キャンバスメモリアル

Daddy

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旅立ち

第2話 ブトウカイ

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――10年後

「ぬぅうううっ、こいつはデカイぜ!」
「どぅおりゃあっ!」

網の中にいたのは10匹程の小魚たちだった。

「もう、諦めろよシキー」
「力だけじゃどうにもならないんだからさー」

青年たちは海を切り取り、魚たちを取り分けていく。
それを横目にシキは網を海へ投げ込んだ。

「俺には色がないから、こうするしかないだろ」
「それはそうだけど……無理すんなよー」

そう言って青年たちは、魚を大量に抱えて村へ戻っていった。
シキも網を引き上げ、村へと戻った。

「ただいまー」
「おかえり、シキ!」

家ではイロが待っていた。

「今日もあんまり魚は獲れなかったが、お前と2人分くらいにはなったぜ!」
「ありがとう、シキ。私は少し疲れちゃった。」

色見式の後、イロは島の希望となっていた。
3色それぞれの力を引き出せるよう、島をあげてイロの教育に力を入れてきた。
もともと、気弱なイロには大変なことだったが、
島民の期待に応えるように、イロは努力を続けていた。

「もうすぐ、3色とも仕事になるくらいには力がついてきたんだー。」
「すごいじゃないか!俺らももうすぐ成人だし、イロならいい職に就けるだろうな。」
「うん――でも、私は今みたいにのんびりと暮らしていきたいなぁ。」

2人の会話はこの手の話題が多い。
直接は話さないが、それぞれに違う道に進んでいくことを2人は感じていた。

「ところで、じーちゃんは?」
「さっきご飯を食べて、ゆっくりしているところ。」

2人を育ててくれているゴルドーも、65を過ぎ徐々に気力を失ってきていた。

「じーちゃん、やっぱり元気ないな。」
「うん…」
「明日の武闘会さ、俺が優勝するし…そしたら少しは笑ってくれるよな」
「そうだね!シキなら優勝間違いないし、私も舞踏会頑張ってみる!」
「2人で優勝して、笑顔にさせてやろうな!」

2人は意気込みながら、眠りについた――

――翌日

「優勝はシキ!」

武闘会会場でアナウンスが響いた。

「っしゃあ!さすが俺様だぜ!」
「優勝おめでとうシキ。さすがに武闘じゃあ負けるなぁ」
「まぁな。」
「それで、色ありだったらな。もう勝ち目ないわ。」
「……」

武闘会は色を使わず、純粋な肉体と技術での大会である。
10年、色に頼らず自身を鍛えてきたシキにとっては、唯一対等に語り合えるものだった。

「色があっても――負けるつもりはない。」
「あ…あぁ、もちろんシキは強いさ――」

優勝したシキは、すぐに舞踏会会場へ向かった。

「華麗な舞を見せてくれました――
 誰が優勝しても、おかしくありません。」

アナウンスが流れていた。
演技は見れなかったが、シキは間に合った。

「やっぱり、イロさんが素敵だったわ」
「アナウンスはああ言っているが、イロさんだろうな」

会場の人々が、口々にイロのことを話していた。

「優勝は……イロ!」

会場で大きな拍手が巻き起こった。
照れた顔をしたイロが壇上に上がり、表彰をうけると
拍手はより、大きくなっていった。

シキは表彰を見終えると、静かにその場を立ち去った。

「ただいま~」
「おかえり、イロ」

2人は優勝したことを報告しあった。

「おめでとう!シキ!流石だわ。」
「イロも流石だったな。みんな"素敵だ"って言ってたぞ。
 ――ほら、じーちゃんに報告しよう。」

2人は、ゴルドーに身振り手振りを交えて話をした。
ゴルドーは優しい笑顔で頷いていた。

成人の日は目前に迫っていた――
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