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『さてみなさーん!第一課題【かくれんぼ】のルールをおさらいしましょう!準備はいいですかぁーーー?』
会場から聞こえてくる副会長ウィンザーさんの声。ワァァアーーーーーと盛り上がる会場を背に、出場者はすでに敷地内の森へと移動を開始した。
俺たちが向かっている森は三年生以上の授業でしか入らない。
地形も複雑で、魔物も出るんだとか。
勿論、許可がない立ち入りは禁止だし、わざわざそんな危険な場所に遊びに行く変態なんか居ない。
しかもすでに課題は始まっていて、決められた時間までにその森に着くこと、が第一課題参加の最低条件だった。
開会式の会場から結構遠いぜ?
歩いたら一時間以上は余裕でかかるんじゃねぇの。
転移魔法は使用禁止だから、フィンリー・エバンズと超全速力で走るしかない。
どこぞの騎士団の訓練かよ。ここ魔法学校なんだけど。
・・・ってことで、第一課題の場所がすでにヤバイ、ということに気づいてもらえただろうか。
俺はフィンリー・エバンズと並走中。
お互い、足に風魔法を纏って走るなんてお手のもの。こうでもしないと時間内に到着なんて不可能なはず。運営側もなかなか意地が悪い。並ぐらいの魔力量じゃ、森に到着時点で魔力をかなり消耗してしまう。
風を切るように走る、っていうのが今の俺たちにぴったりの表現だ。
「数組棄権が出たみたいだね。一年生パートナーには危険度が高いから賢明な判断だと思う。」
「おー、おー。ライバルが自動的に減るなら願ったり叶ったりだな。」
「・・・ねぇ、やっぱりさ・・・・・・」
「あ゛?もう変えねぇからな!?二手に分かれた方が圧倒的に有利だろ!」
「・・・そうだ、けど・・・・・・」
-----------------
第一課題 【 かくれんぼ 】
・制限時間はニ時間。
・一人につき持ち点は50点、パートナーと合わせて100点とする。
・鬼役に発見され、事前に配布した首飾りを奪われた場合、その場から動くことはできない。ただし、パートナーがその奪われた首飾りを取り返した場合はその限りでは無い。
・鬼役がつけているブローチを奪ったものは、一つにつき30点加点する。
・森の中には魔石を持った魔物が放たれている。魔石は一つにつき10点加点する。
・他のパートナーの首飾りは奪ったとしても加点にはならない。
・身の危険を感じ棄権する場合は何かしらの方法で本部に知らせること。
・パートナーのどちらかが首飾りを死守すれば第一課題合格であるが、時間終了時の持ち点上位10組のみ第二課題(最終課題)に進めるものとする。
-----------------
「要はかくれんぼしながら、魔物倒しまくってポイント稼げってことだろ?鬼役がどんな奴かは知らんが、そいつも倒せるなら倒せって意味じゃねぇか。実力主義上等だっつーの。」
「・・・何かあったらすぐ知らせて。お願いだから。」
「お前がクソ強すぎるだけで、俺はそんなに柔じゃねぇ。心配しすぎなんだよ。」
「・・・わかってるけど・・・・・・嫌な予感がするんだ。」
「・・・・・・はぁ、わかった。わかったよ。」
俺の返事にフィンリー・エバンズは不満そうな顔で、眉間に皺を寄せる。
会場を出発してからずっとこの調子だ。
何が心配なのか、嫌な予感とはなんなのか。本人はハッキリと言わないが、こいつは二手に分かれずに行動すべきだと考えているらしい。
・・・それじゃあ、あの特訓の日々が意味をなさない。だから俺は早々に断った。
どう考えても二手に分かれた方が効率よく逃げられるし、点数を稼げる。
広大な森の中に鬼役がどれだけ潜んでるか予想はできないが、かたまって動くのは得策じゃ無い。
こいつならわかりそうなもんだけど。
・・・何にせよ、上位10組しか次に進めないなら、ガンガン点を稼ぐのみ。
「ほら、もう着くぞ。お前が東、俺が西な。」
「・・・うん。アル・・・絶対逃げ切ってよ。」
「ハッ。あったりまえだよ!お前も逃げ切れよ。そんで、俺と点競おうぜ。」
「・・・・・・ふふ。分かった。じゃあ、またあとでね。」
「おう。」
森に足を踏み入れた瞬間、俺とフィンリー・エバンズは真反対に地面を蹴る。
次に会うのは、ニ時間後。
てめぇより、点稼いでやるからな。
会場から聞こえてくる副会長ウィンザーさんの声。ワァァアーーーーーと盛り上がる会場を背に、出場者はすでに敷地内の森へと移動を開始した。
俺たちが向かっている森は三年生以上の授業でしか入らない。
地形も複雑で、魔物も出るんだとか。
勿論、許可がない立ち入りは禁止だし、わざわざそんな危険な場所に遊びに行く変態なんか居ない。
しかもすでに課題は始まっていて、決められた時間までにその森に着くこと、が第一課題参加の最低条件だった。
開会式の会場から結構遠いぜ?
