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一章 出会いと約束
最後の日餐
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「誠哉くん、私、ここ行ってるね。」
彼女はそう手元の地図を指さして、そのまま部屋を出ていった。僕は、息抜きがてら更新されていないYouTubeを見る。動画を再生し始めた後、僕の返信に反応がないか、調べてみる。と、初めに返信をくれたグループから、返信が来ていた。
「今回、Sei(ハンドルネーム)様との連絡係をさせていただく、荒川 卓真と申します。手始めに、個人間の連絡のため、DMを用いて、通信したいと思います。この返信に反応があり次第、DMにて、詳細をお送りします。」
やけに丁寧な文章だった。少し怪しい気もしたが、この際生きていればいい話なので、僕はその返信にハートマークを付け、アカウントとのチャットルームを開き、
「はじめまして。和泉 誠哉と申します。これから、よろしくお願い致します。」
そう送信した。
相手の反応が来るのにはそれほど時間はかからなかった。
「こちらこそよろしくお願い致します。ところで、そちらの人数は何人居られるのでしょうか」
「こちらは男女一名ずつです」
「わかりました、こちらで合流の準備をしておきます」
「ありがとうございます。明日、雨が落ち着き次第、出発します。」
一通り連絡を取りあった後、最後にそう一言送信して、僕はスマホ電源を完全に落とした。
「暇だな...」
そう小さく呟いた僕は、重い体を動かして、瑞稀の所へ向かった。
瑞稀の元へ行った時、彼女はマッサージチェアに癒されていた。「ふあぁ...」と、気持ちよさそうな声を出して。
「瑞稀?そういや、お腹すいてないのか?」
癒されていた時にいきなり声をかけられて、彼女は大きく体をふるわせた。
「そういえば、そうかも。」
「あっちに色々とあったぞ」
そう僕は「Foods&Drinks」と書かれたプレートを指さす。
「僕はあそこにあるもの適当に取って食べるが、瑞稀はどうする?後で食べるか?」
僕の質問に小首を傾げ悩んだ後、
「私も行く!」
と、マッサージチェアの電源(?)を消し、先に歩き出した僕に着いてきた。時計を見てみると、いつの間にやら12時をこえていた
「というか、付いてきたのはいいけど、どうするの?これ」
「あっれえ...Foodってあったからな...」
とんだ誤算だった。あったのは色々な種類のカップラーメンたちと、ろくにお湯の入っていない急湯機しか無かった。
「うーん...どうするか...あ、瑞稀って火、扱える?」
僕は考え込んだ後、瑞稀に聞いた。
「いや...使えるけど...」
「よし、じゃあ厨房を拝借しよう。」
「えぇ!?」
彼女の返答にすかさず提案を入れると、彼女はかなり驚いた顔をした。
「いや...厨房って...」
「何かあるかもじゃん。最悪、そこのカップ麺食べればいいし。」
「それもそうね...」
彼女はいまいち納得してはいなさそうだが、理解はしてくれた。先に僕が見つけていた厨房への入口を通って、厨房へ入った。
入ったと同時に、嫌なガスの匂いが鼻腔を突いた。思わず僕は顔をしかめた。
瑞稀は、スタスタと奥に行き、鍋を持って、水を汲んで火をかけようとしていた。「まずい」そう思った時にはもう、遅かった。
「瑞稀!そこから離れろ!早く!」
僕は思い切りそう叫び、瑞稀の元へと走っていく。
それと同時に、ガスコンロから火の手が上がるのを見た。
「息止めて!姿勢低くして!」
瑞稀の手を取った僕はそう瑞稀に一言言い、瑞稀の手を掴んだまま、厨房から出た。幸いにも厨房の近くに消化器があり、厨房の中もスプリンクラーが勝手に作動してくれていた。
「瑞稀!」
そう、軽く怒鳴りつけるように言うと、瑞稀はビクリと身体を跳ねさせ、少し涙目になっていた。「どうして勝手に動いた」と言いたかったが、まず、彼女もそんなこと起こるだろうと思っていないから、やめておいた。その代わりに、
「大丈夫か?怪我とか、火傷とかしてないよね?」
そう、聞いた。彼女は軽く頷いた後、
「怒らないの?」
そう聞いてきた。
「怒るわけないじゃん。こんなこと、この世界じゃあザラにあることだからね。」
そう言って、彼女に笑顔を向けた。
「ところで、昼飯どうしよっかな...」
思わずそう呟いてしまう。
「何でこういう時もご飯の話...」
瑞稀が少し呆れたように笑った。
「ごめんね。いや、お腹すいてたからさ」
