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第217話 訪問 その2

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カーミ目線

パッチワーク?寄せ集め。バラバラな、
ものを集めた、作品。
「この部屋は、他より小さいが、
何に使われているんだ。」
カイザが、笑っている。俺は、
この、何かを、企んだような
笑顔が、苦手だった。
「お説教部屋かな?生活指導部屋?
なぜか、子供たちは、近寄らないんだ。
多目的部屋、特に決めてないけど。」
「あれが、原因じゃないか?」
「たぶん。そうだろうけど、
モデルとなってしまった本人も、
困った贈り物の、1つなんだ。」

グラン・アーザ様の、等身大、やたらと
リアルな木彫り。
彫刻も、細部にわたり
素晴らしい作品なのだが、明るい時でも、
険しい表情だし、夜みると、人影に、
見え、ややこしいし、子どもから、
怖がられたそうだ。
最初は、玄関ホールに、置いていた
らしいが、本人が、嫌がったそうだ。

今では、親バカ、奥様にベタ惚れ、
溺愛してる、イカツイ英雄。
昔は、獣王として、かなり、
恐れられたそうだ。

「英雄の息子も、英雄。」
「はっ?」
「お前は、恵まれているな。俺は、
いつもお前と、比べられたんだ。
同じ公爵の息子、同じ年齢。
同じように頑張っても、魔力が、
違うから、守護獣も違う。
お前は、花形、俺は、ただの騎士。」
「……。」
「なんでも、出来ますって顔も、
むかつく。魔力が高まってるから、
だんだんお前は、色濃くなってる。
スラム街救出劇も、大活躍。
保護した人数も、トップ。
パックアップ、資金も、何も、
かも、お前が上だ。」
「カーミ様は、何人助けて、
何人保護、何人守ってるの?
自分が、したい事は何?」

「うるさい、お前のが、助けた
人数も、保護した人など、
お前の方が上だ。俺なんか、
たまたま、発見出来た、数十人で、
今、保護してるのも、
20人足らずだ。
しかも、屋敷の一部を
そのまま、あてがった部屋。
お父様に、四部屋、
貸してもらってるだけだ。」
「それは、カーミ様が、公爵様を
説得して、困っている人を、
助けたいから、一緒に、
暮らしてるんでしょう?」
「カーミ様は、優しいね。」
「ば、バカにしてるのか?」

コンコン。ガチャ。

「あっ、あのさ、ノックと、開けるの
ほぼ同時だよね?ステラ。」
「ごめん。カイザと、カーミ様。
早く、話ししようと、
思ったから、あれっ?取り込み中?」
ステラ様と、コトミは、手を繋いで、
現れた。
ははは。なんだか、仲良くなってる。

「お邪魔なら、コトミちゃんと、
施設内まわりけど、どうしたら、
いい?」
「俺はどちらでも、いいよ。」
「俺は、ごめん、熱くなりすぎた、
相談事は、別なんだ。」

「さっきの、答え俺も、今、
言っていいかな?」
俺は、カイザ様が、言い訳か、
俺を丸め込むのか、気になったので、
「あぁ。いいよ。」

「俺も、カーミ様も、未成年だから、
保護する者と一緒に、見習いと
して、お手伝いとして、働いている
はず。ここまでオッケーかな。」
オッケーなんだ、それ?
「オッケー?」

「じゃあ、続けるね。まず、俺が、
発見し、助けたり、保護した人は、
0人。今、守って甘やかしたい人、
愛してる人は、ステラ、ただ1人だけ。」
さらっとノロケた。

「0人?なぜだ。数百人規模で、
助けてるじゃないか。」
「それは、こころお母様だよ。保護施設
作って、アールや、他のスラム街の
人を助ける事、提案したのは、
こころお母様で、それに乗っかたのが、
グランお父様。助けたり、説得、
施設作りも、お母様からの、提案だし、
会社も、そうだよ。公爵、領主の座も、
お父様が、お母様と、イチャつきたいから
俺に、押し付けてるだけ。」
「グランお父様は、他の兄弟姉妹に、
公爵、領地を押し付けられたって、
よく、愚痴ってるよ。」
「たしかに、グランパパ様も、
こころお母様も、人目をはばからず、
仲がいいわね。」
「俺は、弟や妹が、領主になりたいなら、
喜んで、譲るよ。」

驚いた。何を言ったらいいか
わからなかった。
「今、ここで、子どもたちと、
遊んだり、教えたりしているのは、
なんなんだ?」
「「当たり前だから。」」
「声はもったね。ステラ、さすが、
可愛い声だ。」

「どう言うことだ?」
「グランお父様と、こころお母様が、
ここを作った時に言った言葉が、
あるんだけど、数百人単位の、
大家族だから、みんなで、協力して、
自分が出来る事は、出来ない者に、
教えて、けっしてバカにせず、
教えあいっこする事。
教えあいながら、自分のしたい事、
決めてくれって、家族になった人達に、
言ったんだよ。」
「あれは、感動したわ。私、文字が
ほとんどかけなかったから、
恥ずかしかったけど、身分関係なく、
色んな人や、獣人族の方にも、
色々な、言語や魔法
教えてもらえたから、得したわ。」

獣人、色々な言語?魔法?
なんだそれ。うらやましい。

「8歳の子で、水魔法はすごいのに、
攻撃魔法は、苦手な子がいるんだけど、
自分が出来ることはしてあげて、
その子からも、教えてもらう。
魔力を強くしたいなら、
変なプライドは、捨てたら楽だよ。」

カイザ様の見透かしたところも、
図星だったから、苦手で、
嫌だった。
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