闇夜の姫は、破壊王子に溺愛される。

初めての……。

城からほど近い湖に初々しい
若い一組の男女がいた。

くっそ……。
姉ならエスコートバッチリだし、
マナーも一通り教わった通りなのに……。

これは、ど、どうしたらいいんだ？
習ってないぞ……。

ヴィルは、困っていた。
陰ながらの護衛と、馬車で
2人は湖のほとりにきていた。

敷物とオリービアの為に大量の
クッション敷いて、ピクニック。
暖かい風が心地いいよく晴れた日だった。

軽食と飲み物を飲みながら、
好きな本の事、これからしたい事など
話していた。

照れ臭さもあり、湖をみながら
会話を楽しんでいたが、急に
会話が、途切れたので不審に思い
オリービアをみると……。
座ったままの状態で、木の幹に
もたれるように眠っていた。
しばらくオリービアの可愛い寝顔を
みていると、俺の肩にもたれてきた。

うれしい反面、ドキドキがとまらず
触れていいのかどうか迷っていた。

手触りの良さそうな艶やかな黒髪は
ハーフアップに編み込まれ、似合っている。
そよ風で揺れるオリービアの
髪がくすぐったい。

穏やかな表情で眠るオリービア。
この体勢はつらくないかな？
俺の方にもう少し体重をけた方が
楽じゃないかな？
だけど傾けさすと、せっかく
気持ち良さげに眠っているのに、
起きてしまうんじゃないか……。

可愛い。
病的にやせ細っていたオリービアは、
初めて出逢った時より、わずかに
体重も増えた。
顔色もよく、肩から伝わると体温は
あたたかい。
俺と話す時にオリービアは、
ふんわりした笑顔で話しかけ、
くるくる変わる表情は
ずっと見つめていたくなる。
触れてみたい。
ダメだろうか？

ヴィルは、迷いながら自分の手を
オリービアの肩に手をまわそうか
悩んでいた。
ヴィルは、オリービアの顔と肩を
交互に穴があきそうなほど見つめていた。

柔らかそうなほっぺに、閉じている瞳は
吸い込まれそうな黒い綺麗な瞳。
薄すぎず太すぎず、ちょうどいい
形のいい柳眉な眉毛。長いまつ毛。
鼻筋の通った小さめな鼻と、ぷっくりした
小さな口。
触れてみたい。

無意識に吸い寄せられた俺は、
気がつけば、オリービアの
おでこに触れるか触れないかの
軽いキスを落としていた。

ちゅっ。