盗人アノニマスの物語

灰寂

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とある日のこと

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草木も眠り、しんと静まり返っている時間。ザッザッと何かを追いかけるように走る男たちがいた。

「おい、いたか。」
「いや、こっちにはいない。」
「くそっ、今日こそは捕まえられると思ったのに!」

四、五人の身なりのよい男たちが躍起になって探しているのは、とある盗人だ。しかし、真夜中の森の中は暗すぎて明かりがあっても、よく見えない。

「だめだ、今日はもう諦めよう。」

そうすごすごと引き返す連中を木の上から見つめる男が一人。
「騎士団の連中に捕まってたまるかよ。」
盗人アノニマスは呟く。

「それって、俺になら捕まってもいいってこと?」
どこに隠れていたのか、下に男がいた。冷たい視線で男を見る。

「違う。大体お前に捕まったらもっとタチが悪い。」
嫌悪を丸出しにして言ったはずだが、男は嬉しそうに笑う。

「俺に捕まったら、アニーはもう追われることもないよ。」
「そりゃそうだろうよ、王子様。」
「アセインって呼んでよ。」

呼べるわけがない。盗人がどうして王子様の名前を呼べるんだ。まったく。というか、僕のことをあだ名で呼ぶのをやめて欲しい。むっとした顔で下を見ていたら、急にぐらっとバランスを崩した。

あっと思ったときにはもう遅く、木から落ちていた。咄嗟に目を瞑り、痛みに耐えようとした。
だが、一向に痛みがこない。そろりと目を開けると、王子の不気味なくらい綺麗な笑顔が見えた。
そこで意識が途切れた。


 気が付くと、一番想像したくなかった場所にいた。ベッドの上。しかも手をベッドにつながれていた。最悪すぎる。
どうにか逃げれないかと、手を動かすが、ガチャガチャと金属音が虚しく響くだけ。ため息をつくと、扉から会いたくない人物が現れた。

「ため息をつくと、幸せが逃げてしまうらしいよ。」
この状況でよく言う。

「あんたのせいだから、ため息のせいじゃない。」
王子はにこりと微笑んだ。本当に最悪だ。
ずっと王子が僕のことを追いかけていたのは身をもって知っている。だが、こんな暴挙に出るとは思わなかった。
いつもなら、あの後逃がしてくれていた。どうやら王子への警戒心が薄くなった隙を突かれてしまったらしい。

「やられた。いつもの優しい王子様はどこへいったんだ。」
「逃がしていた甲斐があったよ。」
「・・・風魔法なんていつ覚えたんだ。」

バランスを崩して木から落ちるなんてほぼありえない。明らかに一瞬強い風が吹き、バランスを崩したのだ。魔法しか考えられない。
王子はふふっと笑うだけで、答えなかった。そして、ベッドに縛り付けられている僕の方へ近づいてきた。

「綺麗だね。」

ベッドに腰をかけ、僕の体をするりと撫でた。ぞわりとした感覚が走る。

「やっ・・・」

王子を見ると、熱を帯びた瞳にゾクリとした。

「知っているか?アニーの体を暴きたいって奴は案外多い。騎士団の連中だって例外じゃないんだ。アニーを捕まえて、牢に入れる前に犯してやろうっていう奴がいるんだ。」
「なにそれ・・・。」

呆然とする僕を見て、王子は妖艶に笑った。

「アニーが童貞を刺激するのがいけないんだよ?」
「は?え、なに・・・僕なにもしてなっ・・・んんっ」

シャツを捲られて、乳首をくりくりといじりながら、急にキスをされた。
抵抗しようと、手を動かすも、ただ金属音がするだけ。足で蹴り飛ばそうとしたが、手で足を押さえつけられた。
おしおきとばかりに口内に舌が入り込んでくる。
激しく口を犯されて、涙が溢れる。僕がヘロヘロになって抵抗しなくなったら、ようやく解放された。

