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27、気づいてたはず

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ペナルティーの事が何となくわかったので、
ちょっとした事でも、懐中時計を
気にしてしまい、何でもない時ですら
見るようになってしまった。
そのおかげなのか、仕事は8時間以内に
終わらせる事が出来た。
そう、しょっちゅうケガを負った者や
病気の者がいる訳ではないから
週に5日以内、1日8時間以内での
仕事で過ごせている。
過ごせているが、その分龍のスイリョや、
ギランのやり取りが続いている。
お風呂のお誘いや何故か下のお世話を
したがったり、やたらとお酒を
勧めてきたり、しまいには
直接、セッセをしたいと言って来るようになった。

気がつけば日本でいう大晦日前日、
つまり12月30日になっていた。
1日1回だと言っていた、数千の未読の
メールは同じような題名が付いていた。
一括でゴミ箱にいれたが、帰らないと
めんどくさい事になりそうだ。
同じようにめんどくさい事柄が、
龍のスイリョとギランに、一旦
異世界?日本に戻る事を
伝えないといけない事だ。
このまま帰ると、誰かに攫われたとか
大騒ぎしそうだから……。
はぁ~
     …~省略~…
大晦日の早朝。
龍のスイリョとギランは、あいかわらずの
猛反対していた。
何度も説明したが、俺の事を
信じてくれていないのか、不安からなのか
俺が戻って来ないかもと心配している。
もし年末年始に戻らなければ、
メールも2回だけの一方的な返信で
メール交換をしていない。
日本でもメールは、パソコンでの
院内メールや緊急呼び出しの電話くらいで
個人的なメールのやりとりはしていなかった。
機械音痴ではないが、ただ、メールの
やりとりの必要性を感じなかったのだ。
そういえば、俺が頼んだ医薬品類の他に
衣服や消耗品が度々増えていた。
寝る前に何もなく、朝起きたら
ダンボールが積み上がっている
不思議な現象が起きていた。
それはともかく、ここに来たのも突然だが
一時帰宅?というのはどうするか
わからなかった。
朝方まで話していたから、喉もカラカラで
寝ていないからかなり眠い。
「ギラン、"スイちゃん"さすがに
眠いからちょっと休むけど、また
昼過ぎにでも話そう。」
『我も一緒に寝るぞ。』
「そんなら、俺もレイヤと寝る。」
「はいはい、じゃあ、皆で寝ような。」
そう言って俺を真ん中にして、
変な川の字で寝ることになった。

「おやすみ。」
「おやすみぃ。」
『レイヤ、好きだぞ。おやすみ。』
「……。」
「お、俺もレイヤを好きで、しかも
愛してる。」
『我はレイヤの伴侶だ。』
「そんなの勝手だ。レイヤは何も言ってないし、
レイヤの夫は俺だ。」
「……。」
『レイヤは我と……。』
「うるさい!!2人ともお、や、す、み!!」
「…おやすみ。」
『…我のレイヤ、おやすみ。』
「……。」
こうして、眠った3人はこれから
大変な目にあうのであった。
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