29 / 57
眠り
しおりを挟む
朝早くからヴィル様の計らいで
いつもの私のお世話をしてくださる
メイドさん達が、部屋に入ってきた。
もともとは、お母様とは別の部屋を
用意して下さっていたんだけど……。
誰もいない一人部屋は、なんとかかんとか…
14歳の未成年だから、なんとかかんとか…
ここにきてから、なんだかお兄様達は
過保護になり、何かしら理由をつけて
表向き?防犯上あまりよくないとかで
お兄様達が反対した。
お城の中だし、防犯面しっかしてそうなのに
変なお兄様達だわ……。
お城に私とお母様、お兄様2人、
ふた部屋を、お借りしてる状態で
あの日、私を救ってくださった日から
私、オリービアは今日もお城の
たくさんの方々に
お世話になっていた。
魔術師や医師が近くに居る、
快適な部屋。
毎日、ヴィル様から魔力を貰い
私は今日もまた、あの怖い夢を
見る事はなく、安心して眠れている。
あの日、ヴィル様に触れるまで
気が狂いそうなくらい、暗闇から
無数に伸びる正体不明の手に
捕まえられていた。
まとわりつく暗闇と手。
私は闇に囚われ飲み込まれかけていた。
そう、あの時私は息絶えるハズだった。
途切れかけの意識、暗闇の中で
いつもは私の名前を呼ぶのに……。
強い魔力に闇が反応した。
あまりにも強すぎる魔力に、
私は驚愕していた。
私を掴んでいた無数の手と暗闇は
魔力を手に入れようとしたのか
私の身体を動かし、大きな魔力に
近づいた。
怖い。怖いけど闇の奥に追いやられた
私の意識は、これで私は"死"という
行先不明な世界に開放されるんだと
怖さ、不安、安堵…よくわからない
感情に支配された。
私の手を使い闇は、大きな魔力を
吸い取ろうとした。
何かに触れた瞬間、手から激しく熱い魔力が
とめどなく流れ込んできた。
焼けつくような熱い魔力は、
ビリビリしながら私の全身に
行き渡り、まるで身体中の血が
沸騰するような錯覚が起きた。
怖い、怖いはずなのに
なぜか安心感があった。
ピリピリがおさまると、今度は
あたたかい優しい魔力になり
私の中の闇は薄れていった。
もう、私の名前を呼ぶ闇はいなくなった。
あの日から、私はヴィル様のそばで
毎日快適な生活と安心して眠れるようになった。
今は何も返せないけど、ヴィル様の
お役に立ちたいと心から思っていた。
今日は、ヴィル様との約束の日。
早朝にメイドさんに囲まれながら
湯あみをし、肌触りの良いバスローブを
着て、マッサージにウトウトしていた。
いつの間にか、寝てしまった私に、
薄化粧を施されていた。
ソファーに座り直すと髪の毛を
手慣れた手付きで、ハーフアップに
結い上げてくれた。
髪飾りの種類も多くありすぎて
途中で何度か意見を求められたけど
分からないので、すべて任せてしまった。
数種類のドレスをクローゼットから
出してくれたメイドさん達。
どれも、可愛く美しいドレスの中から
これが着たいって思ったドレスがあった。
薄紅色で、裾や袖口になるほど
深みのある紅色に染まったドレス。
ヴィル様色のドレスだった。
いつもの私のお世話をしてくださる
メイドさん達が、部屋に入ってきた。
もともとは、お母様とは別の部屋を
用意して下さっていたんだけど……。
誰もいない一人部屋は、なんとかかんとか…
14歳の未成年だから、なんとかかんとか…
ここにきてから、なんだかお兄様達は
過保護になり、何かしら理由をつけて
表向き?防犯上あまりよくないとかで
お兄様達が反対した。
お城の中だし、防犯面しっかしてそうなのに
変なお兄様達だわ……。
お城に私とお母様、お兄様2人、
ふた部屋を、お借りしてる状態で
あの日、私を救ってくださった日から
私、オリービアは今日もお城の
たくさんの方々に
お世話になっていた。
魔術師や医師が近くに居る、
快適な部屋。
毎日、ヴィル様から魔力を貰い
私は今日もまた、あの怖い夢を
見る事はなく、安心して眠れている。
あの日、ヴィル様に触れるまで
気が狂いそうなくらい、暗闇から
無数に伸びる正体不明の手に
捕まえられていた。
まとわりつく暗闇と手。
私は闇に囚われ飲み込まれかけていた。
そう、あの時私は息絶えるハズだった。
途切れかけの意識、暗闇の中で
いつもは私の名前を呼ぶのに……。
強い魔力に闇が反応した。
あまりにも強すぎる魔力に、
私は驚愕していた。
私を掴んでいた無数の手と暗闇は
魔力を手に入れようとしたのか
私の身体を動かし、大きな魔力に
近づいた。
怖い。怖いけど闇の奥に追いやられた
私の意識は、これで私は"死"という
行先不明な世界に開放されるんだと
怖さ、不安、安堵…よくわからない
感情に支配された。
私の手を使い闇は、大きな魔力を
吸い取ろうとした。
何かに触れた瞬間、手から激しく熱い魔力が
とめどなく流れ込んできた。
焼けつくような熱い魔力は、
ビリビリしながら私の全身に
行き渡り、まるで身体中の血が
沸騰するような錯覚が起きた。
怖い、怖いはずなのに
なぜか安心感があった。
ピリピリがおさまると、今度は
あたたかい優しい魔力になり
私の中の闇は薄れていった。
もう、私の名前を呼ぶ闇はいなくなった。
あの日から、私はヴィル様のそばで
毎日快適な生活と安心して眠れるようになった。
今は何も返せないけど、ヴィル様の
お役に立ちたいと心から思っていた。
今日は、ヴィル様との約束の日。
早朝にメイドさんに囲まれながら
湯あみをし、肌触りの良いバスローブを
着て、マッサージにウトウトしていた。
いつの間にか、寝てしまった私に、
薄化粧を施されていた。
ソファーに座り直すと髪の毛を
手慣れた手付きで、ハーフアップに
結い上げてくれた。
髪飾りの種類も多くありすぎて
途中で何度か意見を求められたけど
分からないので、すべて任せてしまった。
数種類のドレスをクローゼットから
出してくれたメイドさん達。
どれも、可愛く美しいドレスの中から
これが着たいって思ったドレスがあった。
薄紅色で、裾や袖口になるほど
深みのある紅色に染まったドレス。
ヴィル様色のドレスだった。
0
あなたにおすすめの小説
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
花の精霊はいじわる皇帝に溺愛される
アルケミスト
恋愛
崔国の皇太子・龍仁に仕える女官の朱音は、人間と花仙との間に生まれた娘。
花仙が持つ〈伴侶の玉〉を龍仁に奪われたせいで彼の命令に逆らえなくなってしまった。
日々、龍仁のいじわるに耐えていた朱音は、龍仁が皇帝位を継いだ際に、妃候補の情報を探るために後宮に乗り込んだ。
だが、後宮に渦巻く、陰の気を感知した朱音は、龍仁と共に後宮の女性達をめぐる陰謀に巻き込まれて……
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))
あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。
学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。
だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。
窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。
そんなときある夜会で騎士と出会った。
その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。
そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。
結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。
※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)
★おまけ投稿中★
※小説家になろう様でも掲載しております。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる