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寮の門はそれはもう立派な大きさで、重厚感のある歴史的な造りだ。
入寮したての頃は出入りするたび緊張感を持っていたが、あれから二年以上過ぎた最近では何とも思わなくなっていた。
しかし今、ある意味過去一番の緊張感を持って門を潜ろうとしている。
「おはよう、アル。体調はもう良くなったかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ーーーっ!!!は?じゃねーーーよ!!!お、おまっ、おまえ!!この方が誰だか分かってんのか???!」
朝日を浴びて輝く黄金の髪。
品のある菫色の瞳を持つ人物が寮門の前で俺のことを待っていた。
今・・・いや、昨日以降から会いたく無い人物No. 1に躍り出ていた【フィンリー・エバンズ】様の登場である。
実は昨日の出来事があまりにも非現実的すぎて、全部夢なんじゃ無いかと思い始めていた・・・が、そうではないらしい。
そんでもってこの目の前の男、噂通り本当に顔が良い。
昨日も一応見るには見たが、こうして改めて見ると驚くほどの美形だった。
全てのパーツがあるべき場所に、完璧な形で存在している。
背も平均的な俺より15cm以上は高そうだ。
だが俺は、そんなことどうでもいいんだ。
この男には聞きたいことが山程ある。が、清々しいほどの爽やかな登場に何から聞けば良いのかよく分からなくなってしまった。
「・・・・・・・・・・・・あんた一体何なんすか。」
「!?ちょっ、馬鹿!!!エバンズ様に、公爵家の方に何っていう口の聞き方をっ、」
「ピノワール・ロベルト君、気にしなくていいんだよ。」
「はえ?」「は?」
ピノワール・ロベルト、と言うのはピノの本名だ。・・・別にその名前に驚いて「は?」って言った訳じゃない。
あまりにも穏やかな声だったから驚いたんだよ、俺は。
「校内で爵位は関係なく皆平等だからね。それに・・・」
そう言ってふわりと微笑んだフィンリー・エバンズは、俺の方にゆっくりと歩いてきた。
「歩き方まで優雅だな・・・」なんて、一瞬阿呆なこと考えたけど、昨日の一件を思い出して俺は思わず身構える。
だがそんなことお構いなしにフィンリー・エバンズはあっという間にその長ーい足で俺の目の前まで来ると、一切の迷いなく片膝をついた。
第三者から見たら、さぞかし絵になる光景だろう。
まるでプロポーズする王子様のようだ。
偶然そこに居合わせた生徒の方から聞こえる悲鳴にも似た声がその証明。
・・・おい、待てよ外野の連中。俺が一番悲鳴を上げたい。もちろんその悲鳴の意味合いは違うがな。
そしてフィンリー・エバンズ。何でそんなうっとりしっとりした顔で俺のこと見んだよ。やめろよ、面が良すぎて逆に怖ぇよ。
「アルは僕のパートナーだから。これから一緒に過ごす時間が増えるね。楽しみだな。」
「は?」と俺の口から言葉が出るのと、フィンリー・エバンズのその形のいい唇が俺の左手の甲にくっ付いたのはほぼ同時。
その瞬間、食い入るように見ていた周りの生徒達からはどよめきと歓声と悲鳴があがって、またあのドラゴン寮長(仮称)が現れたのは言うまでもない。
・・・・・・しかも何で俺が怒られんだよ!??
クソが!!
入寮したての頃は出入りするたび緊張感を持っていたが、あれから二年以上過ぎた最近では何とも思わなくなっていた。
しかし今、ある意味過去一番の緊張感を持って門を潜ろうとしている。
「おはよう、アル。体調はもう良くなったかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ーーーっ!!!は?じゃねーーーよ!!!お、おまっ、おまえ!!この方が誰だか分かってんのか???!」
朝日を浴びて輝く黄金の髪。
品のある菫色の瞳を持つ人物が寮門の前で俺のことを待っていた。
今・・・いや、昨日以降から会いたく無い人物No. 1に躍り出ていた【フィンリー・エバンズ】様の登場である。
実は昨日の出来事があまりにも非現実的すぎて、全部夢なんじゃ無いかと思い始めていた・・・が、そうではないらしい。
そんでもってこの目の前の男、噂通り本当に顔が良い。
昨日も一応見るには見たが、こうして改めて見ると驚くほどの美形だった。
全てのパーツがあるべき場所に、完璧な形で存在している。
背も平均的な俺より15cm以上は高そうだ。
だが俺は、そんなことどうでもいいんだ。
この男には聞きたいことが山程ある。が、清々しいほどの爽やかな登場に何から聞けば良いのかよく分からなくなってしまった。
「・・・・・・・・・・・・あんた一体何なんすか。」
「!?ちょっ、馬鹿!!!エバンズ様に、公爵家の方に何っていう口の聞き方をっ、」
「ピノワール・ロベルト君、気にしなくていいんだよ。」
「はえ?」「は?」
ピノワール・ロベルト、と言うのはピノの本名だ。・・・別にその名前に驚いて「は?」って言った訳じゃない。
あまりにも穏やかな声だったから驚いたんだよ、俺は。
「校内で爵位は関係なく皆平等だからね。それに・・・」
そう言ってふわりと微笑んだフィンリー・エバンズは、俺の方にゆっくりと歩いてきた。
「歩き方まで優雅だな・・・」なんて、一瞬阿呆なこと考えたけど、昨日の一件を思い出して俺は思わず身構える。
だがそんなことお構いなしにフィンリー・エバンズはあっという間にその長ーい足で俺の目の前まで来ると、一切の迷いなく片膝をついた。
第三者から見たら、さぞかし絵になる光景だろう。
まるでプロポーズする王子様のようだ。
偶然そこに居合わせた生徒の方から聞こえる悲鳴にも似た声がその証明。
・・・おい、待てよ外野の連中。俺が一番悲鳴を上げたい。もちろんその悲鳴の意味合いは違うがな。
そしてフィンリー・エバンズ。何でそんなうっとりしっとりした顔で俺のこと見んだよ。やめろよ、面が良すぎて逆に怖ぇよ。
「アルは僕のパートナーだから。これから一緒に過ごす時間が増えるね。楽しみだな。」
「は?」と俺の口から言葉が出るのと、フィンリー・エバンズのその形のいい唇が俺の左手の甲にくっ付いたのはほぼ同時。
その瞬間、食い入るように見ていた周りの生徒達からはどよめきと歓声と悲鳴があがって、またあのドラゴン寮長(仮称)が現れたのは言うまでもない。
・・・・・・しかも何で俺が怒られんだよ!??
クソが!!
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