【完結】俺のストーカーは、公爵家次男。

N2O

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「うわぁぁぁぁあん!エルザがぁ!!綺麗すぎて格好良すぎて可愛いすぎて俺いくらでも泣けるよぉぉぉお!世界一愛してるよぉぉお!!」

「リュ、リュ、リュカ!おやめなさい!人前ですよ!ちょっ、リュカ!!!離しなさい!!聞いてますの!!?ねぇ!!」

「・・・・・・・・・・・・え?俺ら、この人に負けたの?」

「・・・・・・残念ながらね。」



ワァァァァ・・・っ!と耳が割れるほどの生徒たちの歓声と拍手。
眼前には、着飾ったフォアさんへの愛が溢れて咽び泣くシュバリエさん。


そう。
只今、表彰式の真っ最中。
課題終了後すぐ着替えさせられて、開会式と同じ会場へ。


そして総合魔法技術大会優勝を掻っ攫ったのは、なんとリュカ・シュバリエ&エルザ・フォアのペアだった。


「まさかのどんでん返し・・・一時間内にゴールが超加点なんて聞いてないし。俺たちだってほぼ一時間だったのに。」

「うぐっ、えぐっ、エルザ綺麗だねぇ・・・えぐっ」

「俺と分かれてすぐフォアさん見つけて、担ぎ上げて爆走単独ゴール決めてたとは思わないですよ、ほんと。」

「うぐっ、えぐっ、可愛いよぉ・・・」

「・・・ぜっっんぜん聞いてませんね、シュバリエさん。」

「ご、ごめんなさいね、小鳥さん。リュカは感極まると昔からこうなの。は、恥ずかしいですわ・・・っ、」



小さめな扇をパタパタさせて、しがみつくシュバリエさんを引き離そうと必死なフォアさん。
でもその顔は満更でもない。

これぞ婚約者パートナー。




愛情と、信頼の塊。
積み上げられた色んな絆。





"なんか、そういうのいいなぁ・・・"





「えっ?!」「ええっ??」

「・・・・・・・・・・・・え?!!なっ、なんすか二人とも?!」


バッ!と息ぴったりで俺の方を振り返った優勝パートナー。
シュバリエさんの涙も止まって、二人ともちょっと顔が赤い。

な、なに?!!照れてる?!

俺、別に何も変なこと言ってな、
「アル、そろそろ僕たちは寮に帰ろう。」

「え゛?!ま、マジで言ってんの?!祝賀会は?!本当に出ないわけ?!俺たちだって・・・うわっ!!おまっ、お前!!!こんな公衆面前でっ!だだだだ抱っこ、」

「素直で可愛いこと言うアルを、誰にも見せたくない。」

「は・・・はああ?俺別に何も・・・・・・あ゛」



そういえば俺、あのクソ男に何かされたんだった。
意味深な言い方だったけど、あれって・・・


「そうだよ。忘れてたでしょ。アル、今ルークの呪いに掛かってるんだからね。」

「エバンズ、それ呪いじゃなくて一応魔法だから。」

「えっ?!えっ!お、俺さっき何て言っ」
「内緒。」

「うわっ、ちょっ、待って!気になるじゃん!あ゛あっ!この、ば、馬鹿!!」

「ミンミン、お幸せに~」

「???!!!!?」



ニヤニヤしながらシュバリエさんに手を振られ(フォアさんにまで)、俺は大観衆の視線を全身に浴びながら、一瞬で会場を後にした。



-----------------------------⭐︎



俺を片腕で縦抱きにしたまま、見慣れた扉の取手をもう片方の手で回し中に入る男の横顔はどこか嬉しそうで、幸せそうで。


この男は、何がそんなに嬉しいのか。


すぐに悪態をつき、可愛げもない。
貧乏で、特に特技もない。
魔力が多いだけで、まだまだ技術は拙くて。
優勝だって逃したわけだし。


そんな俺をどうしてこんなにも必要とするのか、いまだによくわからない。



「・・・・・・僕は、アルの全部が愛おしいんだよ。」

「・・・早くこの呪い解けよ。俺の尊厳にかかわるだろ。」

「ルークは幻術のように精神に干渉する魔法が得意なんだ。今アルに掛けられてるのは、"心の内を声に出してしまう"魔法。謂わば自白剤みたいなものだね。」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「こら。そんなに強く噛んじゃ駄目だよ。傷になる。」



何だその恐ろしい魔法は。
あのクソ男め。何てことしてくれんだ。
強く噛んだ下唇を、フィンは優しく指でなぞる。
その手つきが、あまりにも優しくて温かいもんだから、俺はまた胸がギュッとなった。



「ルークはあのまま精神に干渉して、アルを操ろうとしたみたいだけどね。・・・本当、殺しとけば良かった。」

「・・・お前、品行方正の見本みたいな顔してんのに実は腹ん中ドス黒いよな。」

「アルのことになると、僕は必死だからね。」

「ばっ・・・・・・かじゃねぇの・・・ほんと・・・」



真っ直ぐ俺を見つめる菫色の瞳が、いつものように弧を描く。
初めて見た時は、吸い込まれるような美しすぎるそれに、体が硬直した。

なのに、今は、不思議と見慣れてしまって。
『今日も相変わらずだな』なんて。
こいつと、フィンと、一緒にいることが日常になっている。



「ボソ(・・・・・・はぁ・・・もう本当可愛すぎる・・・)」

「・・・ハッ!お、お、俺また今またなんか声にっ、」

「・・・内緒。」

「はああああ????」


俺を抱えたまま腰を下ろしたベッドのスプリングがキシキシと小さく鳴いた。

向き合って俺の腰に腕を回したフィンが、俺のことを見上げるような格好だ。

右後方の窓から夕陽が、菫色をより輝かせるよう差し込んでいる。



「・・・ねぇ、アル。聞いて欲しいことがあるんだけど、今話してもいい?」

「・・・・・・?い、いけど。何だよ、そんな改まって。」

「ふっ、ふふ。"僕の心"も話さないと、不平等でしょう?」



そう言って顔を綻ばせるフィンの顔を、俺以外きっと誰も見たことがないんだろう。
何故かその時火がつくように顔に熱が集まって、俺は咄嗟に視線を逸らす。


フィンは何も言わなかったけど、少し笑っているようだった。




"この感情に名前をつけるとしたら?"




とそこまで考えて、俺はこの感情に飲み込まれるのも何か悔しくて。

また菫色の方へと、意識を戻した。
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