2 / 55
2
しおりを挟む
「・・・・・・俺の・・・ハンカチ・・・?」
「割と几帳面なアルが忘れ物か~!ま、そんなこともあるよな!」
「・・・いやさっきの魔法薬学の時には手洗って、ハンカチで・・・あれ・・・?」
「どっか落としたんじゃね?・・・ん?てか最近アル忘れ物するよな!」
「・・・忘れてない。」
「まあまあ、ほら!手出せ!ピノさんお得意の風魔法で水気吹き飛ばしてやるって!ブイーーーーーーーン!」
「ちょ!ぶっ!ぶぶぶっ!へ、下手くそピノ!!!加減を知れ!!!」
「ぎゃはははは!自慢の黒髪がボサボサじゃん!・・・んふ、アルのかわいいお顔が隠せないな!アハハハハ!」
「・・・・・・炎の妖精、おいで・・・っ、」
「は???!はっ!?!じょ、じょ、冗談だろ??!俺が妖精に敵うわけ・・・ぎゃっ!!尻焦げた!!!ア、アル!!アルフレッド様!!ごめんって!!わーーーーーーー!」
ピノの尻を少し焦がしただけで妖精には戻ってもらった。(ピノ泣いてたけど)
二ヶ月前ぐらいから・・・かな。
物が無くなることが増えた。
この時みたいにハンカチだの、羽ペンだの・・・ローブの下に着てた下着まで。
さすがに寮の鍵まで盗られた時はいい加減腹が立ったから、別の物に追跡魔法かけて探し出してやろうとしたこともあったけど・・・陰湿なイジメやる奴だ。
相手もなかなか手強かった。
いつの間にか追跡魔法が解呪されていて、結局盗られたまんまだった。
・・・あ。ちなみに寮の鍵だけはその日の放課後、机の中に返ってきてて・・・、わざわざ返しにきたのかと・・・、うへぇ、思い出してもぞっとする。
んで、やられっぱなしは性に合わないから何かボコボコにする方法は無いかと、本を読み漁って、辿り着いたのが【過去を見る魔法】だった。
そっちが隠れて出てこないなら、俺が正体暴いて表に引き摺り出してやるよ。
ぐわん、ぐわん、揺れる視界。
・・・さすがに魔力喰うな、この魔法。
「・・・っ、でも見たかった時間ばっちりだろ、これは・・・!さっすが、俺。」
目の前はセピア色の世界。
さっきまで見ていた教室の風景だが、たった一つだけ違うところがある。
俺の斜め前、ジャミーの席だ。
薄桃色のトラリスの花。
あれは昨日の朝、フルール組の美人にパートナーを申し込まれて、その時に貰ったんだとか。
ジャミーがめちゃくちゃ騒いでて、わざわざ自分の席に小瓶を置いて見せびらかすように飾ってたから覚えてる。
「・・・あ、と、5分が限界・・・だな。早く来いよ、イジメ野郎・・・っ、」
5分以上使うと、ナラ先生の授業居眠りどころじゃ済まなくなりそうだ。
額に浮かんだ汗が、頬を伝う頃。
「・・・・・・・・・は?」
俺がある意味、待ち焦がれた相手。
教室後方のドアから一人の男が姿を現した。
そして俺はその・・・予想外すぎる相手に、開いた口が塞がらなくなった。
「割と几帳面なアルが忘れ物か~!ま、そんなこともあるよな!」
「・・・いやさっきの魔法薬学の時には手洗って、ハンカチで・・・あれ・・・?」
「どっか落としたんじゃね?・・・ん?てか最近アル忘れ物するよな!」
「・・・忘れてない。」
「まあまあ、ほら!手出せ!ピノさんお得意の風魔法で水気吹き飛ばしてやるって!ブイーーーーーーーン!」
「ちょ!ぶっ!ぶぶぶっ!へ、下手くそピノ!!!加減を知れ!!!」
「ぎゃはははは!自慢の黒髪がボサボサじゃん!・・・んふ、アルのかわいいお顔が隠せないな!アハハハハ!」
「・・・・・・炎の妖精、おいで・・・っ、」
「は???!はっ!?!じょ、じょ、冗談だろ??!俺が妖精に敵うわけ・・・ぎゃっ!!尻焦げた!!!ア、アル!!アルフレッド様!!ごめんって!!わーーーーーーー!」
ピノの尻を少し焦がしただけで妖精には戻ってもらった。(ピノ泣いてたけど)
二ヶ月前ぐらいから・・・かな。
物が無くなることが増えた。
この時みたいにハンカチだの、羽ペンだの・・・ローブの下に着てた下着まで。
さすがに寮の鍵まで盗られた時はいい加減腹が立ったから、別の物に追跡魔法かけて探し出してやろうとしたこともあったけど・・・陰湿なイジメやる奴だ。
相手もなかなか手強かった。
いつの間にか追跡魔法が解呪されていて、結局盗られたまんまだった。
・・・あ。ちなみに寮の鍵だけはその日の放課後、机の中に返ってきてて・・・、わざわざ返しにきたのかと・・・、うへぇ、思い出してもぞっとする。
んで、やられっぱなしは性に合わないから何かボコボコにする方法は無いかと、本を読み漁って、辿り着いたのが【過去を見る魔法】だった。
そっちが隠れて出てこないなら、俺が正体暴いて表に引き摺り出してやるよ。
ぐわん、ぐわん、揺れる視界。
・・・さすがに魔力喰うな、この魔法。
「・・・っ、でも見たかった時間ばっちりだろ、これは・・・!さっすが、俺。」
目の前はセピア色の世界。
さっきまで見ていた教室の風景だが、たった一つだけ違うところがある。
俺の斜め前、ジャミーの席だ。
薄桃色のトラリスの花。
あれは昨日の朝、フルール組の美人にパートナーを申し込まれて、その時に貰ったんだとか。
ジャミーがめちゃくちゃ騒いでて、わざわざ自分の席に小瓶を置いて見せびらかすように飾ってたから覚えてる。
「・・・あ、と、5分が限界・・・だな。早く来いよ、イジメ野郎・・・っ、」
5分以上使うと、ナラ先生の授業居眠りどころじゃ済まなくなりそうだ。
額に浮かんだ汗が、頬を伝う頃。
「・・・・・・・・・は?」
俺がある意味、待ち焦がれた相手。
教室後方のドアから一人の男が姿を現した。
そして俺はその・・・予想外すぎる相手に、開いた口が塞がらなくなった。
456
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました
水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。
世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。
「見つけた、俺の運命」
敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。
冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。
食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。
その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。
敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。
世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる