不幸体質の私、トリップ先は○○ですか?!強面男性と童顔女性の物語。

カヨワイさつき

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岐路

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ミーナ目線

馬を通常の走りでは3日かかるところを
休憩、かなり短い休憩をしながら
1日弱走らせてきた。
あと少しで我がカセンドラーの町に着く、
というところで馬が突然歩みを緩めた。

流石に疲れたのか、走らせ過ぎたと
反省しながらも俺は馬を降り、
一緒に歩こうとした。
馬は一歩も動く気配がない。
諦めて馬を近くの木に繋ぎ、
携帯していた水と食料を与えた。
ここからなら、念書を飛ばせる。
とりあえず、一刻も早く
ゆりの捜索に加わりたい。
ゆりをさらった奴を許さない。
ゆり、生きていてくれ。

ゼルンにミーナからの念書が届いた。
"馬が動かなくなった。"
"町の一歩手前。"
"早急に替わりの馬寄越せ。"
「……。」
寝ずに捜索している、ゼルンと
メイド長、色々言いたい事はあるが
飲み込んで、ゼルン自らミーナを
迎えに行った。


長髪の男とゆり

カセンドラーの活気ある町の外れに
ゆりと男は転移した。

筋力も落ちたゆりは立つのもやっとだった。
ゆりの数字は"1"から"0.5"になった。
逢える時間はあるのかな?
書いた手紙は、落としたら嫌だから
手に持っていたら、
「あの場所の持ち主に渡す手紙か?」
と聞かれ、ミーナさんの家よね?
と思いながら頷いた。
落としたらダメだから、男が
ギリギリまで持っていてやると
言って、懐に入れてしまった。

まあ、悪い人…には見えないから
預かっていて貰おうと思い、
"ごめんね。""ありがとう。"の
気持ちを込めて手をあわした。
やはり、男は無表情で首を傾げた。
この男も私と一緒の作りモノなんだ。
何か欠けてるけど、悪いものではない。
ニッコリ笑うと、男は少し驚いた表情をした。

グゥー。
私のお腹はこんな時も音が鳴る。
男が微かに笑った気がした。
なんだかはじめてみた暖かい笑顔だった。

町はざわめいていた。
私を探している兵士たちが
たくさんいる事を忘れていた。

ちょっと飴を買いに行く男(全身黒)と
お姫様抱っこされている少し汚れたドレスを
着た、ちょっと痩せたゆり。

町中でお姫様抱っこされるだけでも
目立つのに、全身黒の長身男と
私の組み合わせは、目立つどころが
異様だった。
それでも体力がない私は、
いつも移動は、抱っこだったから、
慣れてしまっていたし、
もうすぐ戻れる事に浮かれて
気付かなかった。

「そこの男止まれ。」

男はゆりを抱いたまま、飴を売る店に
ゆっくり歩いていた。
「止まれと言っている。止まらないと…。」
チラッと男はリーダー格の偉そうな兵士を
みたが、お腹を鳴らしているゆりに、
飴を買わなければいけないと思い、
兵士たちの事は気にしなかった。
ゆりは男に顔を向けているので、
女性というのは、わかるが誰かまでは
わからない状態だった。

飴屋のお店の人は、戸惑いながらも
お金を出され、飴を指差しする男に
飴を金額分渡した。
微かに笑った男。
一つ飴を取り出して、ゆりの口に
入れようとした。
「き、貴様、私を無視しやがって、
何、笑ってやがる?」
兵士怒りの表情だった。
「笑う?」
首を傾げながら、兵士たちに背を向けた
瞬間、
ドスッ、ドスッ、ドスッ。
男の背中と足、脇?に弓矢が刺さった。
オマケに矢じりに痺れ薬も塗ってある
モノだった。

「キャー。」
町の誰かが叫んだ。


同時刻。

ゼルンは無事ミーナと合流し、
疲れ果てた馬を共に連れて来た部下に任せ
一足先に状況説明しながら、
町に入ったところだった。

「キャー。」

いつも平穏な町から、悲鳴が聞こえた。
2人はアイコンタクトをとり、一気に
悲鳴が聞こえた方へ、馬を走らせた。

ミーナとゼルンは絶句した。

散らばる飴玉。
兵士に取り押さえられた、
矢の刺さった虚ろな目の大男。

散らばるように髪がみだれ
横たわる女性。

すごく逢いたかった女性、ゆり本人。
弓矢の1本が、ゆりの腕に刺さっている。

ゆりの数字は"0"になっていた。
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