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四章 この世界の正体
二人の夜
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皆が寝静まろうとしたとき、ある一室から「きゃああ」と悲鳴が聞こえる。それに目を覚まされた僕らはいかがなことかと悲鳴の元へ向かう。思い切りドアを開け放つと、そこにはパンツ一丁で瑞稀の上に覆い被さろうとする鰆さんと、必死に抵抗する瑞稀がいた。
「おい!何してんだ!」
咄嗟に声を上げる。それに驚いた鰆さんは一度こっちを見ると、「もうダメだ」というように手を上に挙げて瑞稀を解放した後、ベッドの上に正座して項垂れた。
「鰆さん、あんた何やってるんですかね?」
彼の元に近づく。そして彼はというと、俯いたまま何も答えない。
「なんとか言ったらどうなんだ!?」
僕の彼女に手を出されそうになった事と、何も答えずにただ俯くだけの鰆さんに僕の怒りは積もりに積もり、思わず彼の顎を持ち上げ睨みつけた。彼は不貞腐れたように嘲笑し、
「いいじゃないかこれくらい。大したことでもないじゃないか」
念仏を唱えるように、ぼそぼそと言った。
「あんた、瑞稀に何をしようとしたんだ?見た目でだいたい察しがつくが 。」
鰆さんがようやく自分の力で顔を上げ、僕の方を向く。その目は死んでいて、精気の欠片も感じられない。
「いけないか?もうこの先、生きてたって意味が無いんだ。だったら、セックスぐらいしたって構わないだろ?しかも、彼女は自殺したんだろ?自分の体は、どうなってもいいんだろ?だったら、いいじゃないか。どうして逃げる必要がある?おかしいじゃないか」
「おかしいのはてめえの方だよ!」
思わずその言葉が口から漏れる。そして、次々と僕の本心が彼に訴えかける
「どんな時だって、そういう行為はお互いの同意がなきゃダメだと言うのは法律以前の問題だろ。頭おかしいんじゃねえか?」
僕が怒りに任せてぶちまけた言霊を聞いて、鰆はくすくすと笑った。
「おたくらはいいよな。なんせ、相手がいるんだから」
「相手?どういう事だよ」
僕は聞く。
「とぼけなくても良いじゃないか。わかってるんだから。誠哉くんと瑞稀ちゃんは付き合ってんでしょ。いつも一緒にいるもんな。どうせ、もう何回もしてるんだろ。いいよなJKとやりまくり。それじゃあ、どういう状況でも落ち込まないな」
唐突な言いがかりに思わず瑞稀と目を合わせる。彼女はすぐに目を逸らした。
「なっ...何言ってるの!?私たちは何もないよ!」
「ああ。変な言いがかりをかけないでくれ」
僕も口を尖らせる。
鰆はゆっくりと2人の顔を見比べた。
「まだなのか。でも、どうせする気だろ。羨ましいね」
「何勝手に想像して、勝手に妬んでんだ。今はそういう状況じゃないんだ。自分が何をしたかわかってるのか?」
「もちろん理解してるさ。したいことをしようとした迄だ。」
ばたばたと足音が近づいてきた。やがて、冬樹さんが部屋に入ってくる。
「なんの騒ぎだ?寝たくても煩くて眠れない。」
「こいつ、瑞稀のことレイプしようとしたんだ。」
彼の顔が引つるのを僕は確認した。職業柄、こういうのが多いのだろう。これは相当怒っている。そう感じた。
「お前!やったことがわかってるのか!?話は明日つける!今夜は大人しく反省でもしてろ!」
そう怒鳴りつけた冬樹さんは、見あたる限りの瑞稀の荷物を手に取り、廊下にいる彼女に渡す。
「別の部屋で寝なさい。こんな奴が半裸でいたベッドでなんか眠りたくないだろ?誠哉くんの所にでも...」
「ちょっと...意地悪はやめてください!」
彼女に少し笑顔が戻った。
鰆一人が残された部屋のドアを閉める前に冬樹さんは、「明日どうなるか楽しみにしておけよ」と言い残し、自室に戻って行った。紗彩も自室に戻って行った。
