Paradox world

二章 To friends

To the friend

　駅舎に入った僕らは、彼らに指定された場所に向かった。改札を跨ぎ、構内を見渡す。と、こちらに向かって手を振っている男女のグループが見えた。

「こっち～!」

と、僕らに呼びかける。「なにかされるかもしれない」という一抹の不安を持ちながらも、僕らは彼らのところに向かった。


「ようこそ!」

僕らが彼らの元へ行くと、その中の一人のおそらく僕と同じくらいであろう年齢の少女が話しかけてきた。

「おう。よろしく。」

僕がそう返事をすると、その彼女が唐突に

「誠哉?誠哉だよね!」

そう大声で僕に聞いてきた。もちろん、僕に面識はない。はずだったのだが、顔を見た途端、何かが蘇るような、そんな感覚がして、思い出した。

「紗彩さあや...なのか?」

僕がそう困惑していると、彼女は目じりに涙を貯めて、

「あいたかった」

と、僕に抱きついてきた。それを見ている瑞稀は驚いた顔をしていた。そして、

「さーや?やっぱり紗彩だよね?」

そう震えた声で、問いかけた。そこで、僕の記憶が繋がった。

新田 紗彩にった さあや。そう。僕らの親友"だった"人。中学の時からの付き合いだったが、高校に入ってから疎遠になった。そんな関係。

そう3人で再会を喜びあっている時、後ろから一人の男に声をかけられた。

「君が、Sei君だね。よろしく。連絡をとっていた荒川だ。」

優しそうな、爽やかな顔立ちの男性がそういう。

「Sei 改め、和泉 誠哉いずみ せいやです。こちらこそよろしくお願いします。」

僕が簡潔に自己紹介をすると、荒川さんは奥の方から2人の男女を呼んできた。

「とりあえず、自己紹介してくれ。」

そう2人に言った彼は、未だに抱き合っている瑞稀と紗彩を連れてきた。そして荒川さんは、「それじゃあ」と口を開いた。

「僕は荒川 拓真あらかわ たくま23歳の学生でした。」

「でした...?」と、最後の過去形に疑問を抱きながらも、別の人の自己紹介に耳を傾ける

「俺は君津 冬樹きみつ ふゆき30歳、警官だった。」

「私は桑名 明日香くわな あすか」

紗彩以外の自己紹介が終わった後、僕がいちばん疑問に思っていることを聞いた。

「なんで職業に「だった」をつけるんですか?」

と、すると、

「後で教える」

と一言だけ、返された。そして、再会を未だに喜び合う彼女らを後目に、ぼくは

「僕が和泉 誠哉いずみ せいや、彼女が奥川 瑞稀おくがわ みずきです。」

と、一言だけ自己紹介をした。

そして、一通りの作業が済むと、鰆さん一行が到着した。その後、冬樹さんに呼ばれ、集められた僕らは衝撃の言葉をきかされる