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俺たちは会場から一旦移動して、屋上で待機中。
観客の視線浴びるの鬱陶しかったから、正直助かった。
周りには出場者だけで、みんな何故こんなところに移動させられたのか不審がっているようだった。
課題は大掛かりな仕掛けと共に毎年発表される。
去年ピノと見てた時の発表の仕方は、会場の地面が土魔法でボコボコっと浮き上がって文字になっていた。
どんだけ魔力使うんだ?ってぐらい、広範囲を文字になるように地面を操作して、あとは綺麗さっぱり元通りにする。
ま、先生と生徒会、あと有志の成績上位者が協力してやるから大したことないんだろうけど。
んで、今年はと言うと・・・
「これ僕の案なんだ。綺麗でしょう?東の国では、特別なイベントで使われる技法なんだって。」
「・・・・・・俺は開会式の愚行を許してないからな。」
耳を劈くような大きな音がして、出場者が一同に見上げた先。
バチバチと色とりどりの火花が浮かび、文字を創っている。
空が清々しいほどに青いから、文字ははっきり浮かび上がるように原色だ。
これがハッキリ見えるように屋上、ってわけか。なるほど。
「?アル、もしかして照れてたの?最愛のパートナーはアルしかいないんだから、僕は率直に宣言しただけなのに。」
「ぎゃ!!お、お前、公、衆面前で、急に近づくの、やめろ!!!!」
「・・・やめるわけないじゃない。アルの愛らしい目元がこんなにも露わになってしまったんだから、これまで以上に僕が近くにいないと。アルに変な虫が寄って来でもしたら僕・・・・・・・・・・・・」
「怖い怖い怖い怖い!勝手に妄想して勝手に怒んなって言ってんだろ!魔力も溢れてる!課題前に無駄遣いすんな、勿体無い!馬鹿!つぅか、課題!課題見ろ!!かくれんぼって何の冗談だ!!!?」
「僕ならどこにアルが隠れたって匂いでわか」
「気持ち悪いこと言うな!!!!」
くんくん首筋に鼻を寄せようとするあいつの体をぐぃーーーっと両手で押し返す。
クソッ!!力強すぎんだよ!!
馬鹿みたいな攻防戦を繰り広げながらもう一度空を見上げる。
でかでかと か く れ ん ぼ 、と書いてあるが・・・・・・はぁ?かくれんぼ?
子どもの遊びじゃねぇか。
それをどうしたら課題になるんだ・・・?
「お、お前、いい加減離れろ・・・っ!課題の詳細知らねぇのかよ?!生徒会長特権とかで!」
「んー・・・、そういう不正は命に誓って一切無いからわからないなぁ。」
「俺を妙な例えに使うな!!!」
にっこりと微笑み、また首筋を嗅ごうとするフィンリー・エバンズと、それを必死に押し返す俺。
薄々・・・いや、かなり感じてはいたが、どうやらこいつは俺へのこのあからさまな態度を隠すつもりはないらしい。
ヒソヒソと話し声が至る所からするが、凡そこいつのことだろう。
「あのエバンズ様が・・・」やら「お相手のことが余程お好きなのね」やら「パートナーはエバンズ様から申し込んだというの本当だったのね」やら・・・・・・。
ああ、俺はこの大会が終わってもきっと元の平穏な生活には戻れない・・・クソ野郎め・・・。
「アル?そんな顔して、何を考えてるの?」
「・・・平穏な生活をどうやったら取り戻せるかってことをだよ。」
「?今も十分平穏じゃない。」
「・・・・・・・・・どこがだよぉ・・・・・・」
はぁぁあ・・・と、ため息をつくのはもちろん俺。
その俺を心底嬉しそうな顔で覗き込むフィンリー・エバンズが俺を抱きしめた後、屋上の入り口付近を睨みつけていたことを俺はこの時気付くはずもなかった。
観客の視線浴びるの鬱陶しかったから、正直助かった。
周りには出場者だけで、みんな何故こんなところに移動させられたのか不審がっているようだった。
課題は大掛かりな仕掛けと共に毎年発表される。
去年ピノと見てた時の発表の仕方は、会場の地面が土魔法でボコボコっと浮き上がって文字になっていた。
どんだけ魔力使うんだ?ってぐらい、広範囲を文字になるように地面を操作して、あとは綺麗さっぱり元通りにする。
ま、先生と生徒会、あと有志の成績上位者が協力してやるから大したことないんだろうけど。
んで、今年はと言うと・・・
「これ僕の案なんだ。綺麗でしょう?東の国では、特別なイベントで使われる技法なんだって。」
「・・・・・・俺は開会式の愚行を許してないからな。」
耳を劈くような大きな音がして、出場者が一同に見上げた先。
バチバチと色とりどりの火花が浮かび、文字を創っている。
空が清々しいほどに青いから、文字ははっきり浮かび上がるように原色だ。
これがハッキリ見えるように屋上、ってわけか。なるほど。
「?アル、もしかして照れてたの?最愛のパートナーはアルしかいないんだから、僕は率直に宣言しただけなのに。」
「ぎゃ!!お、お前、公、衆面前で、急に近づくの、やめろ!!!!」
「・・・やめるわけないじゃない。アルの愛らしい目元がこんなにも露わになってしまったんだから、これまで以上に僕が近くにいないと。アルに変な虫が寄って来でもしたら僕・・・・・・・・・・・・」
「怖い怖い怖い怖い!勝手に妄想して勝手に怒んなって言ってんだろ!魔力も溢れてる!課題前に無駄遣いすんな、勿体無い!馬鹿!つぅか、課題!課題見ろ!!かくれんぼって何の冗談だ!!!?」
「僕ならどこにアルが隠れたって匂いでわか」
「気持ち悪いこと言うな!!!!」
くんくん首筋に鼻を寄せようとするあいつの体をぐぃーーーっと両手で押し返す。
クソッ!!力強すぎんだよ!!
馬鹿みたいな攻防戦を繰り広げながらもう一度空を見上げる。
でかでかと か く れ ん ぼ 、と書いてあるが・・・・・・はぁ?かくれんぼ?
子どもの遊びじゃねぇか。
それをどうしたら課題になるんだ・・・?
「お、お前、いい加減離れろ・・・っ!課題の詳細知らねぇのかよ?!生徒会長特権とかで!」
「んー・・・、そういう不正は命に誓って一切無いからわからないなぁ。」
「俺を妙な例えに使うな!!!」
にっこりと微笑み、また首筋を嗅ごうとするフィンリー・エバンズと、それを必死に押し返す俺。
薄々・・・いや、かなり感じてはいたが、どうやらこいつは俺へのこのあからさまな態度を隠すつもりはないらしい。
ヒソヒソと話し声が至る所からするが、凡そこいつのことだろう。
「あのエバンズ様が・・・」やら「お相手のことが余程お好きなのね」やら「パートナーはエバンズ様から申し込んだというの本当だったのね」やら・・・・・・。
ああ、俺はこの大会が終わってもきっと元の平穏な生活には戻れない・・・クソ野郎め・・・。
「アル?そんな顔して、何を考えてるの?」
「・・・平穏な生活をどうやったら取り戻せるかってことをだよ。」
「?今も十分平穏じゃない。」
「・・・・・・・・・どこがだよぉ・・・・・・」
はぁぁあ・・・と、ため息をつくのはもちろん俺。
その俺を心底嬉しそうな顔で覗き込むフィンリー・エバンズが俺を抱きしめた後、屋上の入り口付近を睨みつけていたことを俺はこの時気付くはずもなかった。
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