残された僕ら二人に変な空気が流れる。
「僕の部屋...来る?」
「...うん」
僕は彼女を連れて、部屋へと戻る。瑞稀と至近距離で寝るなんていつぶりだろうかと、そんなことを考えていた。
「おい!何してんだ!」
咄嗟に声を上げる。それに驚いた鰆さんは一度こっちを見ると、「もうダメだ」というように手を上に挙げて瑞稀を解放した後、ベッドの上に正座して項垂れた。
「鰆さん、あんた何やってるんですかね?」
彼の元に近づく。そして彼はというと、俯いたまま何も答えない。
「なんとか言ったらどうなんだ!?」
僕の彼女に手を出されそうになった事と、何も答えずにただ俯くだけの鰆さんに僕の怒りは積もりに積もり、思わず彼の顎を持ち上げ睨みつけた。彼は不貞腐れたように嘲笑し、
「いいじゃないかこれくらい。大したことでもないじゃないか」
念仏を唱えるように、ぼそぼそと言った。
「あんた、瑞稀に何をしようとしたんだ?見た目でだいたい察しがつくが 。」
鰆さんがようやく自分の力で顔を上げ、僕の方を向く。その目は死んでいて、精気の欠片も感じられない。
「いけないか?もうこの先、生きてたって意味が無いんだ。だったら、セックスぐらいしたって構わないだろ?しかも、彼女は自殺したんだろ?自分の体は、どうなってもいいんだろ?だったら、いいじゃないか。どうして逃げる必要がある?おかしいじゃないか」
「おかしいのはてめえの方だよ!」
思わずその言葉が口から漏れる。そして、次々と僕の本心が彼に訴えかける
「どんな時だって、そういう行為はお互いの同意がなきゃダメだと言うのは法律以前の問題だろ。頭おかしいんじゃねえか?」
僕が怒りに任せてぶちまけた言霊を聞いて、鰆はくすくすと笑った。
「おたくらはいいよな。なんせ、相手がいるんだから」
「相手?どういう事だよ」
僕は聞く。
「とぼけなくても良いじゃないか。わかってるんだから。誠哉くんと瑞稀ちゃんは付き合ってんでしょ。いつも一緒にいるもんな。どうせ、もう何回もしてるんだろ。いいよなJKとやりまくり。それじゃあ、どういう状況でも落ち込まないな」
唐突な言いがかりに思わず瑞稀と目を合わせる。彼女はすぐに目を逸らした。
「なっ...何言ってるの!?私たちは何もないよ!」
「ああ。変な言いがかりをかけないでくれ」
僕も口を尖らせる。
鰆はゆっくりと2人の顔を見比べた。
「まだなのか。でも、どうせする気だろ。羨ましいね」
「何勝手に想像して、勝手に妬んでんだ。今はそういう状況じゃないんだ。自分が何をしたかわかってるのか?」
「もちろん理解してるさ。したいことをしようとした迄だ。」
ばたばたと足音が近づいてきた。やがて、冬樹さんが部屋に入ってくる。
「なんの騒ぎだ?寝たくても煩くて眠れない。」
「こいつ、瑞稀のことレイプしようとしたんだ。」
彼の顔が引つるのを僕は確認した。職業柄、こういうのが多いのだろう。これは相当怒っている。そう感じた。
「お前!やったことがわかってるのか!?話は明日つける!今夜は大人しく反省でもしてろ!」
そう怒鳴りつけた冬樹さんは、見あたる限りの瑞稀の荷物を手に取り、廊下にいる彼女に渡す。
「別の部屋で寝なさい。こんな奴が半裸でいたベッドでなんか眠りたくないだろ?誠哉くんの所にでも...」
「ちょっと...意地悪はやめてください!」
彼女に少し笑顔が戻った。
鰆一人が残された部屋のドアを閉める前に冬樹さんは、「明日どうなるか楽しみにしておけよ」と言い残し、自室に戻って行った。紗彩も自室に戻って行った。
残された僕ら二人に変な空気が流れる。
「僕の部屋...来る?」
「...うん」
僕は彼女を連れて、部屋へと戻る。瑞稀と至近距離で寝るなんていつぶりだろうかと、そんなことを考えていた。
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