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「続きを話しますね。感情を露わにしたり、熱を出してしまったり、人に迷惑をかけてしまいました。」
声が震える。視界が滲んでぼやけている。ただ言葉を紡いでいるだけなのに、どうしてだろう。
「今までこんなことなかったのに、まるで感情が蘇ったかのようで・・・なんというかその、怖いみたいです。」
ああ、僕は怖かったんだ。この未知の感覚がどう転ぶのか、予測がつかなくて不安なんだ。
「そうか。」
神様はそれだけおっしゃった。どこか安堵するような声色に聞こえたのは気のせいだろうか。
「で、でも今日は過去には話したこともなかった人と話せて、仲良くできそうで嬉しいかったです。」
そういえばと思い出して、恐る恐る神様に質問した。
「僕は回帰した身ですが、過去と違った行動をとるのは未来を変えてしまうことに繋がりますか?」
長く沈黙が続いた後、耳に脳に残る声が響いた。
「未来は変わるものだ。人間が懸念することではない。お前の好きに生きるがいい。・・・・後悔のないようにな。」
最後の言葉が小さくて聞こえなかったが、脳がジーンとして味わったことのない感覚が僕を襲った。脳から徐々に麻酔が伝わっていくようで不思議と嫌ではなかった。
視界が暗転した。どこか満足そうな神様が見えた気がした。
「んぅ~・・・」
暑い。額に手を伸ばすと、リオの置き土産がぬるくなっていた。毛布をはぐると、幾分か涼しくなった気がする。上半身を起こしてベッドに座るような体勢をとった。壁に身体を預けて、まだ眠気が収まらないレイはなんとか現実に戻ろうと、起きようとしていた。
しかし、すぐにレイは抗いがたい心地よさにまどろみ、身を任せた。
美味しそうな匂いがする。レイが目を開くと、テーブルの上に夕食があった。
キョロっと部屋を見渡すが、リオの姿はない。テーブルへ近づくが、鍵を置いていった様子もない。特に書置きもないし、食べていいのだろうか。
一人分ではなさそうなのだが。逡巡していると、コンコンッと扉をノックされた。不思議に思って返事をして開ける。
「はーい」
ガチャッ。
「レイ、具合はどうだ?大丈夫か?」
心配そうなヒュドが顔を覗き込んできた。
「ヒュドか。大分よくなったみたい。少しお腹も空いたから、ご飯でも食べようかなって思っていたところ。」
「そうか。」
ヒュドは考えるような素振りをした後、僕の後ろをチラリと見た。
「ご飯は、自分で取りに行ったのか?」
心配そうに尋ねられた。僕は慌てて違うよ、と言った。
「違うよ!えっと、先輩が取りに行ってくれて・・・。」
そこでハッと気づく。
先輩にパシリみたいな真似をさせてしまったんじゃないのか僕は。なんてことをしてしまったんだ。先輩をこき使ってしまうなんて、最低だ。
脳内で加速する思考がリオの明るい声で止められた。
「レイくん、大丈夫~?ごめんね、ちょっと用事があって一瞬出てたんだけど・・・。レイくんの友達?」
リオはチラッとヒュドに視線を向けたが、すぐに僕へと視線を移した。
「あっ、先輩!夕飯ありがとうございます。」
リオににこっと微笑むと、少し照れたようなはにかんだ笑みで返された。
それに僕も顔が熱くなっていくのを感じた。多分、熱のせいではないだろう。
なんとなくそわそわとした気分になっていると、隣から硬い声が聞こえた。
「俺はレイの友人だけど。あんたはなんなの?」
そんな言い方しなくても、と思いリオを心配して見ると笑みを保ったままおだやかに返事をしていた。
「んー?レイくんのことが心配で看病してた先輩だよ。これからレイくんは夕飯を食べるから、そろそろ帰ってもらえる?レイくんの友人くん?」
ヒュドはギロッとリオを睨むと僕に向き直って告げた。
「あいつに変なことされたら、俺の部屋に来い。」
ヒュドってこんな感じだったっけ?もっとクールな感じだった記憶があるんだけど。
僕が戸惑っていると、後ろからリオの明るい声が届いた。
「そんなことしないよ。」
ヒュドはふんっと鼻を鳴らして自室へと帰っていった。
