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4 外道の相手は適当に
しおりを挟む「待て。
アンネローゼ、いや…アンネローゼだったもの。私はアンネローゼの婚約者、マカイラ家子息だ。
ソナタは私の婚約者。婚約とは、家と家の繋がりだ。そう易々と婚約は切れるものではない。多少中身に変化があろうと逃れられると思うなよ!」
「えっ、なんで?
精霊王様が私とアンネローゼは異なる人間だと言ったのよ?義務はないと言い切ったのよ?なぜあなたとその義務とやらを果たさなきゃいけないの?
ラ・ヴァルス家の息女義務と私は無関係だわ。そのうえで果たす義理もないし。そんなにラ・ヴァルス家との繋がりが大事ならば、アンネローゼの異母妹とあなたが結婚すればいいじゃない。
妹ちゃんに教育を受けさせて、あなたが婿養子として入れば良い。そうでしょ?」
「いや、それは…」
「不可能ではないでしょう?
専門の教育を受けていない無関係な庶民を元公爵令嬢の代わりに婚約者の座へ据えるよりは難しくはないはずよ。」
これ行っちゃおうかな?社会的におおぴらにするにはかなりタブーだけど、念押しはしとかないと面倒臭い人ぽいし
「なにより運が良いのか悪いのか。
あなたとアンネローゼの異母妹の…えっと……そう!キャサリンは結婚を視野には入れていたのでしょう?
愛妾にするつもりだったのか第二夫人にするつもりだったのかは知りませんけど。
ねぇ、キャサリンちゃん、フィリップさん、お二人ともお幸せに。
私は会わなきゃいけない人がいるし、まだ精霊王様にも聞きたいことがあるので。」
「ちょっと待て」
閨のことを伝えたつもりなんだけど、遠回しだったから大丈夫よね。貴族だからか2人の表情には怒り以外の気持ちが見て取れない。
セーフ…じゃない!これ、周りの人達は扇で隠すなりしてるけど、若い子を中心に顔が赤いぞ。
悪かったなと思いながらも、もう関係ない人だと切り捨て彼らを無視して精霊王様に向き直る。
「精霊王様、ありがとうございます。心からの感謝を。彼に再び会えるなんて夢のよう…。」
「ついでにソナタを前世の姿に戻してあげよう。」
「えっえっ、それはちょっと…」
事故死だったし、窶れてたしあの姿は嫌だな。アンネローゼ美人さんだし
「こちらの世界では髪の毛や瞳の色が濃ければ濃いほど美しいとされている。体型も筋肉のついてない、背の低い人間が好ましいとされているんじゃ。ソナタの前世の姿こそがこの世界では絶世の美女とされている。クックック、怪我や健康状態は治すし、オマケに若返らせてもやろう。」
そういえば、前世でアーサーもそんなことを言っていたな。お世辞だと信じてなかったんだけど、
「ありがとう、精霊王様。私は愛しの彼に会いに行くわ。精霊王様にはもう会えないのかしら?」
「明日も大会はあるからな。会えるかと言えば会える。大会が終われば、汝が一生を終えるまでは会えぬよ。
代わりに、この御守りをあげよう。この宝珠の前に来てくれるだけでも良いのじゃが、この御守りに語りかけてくれれば、再び話すことができよう。」
顕現できないけど、通話は可能ってことか
「何から何までありがとうございます。それでは御前失礼します。」
「達者でな。
最後に二点助言を、一つ目は名前を未婚の者が名乗ってはいけない。ファーストネー厶に当たる名じゃ。家名のみか偽名を名乗るように。愛称でもよいぞ。名前は魂との繋がりが強く、名前が知られることで操られることもある。一生添い遂げる者にのみ告げるんじゃぞ。
二つ目は、この後初めに部屋の扉を開く者を頼れ。そやつが現状最も頼りに出来るものぞ。」
精霊王がにたり顔でそう伝えると、私の回りにだけ風が巻き起こった。
風が病むと同時に、再び周りがザワめく。
「なんと美しい」
「これほど美しいものを見たことがない」
「…女神様」
私はアンネローゼの容姿を気に入っていたのだが…、残念ながら馴染みの外見に変化してしまったようだ。アーサーに好かれるために、こっちの方が良いと精霊王様がいうのならそうなのであろう。名残惜しいけど
手を握ったり、体の状態をざっくりと確認してみる。
よしよし、魔力は循環してるし、筋力が前世の方に引っ張られている感じもしない。魔術大会で優勝するほどのアンネローゼ元来の能力をそのままにしてくれているようだ。
もしや若返っているのでは?
若返らしてくれるって精霊王様言ってたっけ、言っていたような無いような?
アンネローゼは享年16歳。16歳頃の私の体に。前世死んだときの年齢は19歳なので、気のせいかもしれないが、その場で何度かジャンプしてみる。
軽い…。アンネローゼの身体の軽やかさ凄まじい!
この世界のいいとこ取りってところね!
これなら彼の元へもすぐに行けそうだ。
……そういえば、助言の2つ目ってなんだっけ?
バン!!
「ローゼ!」
応援ありがとうございます!
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