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「ねえ、どの子よ。エバンズ様のパートナー!」

「えっと、このステラクラスの・・・、あ、あの子じゃない?髪黒いし。」

「え゛!?あの前髪が長くて・・・・・・ええええ!!!?お、男なのぉぉお!???」

「シッ!今の世の中、性別なんて関係ないでしょ!時代遅れな発言やめてよね。」

「もうっ、あなた達そんな大きな声ではしたないわよ。指も差さない!あの子ああ見えてステラ組でもかなり・・・、あっ!」

「あらやだ。キャシーのせいで気付かれちゃったじゃない。」

「「「し、し、失礼しましたぁ~!」」」



パタパタと小走りの足音が遠ざかっていく。
朝から何人目だ?休み時間のたびに同じような光景が教室の出入り口で繰り返される。
人の噂というのは、こうも簡単に広がるらしい。出来ることなら一生身をもって実感したくなかったが。
そのうえ普段俺に近づいてこないようなクラスメイトでさえ、何か言いたげな目で俺を見てくるのが実に・・・実に・・・・・・っ!!!



「・・・・・・・・・許さねぇ、あのクソ男。俺の平穏な生活を台無しにしやがった。」

「シッ!!!!!!!アル!お前やめろって!エバンズ様の崇拝者に呪い殺されるぞ!!!?」

「ハッ!やれるもんならやってみろっつーんだよ。返り討ちにしてやらぁ。」

「馬鹿!!もうお前黙れ!!!」

「・・・・・・チッ」


はああああ・・・と長いため息が出る。(何故かピノの奴まで)
あのフィンリー・エバンズストーカー男、これまで通りこそこそしておけば・・・まだマシだったものを、まさか堂々と攻めてきやがるとは。

朝は朝で手の甲に、キ、キスした後「じゃあまた放課後に迎えにいくからね、アル。」なんて言い残して颯爽と去っていきやがった。
ドラゴン寮長(仮称)と何か仲良さげに話してたけど・・・何なんだあいつは。



だぁれが放課後捕まるもんか。
さっさと寮に帰って俺は部屋でこれまで通り過ごすんだよ、ばーーーーーか。




「~~♪ピノ、今日寮帰ったら薬草学の復習一緒にやろうぜ。」

「はあ?お前今日から例の特訓だろ?もう一ヶ月切ってるし、頑張れよ。」

「・・・特訓?何だそれ?」

「・・・・・・・・・お前、パートナーになっただろ。しかもあのエバンズ様の。」

「・・・・・・・・・・・・なってねぇ。」

「なったんだよ!!エバンズ様の実に形のいい上品なお耳にも黒い石のピアス付いてただろうが!?お前も今朝ちゃんと見」「わああああ!!今朝のことを思い出させんな!!!」

慌ててピノの口にノートを押し当て黙らせた。

・・・ニヤニヤしやがって。この野郎。
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