「ねぇアニー、アニーの体が敏感なのってどうしてなんだろうね。」

そう言いながら、僕の胸を撫でる。ぷっくりと膨らんだ蕾をやさしく撫でたかと思えば、ぎゅっとつまんだり、指で弾いた。その度に僕の体はビクビクと反応する。

「っは、んっなこっと、しって・・・んっあっ、や、めっ」

容赦なく激しく乳首ばかり責められて、イきたいのに、イけない。つらい。もっと感じるところを触ってほしい。

「・・・腰が動いているよ。はしたないね。」

そう言って、乳首を責める手を止めた。もっと刺激がほしかったのに。なんで。

「なんで、」
「俺に何をしてほしいの?」
「えっ・・・」

王子の意図がわかり、本当に最悪だと思った。僕自身が強請るのを待ってる。
手持無沙汰なのか、後ろの蕾を指でなぞられた。少し指も入れられ、ほぐすようないじりかたをされたが、イくほどの刺激は絶対に与えてくれなかった。
僕がイきそうになったら必ず手を止める徹底ぶりだ。

「んーっ、んあっ・・・んんっ」

お尻がトロトロになるほどいじられて、指を抜かれるだけでヒクついてはしたない動きをしているのが自分でもわかり、恥ずかしい。
王子はわざと入口を浅く指を入れ、ヒクついて飲み込もうとする感触を楽しんでいるようだった。抜く際も、わざとゆっくり抜き、僕のお尻が吸い付いて離さないことを見て満足そうに笑っていた。
その度に僕は恥ずかしさから逆に感覚が集中してしまい、感じてしまっていた。

「おねだりは?」

王子は僕に触るのを止めた。

「・・・・・・。」
「アニーから求めてくれたら、俺は幸せで手錠もすべて外して窓を開けて眠ってしまうと思うんだけどな。」

逃がしてくれるっていうのはきっと嘘じゃない。でもだからって、僕から求めるなんてこと・・・。
一瞬王子と目が合った。その視線だけで犯されてしまう。

「あ、あんたのことが欲しいわけじゃないから!ただ逃げたいだけだからな・・・」
「うん、それで?」

王子は目を離さず、にこやかに僕を見る。視線に耐え切れなくて、目をそむけた。

「・・・あんたになら、何されてもいい・・・」

王子から「はぁ・・・」というため息が聞こえた。おねだりとかわかんないし、ダメだったのかと王子を見る。

「そんなこと言われたら、逃がしたくなくなっちゃうな。」

頬を染める王子を見て、不覚にもドキッとしてしまった。あの性悪王子なのに。なんだこれ。

「ちょっと痛かったらごめんね。」

お尻がヒクヒクと王子のモノに吸い付く。ゆっくりと押し進んでくるそれに声を漏らす。

「んーっ!いたっ・・い・・・」

若干泣き声が入ってしまった。

「ごめんね、もう少しだから・・・」

申し訳なさそうな顔で中のモノを押し進められた。不意に体に甘いしびれが通った。

「んあっあっ・・そこっ・・・」
「ああ・・・ここなんだね」

そう呟くと、王子は気持ちいい場所を刺激するように動かし、僕は喘ぎ声が抑えられなくなった。

「あっ・・だっめ・・ぇ・・・・んんあっん」

気が遠くなっていく中で、王子の優しい視線を見た気がする。
目が覚めると、身体は綺麗になっていた。手錠も外れ、窓も開けられていた。王子なんだから、窓を開けたまま寝たらだめだろうに。
そっと額に口づけを残して、盗人は窓から姿を消した。



朝起きると、すでに盗人はいなくなっていた。代わりに置手紙が一つ。

『もう一生あんたに会わないから』

本当に可愛らしくて困ってしまう。ふふっと笑いが漏れてしまった。
「追跡魔法がかかっているのは、わかっている癖に。」
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