あははと照れ隠しに笑う。それにつられてか、瑞稀も笑い出した。
今は13時前。ここにいるのはもう危険そうだ。
彼女はそう手元の地図を指さして、そのまま部屋を出ていった。僕は、息抜きがてら更新されていないYouTubeを見る。動画を再生し始めた後、僕の返信に反応がないか、調べてみる。と、初めに返信をくれたグループから、返信が来ていた。
「今回、Sei(ハンドルネーム)様との連絡係をさせていただく、荒川 卓真と申します。手始めに、個人間の連絡のため、DMを用いて、通信したいと思います。この返信に反応があり次第、DMにて、詳細をお送りします。」
やけに丁寧な文章だった。少し怪しい気もしたが、この際生きていればいい話なので、僕はその返信にハートマークを付け、アカウントとのチャットルームを開き、
「はじめまして。和泉 誠哉と申します。これから、よろしくお願い致します。」
そう送信した。
相手の反応が来るのにはそれほど時間はかからなかった。
「こちらこそよろしくお願い致します。ところで、そちらの人数は何人居られるのでしょうか」
「こちらは男女一名ずつです」
「わかりました、こちらで合流の準備をしておきます」
「ありがとうございます。明日、雨が落ち着き次第、出発します。」
一通り連絡を取りあった後、最後にそう一言送信して、僕はスマホ電源を完全に落とした。
「暇だな...」
そう小さく呟いた僕は、重い体を動かして、瑞稀の所へ向かった。
瑞稀の元へ行った時、彼女はマッサージチェアに癒されていた。「ふあぁ...」と、気持ちよさそうな声を出して。
「瑞稀?そういや、お腹すいてないのか?」
癒されていた時にいきなり声をかけられて、彼女は大きく体をふるわせた。
「そういえば、そうかも。」
「あっちに色々とあったぞ」
そう僕は「Foods&Drinks」と書かれたプレートを指さす。
「僕はあそこにあるもの適当に取って食べるが、瑞稀はどうする?後で食べるか?」
僕の質問に小首を傾げ悩んだ後、
「私も行く!」
と、マッサージチェアの電源(?)を消し、先に歩き出した僕に着いてきた。時計を見てみると、いつの間にやら12時をこえていた
「というか、付いてきたのはいいけど、どうするの?これ」
「あっれえ...Foodってあったからな...」
とんだ誤算だった。あったのは色々な種類のカップラーメンたちと、ろくにお湯の入っていない急湯機しか無かった。
「うーん...どうするか...あ、瑞稀って火、扱える?」
僕は考え込んだ後、瑞稀に聞いた。
「いや...使えるけど...」
「よし、じゃあ厨房を拝借しよう。」
「えぇ!?」
彼女の返答にすかさず提案を入れると、彼女はかなり驚いた顔をした。
「いや...厨房って...」
「何かあるかもじゃん。最悪、そこのカップ麺食べればいいし。」
「それもそうね...」
彼女はいまいち納得してはいなさそうだが、理解はしてくれた。先に僕が見つけていた厨房への入口を通って、厨房へ入った。
入ったと同時に、嫌なガスの匂いが鼻腔を突いた。思わず僕は顔をしかめた。
瑞稀は、スタスタと奥に行き、鍋を持って、水を汲んで火をかけようとしていた。「まずい」そう思った時にはもう、遅かった。
「瑞稀!そこから離れろ!早く!」
僕は思い切りそう叫び、瑞稀の元へと走っていく。
それと同時に、ガスコンロから火の手が上がるのを見た。
「息止めて!姿勢低くして!」
瑞稀の手を取った僕はそう瑞稀に一言言い、瑞稀の手を掴んだまま、厨房から出た。幸いにも厨房の近くに消化器があり、厨房の中もスプリンクラーが勝手に作動してくれていた。
「瑞稀!」
そう、軽く怒鳴りつけるように言うと、瑞稀はビクリと身体を跳ねさせ、少し涙目になっていた。「どうして勝手に動いた」と言いたかったが、まず、彼女もそんなこと起こるだろうと思っていないから、やめておいた。その代わりに、
「大丈夫か?怪我とか、火傷とかしてないよね?」
そう、聞いた。彼女は軽く頷いた後、
「怒らないの?」
そう聞いてきた。
「怒るわけないじゃん。こんなこと、この世界じゃあザラにあることだからね。」
そう言って、彼女に笑顔を向けた。
「ところで、昼飯どうしよっかな...」
思わずそう呟いてしまう。
「何でこういう時もご飯の話...」
瑞稀が少し呆れたように笑った。
「ごめんね。いや、お腹すいてたからさ」
あははと照れ隠しに笑う。それにつられてか、瑞稀も笑い出した。
今は13時前。ここにいるのはもう危険そうだ。
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