上が
好きだったし、欲望に負け、
無意識の姉上を、朝まで、抱いてしまった。

シュナ姉上は、数ヶ月後、シモンという姉上の
親衛隊をしていた男と、城を出て行ったと、聞いた。

気にしつつも、王妃の事や、政務で色々忙しく、
時間だけがたってしまった。

リマーユを授かり、王妃も落ち着くだろうと
思ったが、心無い者の言葉で、王妃が、さらに
病んでいった。

ストルグと、リマーユが、似ていない。
不義の子と、噂され、リマーユの、乳母にまで、
危害が、加えられるようになった。

流行り病で、ほとんどの者が、亡くなった。
王妃も、そのうちの1人だった。
正直、ホッとしてしまった。
我が子が、乳母に懐くのまで、嫉妬し、
嫌がらせをしていたから。
それを、止めれなかった、私も悪い。
みんな、すまなかった。

流行病のあと、姉上の行方を捜していた。
容姿も綺麗だから、すぐにわかった。
姉上を、手助けするよう、影もつけた。
驚いた事に、王族特化の色を濃くした子どもが、
いると報告を受けた時には、まさか、
とよぎってしまった。
なんどか、確かめるため、話し合う機会を
得ようとしたが、全て、拒否された。
ダメ元で、子どもに、接触しようと
見張っていたら、偶然にも、
2つの蝶のアザが、水浴びをしていた子どもに、
あったと報告された。

2つの蝶のアザ。
現王の子にだけ、現れるアザ。
身体のどこかに、現れる、不思議なアザ。
奇跡のアザと呼ばれ、身うつしの、
アザとも呼ばれている。
想い合う2人、または願いが強ければ強いほど、
奇跡が、起きるアザとも言われているが、
どのように、発祥するかは、不明確だった。
噂では瀕死のキズが、半々になったとも
いわれているが、昔は、現王の血を
引いた子だけに、現れるアザとして、
禍根を断つため、アザのない子は、
消されていった、過去があるときいた。
ある意味、呪いのアザともいえる。

アザが、あってもなくても、お前たちは、
私の大切な子どもだ。
ストルグ、チマリ、リマーユ、
必ず、幸せになってくれ。


死期を悟った王は、もしもの事が、
あれば、この手紙を、最愛の子ども達に、
渡すように、伝えていた。
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