【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき

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27、うなされてる"テル"

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*テル目線
***嫌な気持ちになる話含みます。
ご注意下さい。




「あ~ぁ、せっかく広い家に引っ越せたのに
なんであんな子と同じ部屋なのよ。」
「コラっ、聞こえるでしょ。もう、
仕方ないでしょう。誰も
引き取りたくないんだから……。」
「なんでそれなりのとこに行かないの?」
「おじいちゃんとおばあちゃんが
施設に入れるのは反対してるからよ。」
……全部聞こえてるよ。
……ここはお父さんとお母さんと
"僕"の家なんだ。
……誰も来ないで!!
部屋のすみでうずくまる"僕"。
小学校に居れるギリギリの時間まで
学校にいて、近場の公園で時間を潰し
他人がいるお父さんとお母さんの家に帰っていた。
      **
「何年も経つのにあの子の親帰ってきてないし、
使ってあげないと家もガタが来るでしょ。」
両親が帰って来なくなったその年、
電気・ガス・水道も止まってしまった。
小学5年生だった俺でもわかる。
俺は両親に捨てられたんだと。
寝泊まり出来る家はあるが、
食べ物がないから学校の給食が1日1回の
ご馳走だった。洗濯物は学校近くの公園で
洗っていたが汚れは完全には取れなかった気がする。
そのうち、学校から帰ってきたら
俺は施設に預けるとかどうとかの相談で
見慣れない親戚の人が家にいた。
子どもだと思って平気で"僕"の目の前で
笑いながら話していた。
施設に預けるのは……どうのこうのとか
年配の人が言い出した。結局、両親が
いつ帰ってくるのかわからないとの事で
なぜこの人達だったのかはわからなかったが、
化粧臭い人とキツそうな顔つきの人、
そして"僕"と同じ年頃の女の子が2人いる
4人家族が"僕"と生活をともにする事に
なってしまった。
4LDKの両親の家はいつのまにか
模様替えされお気に入りの家具も処分された。
お父さんが気に入っていた本棚と
数多くの書籍、お母さんの着物や
宝石も気づいた時にはなかった。
それを指摘すると
「親に捨てられた子どもが口出しするな!!」
「うるさい!養ってやってるんだから
大人しくしろ。」
「気に入らないならでていけ!!」
本当に出て行ったが、警察に保護され
連れ戻されてしまった。
「あれほど迷惑かけるなって
言っただろうがぁ!!」
「そんなんだから親に捨てられるんだよ!!」
今日もまた、他人が"俺"に何が言っていた。

要らないから捨てる。
捨てられたから、どこかに行く。
連れ戻されても、居場所なんかないから
仕方なく他人の言う通りにする。
「……なぁんだ、簡単なんだ。」
要らない子は自分の考えも要らないんだ。
言われた通り過ごせばいい。
時間潰しに学校の図書館で勉強した。
学校行事はお金がかかるから不参加。

「明日、運動会なの。お父さん、お母さん
お弁当期待してるからね。」
「はいはい。リクエスト?からあげと
玉子焼き、ウインナー、野菜も食べないよね。」
「よろしくぅ~。」
「あれ?そういえば、あの子も同じ学校だし
運動会、お弁当いるのよね?」
「知らなーい。」
「行事予定どころか、学校のお知らせすら
持ってこないんだから困った子ねぇ。」
「……。」
「…ゴホッ。知らせないって事は
必要ないって事だろ。」
「……でも、あなた。」
「お母さん、もうほっといたら
いいんじゃないの?」
「……。」
一つ上の女の子と同学年の女の子がいた。
学校行事のお知らせも最初は、
"俺"の保護者という肩書きの人に渡していた。
参観日や運動会はもちろん、その他の
学校行事は"俺"は必要ないとされた。
運動会や遠足などは小学校5年から
中学卒業まで参加出来なかった。
お弁当が必要だから?
準備にお金がかかるから?
修学旅行もお金がかかるから欠席。
クラスの子たちは楽しげに予定立てていたが
"欠席"する事は前もってわかっていたから
班決めも、名前だけは一応入っていたが
役割分担には名前がなかった。
他にも色々、学校行事とかある時期には
親戚という他人の家に放り込まれ
学校を何度か転校した。
友人もいないままなんとか受かった高校は、
誰かの家の軒先にあるほぼ物置き小屋や、
家の目立たない場所が"俺"の仮住まいだった。
バイトが出来るようになってからは
家にいるのは数時間だけだった気がする。
やっと高校を卒業した後、親戚という
他人とさよならした。
卒業まもなくバイト先の近場の公園と
図書館が俺の居場所になった。
あの日、ひと目を惹く男性と出会った。
高校の教科書に出てきそうな
中世ヨーロッパ風の俳優さん?
鎧と剣を着たリアリティあるコスプレした
男性がいた。
撮影会か何かのイベントあるのかなぁ、
と思いながらいつもとは違う公園の
ベンチを確保し、視線をあまり向けない様に
気をつけた。そして次のバイト時間まで
(明日の朝)休む事にした。
なんだか誰かに抱きしめられた気がした。
……懐かしいあたたかさ。
久々にぐっすり眠れた気がした。
翌朝"俺"以外のおなかの音が聞こえてきた。
昨日は、居酒屋のバイトでまかないを
食べたから大丈夫だし…まさか、
今、昼?寝過ごした?!
慌てて起きると、夜明け前だった。
ホッとしたがやはり、すごいお腹の音がした。
やっぱり"俺"じゃないおなかの音に
一瞬笑いそうになったが、あらためて
お腹の音の持ち主を見てみると
昨日のコスプレイヤーだった。
言葉も通じないけど、とりあえず
お腹がすいてる辛さはわかるので
いざっていう時の非常食を数枚あげた。
4枚入りの個別包装。
バイト先の人からのお土産で貰った物だ。
まだ、バイトの時間まで少しだけ
時間があったので、身振り手振りで
言葉を教え合いっこした。
"オレ、オレオール……。"
オレオールさんが俺って言うと
なんだかギャグ言ってるように聞こえるから
"私"って言うてるのかな?
なんだか高貴な人って感じでカッコいいと思った。
楽しい時間はあっという間に過ぎて
いつもバイト終わりに"俺"を迎えにきてくれた
オレオールさんは、突然来なくなった。
いつもの公園や、いつものバックパッカーの
ホステル、思いつく場所にあちこち探したが
いなくなってしまった。
オレオールさんも、俺の両親のように
俺の事が要らなくなったんだ。
もう、これ以上親しくならなくて
よかったんだ。
これ以上一緒にいたら……。
……どうせ捨てられるんだ。
俺が、要らないから…俺は、もう……。
楽しい夢はもう、終わったんだ。

                 ***

*オレオール目線

コンコン

「し、静かにしないと…寝てるんだろ?」
「かなり軽めのノックだよ。それよりも
オレオールの声の方が、響いてるかもね。」
「!!!」
大きなベッド?!
いや、ちがう。
いつもの公爵邸の客室用のベッドだ。
寝ている人物が小さくて……。
……以前より…細くて……まさか……。
「……テル?テルなのか?!」
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