残るは僕とリオのみになった。
声が震える。視界が滲んでぼやけている。ただ言葉を紡いでいるだけなのに、どうしてだろう。
「今までこんなことなかったのに、まるで感情が蘇ったかのようで・・・なんというかその、怖いみたいです。」
ああ、僕は怖かったんだ。この未知の感覚がどう転ぶのか、予測がつかなくて不安なんだ。
「そうか。」
神様はそれだけおっしゃった。どこか安堵するような声色に聞こえたのは気のせいだろうか。
「で、でも今日は過去には話したこともなかった人と話せて、仲良くできそうで嬉しいかったです。」
そういえばと思い出して、恐る恐る神様に質問した。
「僕は回帰した身ですが、過去と違った行動をとるのは未来を変えてしまうことに繋がりますか?」
長く沈黙が続いた後、耳に脳に残る声が響いた。
「未来は変わるものだ。人間が懸念することではない。お前の好きに生きるがいい。・・・・後悔のないようにな。」
最後の言葉が小さくて聞こえなかったが、脳がジーンとして味わったことのない感覚が僕を襲った。脳から徐々に麻酔が伝わっていくようで不思議と嫌ではなかった。
視界が暗転した。どこか満足そうな神様が見えた気がした。
「んぅ~・・・」
暑い。額に手を伸ばすと、リオの置き土産がぬるくなっていた。毛布をはぐると、幾分か涼しくなった気がする。上半身を起こしてベッドに座るような体勢をとった。壁に身体を預けて、まだ眠気が収まらないレイはなんとか現実に戻ろうと、起きようとしていた。
しかし、すぐにレイは抗いがたい心地よさにまどろみ、身を任せた。
美味しそうな匂いがする。レイが目を開くと、テーブルの上に夕食があった。
キョロっと部屋を見渡すが、リオの姿はない。テーブルへ近づくが、鍵を置いていった様子もない。特に書置きもないし、食べていいのだろうか。
一人分ではなさそうなのだが。逡巡していると、コンコンッと扉をノックされた。不思議に思って返事をして開ける。
「はーい」
ガチャッ。
「レイ、具合はどうだ?大丈夫か?」
心配そうなヒュドが顔を覗き込んできた。
「ヒュドか。大分よくなったみたい。少しお腹も空いたから、ご飯でも食べようかなって思っていたところ。」
「そうか。」
ヒュドは考えるような素振りをした後、僕の後ろをチラリと見た。
「ご飯は、自分で取りに行ったのか?」
心配そうに尋ねられた。僕は慌てて違うよ、と言った。
「違うよ!えっと、先輩が取りに行ってくれて・・・。」
そこでハッと気づく。
先輩にパシリみたいな真似をさせてしまったんじゃないのか僕は。なんてことをしてしまったんだ。先輩をこき使ってしまうなんて、最低だ。
脳内で加速する思考がリオの明るい声で止められた。
「レイくん、大丈夫~?ごめんね、ちょっと用事があって一瞬出てたんだけど・・・。レイくんの友達?」
リオはチラッとヒュドに視線を向けたが、すぐに僕へと視線を移した。
「あっ、先輩!夕飯ありがとうございます。」
リオににこっと微笑むと、少し照れたようなはにかんだ笑みで返された。
それに僕も顔が熱くなっていくのを感じた。多分、熱のせいではないだろう。
なんとなくそわそわとした気分になっていると、隣から硬い声が聞こえた。
「俺はレイの友人だけど。あんたはなんなの?」
そんな言い方しなくても、と思いリオを心配して見ると笑みを保ったままおだやかに返事をしていた。
「んー?レイくんのことが心配で看病してた先輩だよ。これからレイくんは夕飯を食べるから、そろそろ帰ってもらえる?レイくんの友人くん?」
ヒュドはギロッとリオを睨むと僕に向き直って告げた。
「あいつに変なことされたら、俺の部屋に来い。」
ヒュドってこんな感じだったっけ?もっとクールな感じだった記憶があるんだけど。
僕が戸惑っていると、後ろからリオの明るい声が届いた。
「そんなことしないよ。」
ヒュドはふんっと鼻を鳴らして自室へと帰っていった。
残るは僕とリオのみになった。
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