【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

カヨワイさつき

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第一章 2人の約束

17、可愛いもの

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「…カズミ。」
「はい。ナオクルさん。」
「カズミ。」
「はい。」
「……。」
「……フッ。」
なんだろう?さっきからこのやりとりが
続いてるし、ナオクルさんは一瞬
柔らかな表情だったが、また難しい顔をしてる。
ここに来て、というかナオクルさんに
あってからほぼ自分で歩いてない。
地面に足を着けてる時間がかなり短い気がする。
足には、"ファッションならお任せシマチラ"で
買った二足で190円の激安くつ下と、
一足980円の履き慣れたスニーカー、
馬車の事故で、ボロボロになり
汚れも酷かったはずなのに、まるで
新品のように綺麗になっていた。
なんでだろう?

相変わらず、下に降ろされないまま
お膝の上に座ってるんだけど、さすがに
言い出しにくい事が起きたのだ。
やばい…尿意が…、トイレに行きたい。
でも、このままでは…。小さな子どもに
おしっこをさせるように、ナオクルさんに
腰をしっかり支えられた俺が思い浮かんだのだ。
しかも、ナオクルさんに恥ずかしい所を
バッチリ見られながらトイレを
済ます自分の姿をくっきり
想像してしまった。恥ずかしすぎる。
だけど……もう…限界だぁー。
膝の上にお漏らししたくない。
俺は勇気を振り絞り、思わず握り拳を
作りながら宣言したのだ。
「ナオクルさん、お願い。お花摘みに行きたい。」
「……わかった。」
ナオクルさんの返事に安心したのも束の間、
景色がブワァとなり、甘い香りがした。
わあー、月明かりがきれいだな……。
わあー、お花も光ってるよ。
「……。」
ここどこ?
一瞬、尿意が遠のいた気がした。
「王都近くの花の群生地だ。」
あっ、"お花摘み"。
ナオクルさんそのままの意味に捕らえたのか。
「き、綺麗だけど、ごめんなさい。
トイレ、お、オシッコしたいんだ。」
俺をなかなか降ろしてくれない
ナオクルさんの耳を軽くひっぱりながら、
必死に訴えたのだった。
無表情になっていたナオクルさんに俺は、
自分自身いっぱいいっぱいで、とある事を
勘違いされた事に気づかずにいた。
そぉーと、地面に下ろしてくれた時、
「……誰も見てない。」
と呟いたナオクルさん。
本当だ、誰もいないって…すごく
ツッコミたかったが、かなり限界だった。
ナオクルさん?!
今、俺、ガン見されてるよね?!
「は、恥ずかしいから、後ろ向いて下さい。」
やばい、もう、ホント…漏れる。
一歩も動けず、降ろされたその場に
しゃがんで、服の裾をまくりあげたのだ。
下半身、すっぽんぽん。
夕食前に起きた時からだけど、
いつのまにか、ゆったりしたワンピースの
服に着替えさせられていて、下着は何も
付けていなかったのだ。

ジョボ、ジョボ、ジョボ…と虚しい音が
聞こえていたが、出し切るとスッキリした。
拭くものも、手洗いのお水もない。
相変わらず、ナオクルさんはこちらを
見てるけど、男同士だし、
もう我慢できなかったのだけど、
恥ずかしいものは、恥ずかしい。
異世界にきて初めてのトイレが
月夜のもとで光るお花の群生地でした。
「あ、あの、拭くものと手を洗いたいん
ですが…さすがに…ない…ですよね?」
「……。」
オシッコを済ませた俺の下半身のとある部分、
しょんぼりした所に、大きな手が……。
触れそうで触れないような近い場所、
ナオクルさんの大きな手がありフワァと、
暖かな何かを……感じた。
ぽわぁぁ~となり、下半身から頭の先まで
包み込まれるように暖かくなったのだ。
き、気持ちいい……。
思わず腰が抜けるような感覚がしたけど、
いつのまにか、また俺は安心感ある腕の中に
すっぽり収まっていたのだ。
「ふっ…可愛いな。」
「……。」
見られた。可愛い?ナニが可愛いんだ?
お陰様で、しょんぼりした所が
わずかに元気になった気がする。

俺の身長は約170cm…168cmだけど
アソコは平均並だと思う。たぶん。
この世界の皆が、デカイんだよ。
身長がだよ。身長と体格。
アソコは見てないから、わからない。
見る機会もない事を願う。
恋愛対象は、女性だから顔が整った
ナオクルさんじゃないし、ナオクルさん
たぶんだけど身長2mはあるよね?
立ち上がったら、自然と見上げてしまったし
立っても座っても体格差から、俺、ずっと
上目遣いしかできない状況だよ……。
あと、なんで男ばかりなんだ?
ここに来て、亡くなったリナリアさん以外
男性っぽい女性しか見たことないよ。
ボンキュボンのお姉さん、まだ見てないよ。
異世界なのに、綺麗なナイスバディな
お姉さんに出会えてないよ。
逢いたいよ~。
あと、微妙な感じの俺のナニ
どうしよう?
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