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四章 この世界の正体
この世界の真の事実
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「はっきり言って、よくわからないです。」
僕がそう述べると、周りの皆が頷いた。
「わかった。説明しよう。」
冬樹さんは小冊子のページを指定し、話し始めた。
「まず、この現象についてだ。この現象は8月14日の14時丁度にブラックホールの影響で地球にものすごく巨大なエネルギーが働き、結果、時間跳躍が起こるらしい。」
「時間跳躍とは?」
鰆さんが問いかける。
「字面の通り、時間が飛ぶ。14時丁度からコンマ何秒間飛ぶということ」
「そんなことが有り得るのか?」
「あり得ると書いている。」
「色々と不思議なものだな」
「ここからは自分の解釈だが...」
そう言いながら冬樹さんは近くにあったビニル紐とハサミ、セロハンテープを用意し、1本の紐を印を附けピンと伸ばして持った。
「何も起きなければ、時間の流れはこの紐の上を通っていく。が、ここでPXが起こったらどうなるか」
彼は紐の最初の印を指で摘み、「ここから先の時間は最終的に消失する。」
「言っている意味がわからん。」鰆さんが頭を振る。
「この時点では、時間は普通に流れる。そしてここで14時0分になる。」
冬樹さんは2個目の印のことろで指を止め、ハサミを使い、そこで切断する。切られた紐が下に落ちた。
「この瞬間、それまでの時間は消滅する。」
彼は最初の印の所にハサミを入れる。数センチの紐が落ちた。そして初めに落ちた紐を拾い上げ、手元に残った紐とセロハンテープで結合した。
「コンマ何秒の時間跳躍とはこういうことだ。その間の時間がすっぽり消え去っているようだ。物質的なものも、精神的なものも全てコンマ数秒前に戻された。秒を刻もうと動きだした時計はまた時を刻もうと動き出す。光も電磁波も、何もかもがコンマ数秒前に戻る。実質、何も起こっていないのと同等ということだ」
「嘘だろ...?何も起きていないって...起きてるじゃないか!周りの人間が全て消え去っている!」
「みんな、最後のページを見てくれ」
彼が少し口篭りながら指示する。小冊子の最後には
「最大の問題は、PXが発現した時に存在していたものが現象後に存在しているとは限らない点である。存在しないものは時間跳躍の対象にならないため、コンマ数秒前と数学的に一致しない。その場合は数学的矛盾を回避するための、何かしらの現象が起きると考えられる。ただし素粒子レベルで起きるパラドックスの影響は殆ど無視できる。素粒子は数学的連続性の中で存在しているからである。最も警戒すべきは、数学的連続性を持たないものが、コンマ数秒間に消失した場合である。ドイツのハンヌアイゼン博士が、そうしたものの例として、動物の知性を挙げている。」
一通り読み上げた冬樹さんは頭を抱えており、僕も「動物の知性」という単語に強く動揺させられていた。
「まさか...この世界に飛ばされるものはその間に知性が無くなったもの、すなわち死んだ存在だってこと...?」
僕が動揺のあまりに声を漏らすとそれに彼は
「そうだ。俺らは死んだ存在なんだ。元の世界では。」
ひとつの光景が僕の脳裏に蘇った。
彼女と一緒に飛び降りた瞬間。
そうだあの時...
僕と瑞稀は死んだのだと思い出した。
「ははっ...嘘...だろ...?」
空気清浄機のうぉんうぉんという音が地階会議室に響く。この空気はただひたすらに、重苦しかった。
「とりあえず、今日のところは1回休もう。ここには客室が数個ある。全員が寝泊まりできる分にはあるだろう。」
全員が小冊子を持って地階から地上階へ出て、冬樹さんに案内されるがまま、客室階へ案内された。
「じゃあ、全員一度落ち着こう。続きは明日話す。」
そう彼が言った後、各々適当に客室に荷物を持って入って行った。
そして、夜になった。
僕がそう述べると、周りの皆が頷いた。
「わかった。説明しよう。」
冬樹さんは小冊子のページを指定し、話し始めた。
「まず、この現象についてだ。この現象は8月14日の14時丁度にブラックホールの影響で地球にものすごく巨大なエネルギーが働き、結果、時間跳躍が起こるらしい。」
「時間跳躍とは?」
鰆さんが問いかける。
「字面の通り、時間が飛ぶ。14時丁度からコンマ何秒間飛ぶということ」
「そんなことが有り得るのか?」
「あり得ると書いている。」
「色々と不思議なものだな」
「ここからは自分の解釈だが...」
そう言いながら冬樹さんは近くにあったビニル紐とハサミ、セロハンテープを用意し、1本の紐を印を附けピンと伸ばして持った。
「何も起きなければ、時間の流れはこの紐の上を通っていく。が、ここでPXが起こったらどうなるか」
彼は紐の最初の印を指で摘み、「ここから先の時間は最終的に消失する。」
「言っている意味がわからん。」鰆さんが頭を振る。
「この時点では、時間は普通に流れる。そしてここで14時0分になる。」
冬樹さんは2個目の印のことろで指を止め、ハサミを使い、そこで切断する。切られた紐が下に落ちた。
「この瞬間、それまでの時間は消滅する。」
彼は最初の印の所にハサミを入れる。数センチの紐が落ちた。そして初めに落ちた紐を拾い上げ、手元に残った紐とセロハンテープで結合した。
「コンマ何秒の時間跳躍とはこういうことだ。その間の時間がすっぽり消え去っているようだ。物質的なものも、精神的なものも全てコンマ数秒前に戻された。秒を刻もうと動きだした時計はまた時を刻もうと動き出す。光も電磁波も、何もかもがコンマ数秒前に戻る。実質、何も起こっていないのと同等ということだ」
「嘘だろ...?何も起きていないって...起きてるじゃないか!周りの人間が全て消え去っている!」
「みんな、最後のページを見てくれ」
彼が少し口篭りながら指示する。小冊子の最後には
「最大の問題は、PXが発現した時に存在していたものが現象後に存在しているとは限らない点である。存在しないものは時間跳躍の対象にならないため、コンマ数秒前と数学的に一致しない。その場合は数学的矛盾を回避するための、何かしらの現象が起きると考えられる。ただし素粒子レベルで起きるパラドックスの影響は殆ど無視できる。素粒子は数学的連続性の中で存在しているからである。最も警戒すべきは、数学的連続性を持たないものが、コンマ数秒間に消失した場合である。ドイツのハンヌアイゼン博士が、そうしたものの例として、動物の知性を挙げている。」
一通り読み上げた冬樹さんは頭を抱えており、僕も「動物の知性」という単語に強く動揺させられていた。
「まさか...この世界に飛ばされるものはその間に知性が無くなったもの、すなわち死んだ存在だってこと...?」
僕が動揺のあまりに声を漏らすとそれに彼は
「そうだ。俺らは死んだ存在なんだ。元の世界では。」
ひとつの光景が僕の脳裏に蘇った。
彼女と一緒に飛び降りた瞬間。
そうだあの時...
僕と瑞稀は死んだのだと思い出した。
「ははっ...嘘...だろ...?」
空気清浄機のうぉんうぉんという音が地階会議室に響く。この空気はただひたすらに、重苦しかった。
「とりあえず、今日のところは1回休もう。ここには客室が数個ある。全員が寝泊まりできる分にはあるだろう。」
全員が小冊子を持って地階から地上階へ出て、冬樹さんに案内されるがまま、客室階へ案内された。
「じゃあ、全員一度落ち着こう。続きは明日話す。」
そう彼が言った後、各々適当に客室に荷物を持って入って行った。
そして、夜になった。
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