キャンバスメモリアル

Daddy

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旅立ち

第1話 色見式

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「秘めたる色はありません…」
「はぁ⁉︎」

――

ここは自然の残る小さな島。フナバ島。
島民たちは漁業で生計を立て、のんびりと暮らしている。

「よし!今だっ!お前ら突撃ー!」
「やべぇ、シキたち突撃してきたぞ!迎え撃て!」

野原で戦争ごっこを楽しんでいる子どもたちだ。

「今日の戦争も、シキのおかげで勝ったな!」
「シキは、やっぱ強いなー。」
「そーだろ、そーだろ!俺様は強いのだ!」

子どもたちの中心にいるのはシキと呼ばれる少年。
青みがかった黒髪の、活発そうな男の子だ。

「明日の色見式、シキなら3色全部とか出たりしてな~」
「カッカッカ!そーだなブル。俺様だもんな!」

ブルと呼ばれる少年は、体が大きく優しそうな男の子だ。

「じゃあ、また明日ねー!シキー」
「おぅ!色見式でなー!ブル」

明日、5歳を迎えた子どもたちが行う、色見式と呼ばれる儀式が行われる。
この世界では、色によって扱える力が変わってくるのだ。
赤は炎、青は水、黄は電気――
それぞれの色にあった力を発現していくと言われている。

「帰ったぞ。じーちゃん、イロ!」
「おかえり」

シキは家に着くなり、準備されていた晩御飯を食べながら活躍話を自慢げに語った。

「シキなら、本当に3色出しちゃうかもね…」
「安心しろイロ。たとえ俺様が3色だそうが、お前を見捨てたりしねぇよ。」

イロと呼ばれる華奢で、白髪の少女は嬉しそうに頷いた。
シキとイロは仲が良かった。お互い両親がおらず、ゴルドー村長の家で育っていたからだ。
2人は色見式の話で盛り上がりながら、眠りについた――

「っしゃあ!今日からシキ伝説の始まりだぜ!」
「おはよう、シキ。伝説もいいけど色見式始まるから急ごう。」
「よしっ!行くぞイロ!」

――

「あ、シキ~!僕はもう色見式終わったよ。父ちゃんと同じ青だった~」
「おはよう!ブル。間に合って良かったぜ…」

息を切らしながら、シキとイロが現れた。
前には大きな、キャンバスが置かれている。
シキはキャンバスの前に立ち、手を触れた。

(今日、ここから始まるんだ…俺様の伝説が!)

大きな光がキャンバスから放たれた――
キャンパスは何色にも染まっていなかった。

「おい、壊れてるぞ、この…」
シキが言い終える前に、判断人が口を開いた。

「秘めたる色はありません…」
「はぁ⁉︎」

その場にいる人々は、笑いを堪えている。

「そんなわけないだろ?何かあるだろ?色?」
「ありません…」

シキは魂が抜けたように、フラフラと席へと戻った。

「シキ…大丈夫…?」

心配そうにイロが声をかけた。
シキは上を向いたまま、手を振りイロに言った。

「大丈夫…次はお前の番だぞ。行ってこい…」

イロは席を立ち、キャンバスの前へと歩いて行った。
そして、イロがキャンバスに手を触れた。

「おぉ!」
「そんなことが…」

人々の驚嘆する声が聞こえる。
放心していたシキは、その声を聞きキャンバスを見た。
キャンバスには3色の色が表れていた。

(イロが…3色?)

「シキッ…!」
と、イロが振り向くとそこにシキはいなかった。

「何だよ…色がないって…」
「イロは3色だってのに…」

シキは気持ちを整理しきれずに走り出し、気づいたら山の中にいた。
シキは大声をあげて泣いた――

「ただいま…」
「おかえり!シキッ…心配したんだよ!」
「大丈夫だから…」
「シキ、あのね…私」
「大丈夫だ!俺様は気にしない!」

シキの泣いたような笑顔を見て、イロは何も言えなくなった。

「今日は、もう寝る…」

シキは部屋へと戻り、涙を堪えながら眠りについた――
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