歩いたら一時間以上は余裕でかかるんじゃねぇの。
転移魔法は使用禁止だから、フィンリー・エバンズと超全速力で走るしかない。
どこぞの騎士団の訓練かよ。ここ魔法学校なんだけど。
・・・ってことで、第一課題の場所がすでにヤバイ、ということに気づいてもらえただろうか。
俺はフィンリー・エバンズと並走中。
お互い、足に風魔法を纏って走るなんてお手のもの。こうでもしないと時間内に到着なんて不可能なはず。運営側もなかなか意地が悪い。並ぐらいの魔力量じゃ、森に到着時点で魔力をかなり消耗してしまう。
風を切るように走る、っていうのが今の俺たちにぴったりの表現だ。
「数組棄権が出たみたいだね。一年生パートナーには危険度が高いから賢明な判断だと思う。」
「おー、おー。ライバルが自動的に減るなら願ったり叶ったりだな。」
「・・・ねぇ、やっぱりさ・・・・・・」
「あ゛?もう変えねぇからな!?二手に分かれた方が圧倒的に有利だろ!」
「・・・そうだ、けど・・・・・・」
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第一課題 【 かくれんぼ 】
・制限時間はニ時間。
・一人につき持ち点は50点、パートナーと合わせて100点とする。
・鬼役に発見され、事前に配布した首飾りを奪われた場合、その場から動くことはできない。ただし、パートナーがその奪われた首飾りを取り返した場合はその限りでは無い。
・鬼役がつけているブローチを奪ったものは、一つにつき30点加点する。
・森の中には魔石を持った魔物が放たれている。魔石は一つにつき10点加点する。
・他のパートナーの首飾りは奪ったとしても加点にはならない。
・身の危険を感じ棄権する場合は何かしらの方法で本部に知らせること。
・パートナーのどちらかが首飾りを死守すれば第一課題合格であるが、時間終了時の持ち点上位10組のみ第二課題(最終課題)に進めるものとする。
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「要はかくれんぼしながら、魔物倒しまくってポイント稼げってことだろ?鬼役がどんな奴かは知らんが、そいつも倒せるなら倒せって意味じゃねぇか。実力主義上等だっつーの。」
「・・・何かあったらすぐ知らせて。お願いだから。」
「お前がクソ強すぎるだけで、俺はそんなに柔じゃねぇ。心配しすぎなんだよ。」
「・・・わかってるけど・・・・・・嫌な予感がするんだ。」
「・・・・・・はぁ、わかった。わかったよ。」
俺の返事にフィンリー・エバンズは不満そうな顔で、眉間に皺を寄せる。
会場を出発してからずっとこの調子だ。
何が心配なのか、嫌な予感とはなんなのか。本人はハッキリと言わないが、こいつは二手に分かれずに行動すべきだと考えているらしい。
・・・それじゃあ、あの特訓の日々が意味をなさない。だから俺は早々に断った。
どう考えても二手に分かれた方が効率よく逃げられるし、点数を稼げる。
広大な森の中に鬼役がどれだけ潜んでるか予想はできないが、かたまって動くのは得策じゃ無い。
こいつならわかりそうなもんだけど。
・・・何にせよ、上位10組しか次に進めないなら、ガンガン点を稼ぐのみ。
「ほら、もう着くぞ。お前が東、俺が西な。」
「・・・うん。アル・・・絶対逃げ切ってよ。」
「ハッ。あったりまえだよ!お前も逃げ切れよ。そんで、俺と点競おうぜ。」
「・・・・・・ふふ。分かった。じゃあ、またあとでね。」
「おう。」
森に足を踏み入れた瞬間、俺とフィンリー・エバンズは真反対に地面を蹴る。
次に会うのは、ニ時間後。
てめぇより、点稼いでやるからな。
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