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この国には3人の王子がいる。
どの王子も見目麗しく、国内外問わず注目の的だ。
第1王子、アルベルト・ミファエル
第2王子、ジョシュア・ミファエル
そして第3王子、ラファド・ミファエル
この国の伝統として18歳になった王子には、専属魔法士が就く。
身の安全の確保はもちろん、王子自身の魔力操作指導をマンツーマンで実施し、国を担う者としての育成を目的とした制度。
簡単に言えば家庭教師兼護衛だ。
そして第3王子のラファドの専属魔法士として、白羽の矢が立ったのがリーシュであった。
本来ならば、アカデミー入学の15歳頃より人物選定を行い、18歳になるまでの間に専属魔法士を決めることが通例。
第1王子、そして第2王子もこの期間の間に専属魔法士との"契約"が終わっていた。
歴代の専属魔法士の中には、アカデミー出身の者、平民から選ばれた者、騎士団の中から選ばれた者・・・と多種多様であり、ある一定以上の魔力があり、何より強い者であれば身分や性別など特に決まりはない。
基本的に王子が決めた人物を専属魔法士とする。
そして、過去に専属魔法士がいなかった王子はいない。
現王にも専属魔法士がおり、かれこれもう30年以上傍にいる。
その関係は切っても切れないものなのだ。
魔力量、魔力操作の技術の高さ・・・これら条件が揃う人材は数多くいるが、紹介される魔法士たちに第3王子のラファドはこれまで一度たりとも首を縦に降らなかった。
「・・・魔力の"塵"がうるさい。専属となれば、四六時中一緒にいるのだろう?絶対に嫌だ。」
顔を顰めながら、決まってこう言う。
そもそも魔力の塵がうるさいとは何だ?と、周囲のものたちはいつも思うのだが、ラファドから漏れ出す冷たく威圧的な魔力に誰も口に出せなかった。
そんなラファドが「ギデオン家の次男を専属魔法士としたい」と突然言い出したものだから、父である現王も、2人の兄たちも乗りに乗って、ギデオン家に遣いを出し、手紙を出し・・・。
あれよあれよと話が進み、あの魔力封じの腕輪に至る。
そもそも、リーシュが父の話を最後まで真摯に聞いておけばあの特注の腕輪まで出ることはなかった・・・かもしれない。
「・・・僕は納得がいきません。」
「そう言ってもな・・・」
「何かの間違いです。父上、早く家に帰りましょう。」
「何度も確認したよ・・・?」
王宮の一角、実家の自分の部屋よりも段違いに広く、そしてセンスの良い部屋に通された二人。
部屋に準備されていた第3王子専属魔法士のローブに渋々袖を通したリーシュ(寝巻きのままはさすがに嫌だった)は、それはもうしゅーーーんと犬耳(見えない)を垂らした父をかれこれ1時間は睨んでいた。
「わ、わかってくれ、リーシュ。相手が相手だ。」
「絶対に!間違いです。」
「と、とりあえず今日はラファド様と顔合わせ、明日は王との謁見だ。」
「そんなわけありません。」
「ローブもよく似合っているよ。お前なら必ず務まる。自慢の息子よ、そう怒らないでおくれ。」
「・・・そりゃ、これは良い色ですけど・・・」
キラキラとした目でそう言われてもリーシュは納得いかない。
ガーディナーの転移魔法で一瞬にして王宮のこの部屋に連れて来られたものの、これからもあの辺境の地で、生涯を過ごすものだと思っていたリーシュにとって寝耳に水もいいところなのである。
「大体なぜ僕なのですか。他にも適任者はいたはずです。」
「そりゃあ居たかもしれんが・・・」
「第一、僕は第3王子にお会いしたことはありません。絶っっ対に何かの間違いです。」
「リ、リーシュ・・・眼力・・・っ、」
ガーディナーがリーシュの眼力に押され始めた頃、コンコンっと部屋の扉を叩く音がした。
どの王子も見目麗しく、国内外問わず注目の的だ。
第1王子、アルベルト・ミファエル
第2王子、ジョシュア・ミファエル
そして第3王子、ラファド・ミファエル
この国の伝統として18歳になった王子には、専属魔法士が就く。
身の安全の確保はもちろん、王子自身の魔力操作指導をマンツーマンで実施し、国を担う者としての育成を目的とした制度。
簡単に言えば家庭教師兼護衛だ。
そして第3王子のラファドの専属魔法士として、白羽の矢が立ったのがリーシュであった。
本来ならば、アカデミー入学の15歳頃より人物選定を行い、18歳になるまでの間に専属魔法士を決めることが通例。
第1王子、そして第2王子もこの期間の間に専属魔法士との"契約"が終わっていた。
歴代の専属魔法士の中には、アカデミー出身の者、平民から選ばれた者、騎士団の中から選ばれた者・・・と多種多様であり、ある一定以上の魔力があり、何より強い者であれば身分や性別など特に決まりはない。
基本的に王子が決めた人物を専属魔法士とする。
そして、過去に専属魔法士がいなかった王子はいない。
現王にも専属魔法士がおり、かれこれもう30年以上傍にいる。
その関係は切っても切れないものなのだ。
魔力量、魔力操作の技術の高さ・・・これら条件が揃う人材は数多くいるが、紹介される魔法士たちに第3王子のラファドはこれまで一度たりとも首を縦に降らなかった。
「・・・魔力の"塵"がうるさい。専属となれば、四六時中一緒にいるのだろう?絶対に嫌だ。」
顔を顰めながら、決まってこう言う。
そもそも魔力の塵がうるさいとは何だ?と、周囲のものたちはいつも思うのだが、ラファドから漏れ出す冷たく威圧的な魔力に誰も口に出せなかった。
そんなラファドが「ギデオン家の次男を専属魔法士としたい」と突然言い出したものだから、父である現王も、2人の兄たちも乗りに乗って、ギデオン家に遣いを出し、手紙を出し・・・。
あれよあれよと話が進み、あの魔力封じの腕輪に至る。
そもそも、リーシュが父の話を最後まで真摯に聞いておけばあの特注の腕輪まで出ることはなかった・・・かもしれない。
「・・・僕は納得がいきません。」
「そう言ってもな・・・」
「何かの間違いです。父上、早く家に帰りましょう。」
「何度も確認したよ・・・?」
王宮の一角、実家の自分の部屋よりも段違いに広く、そしてセンスの良い部屋に通された二人。
部屋に準備されていた第3王子専属魔法士のローブに渋々袖を通したリーシュ(寝巻きのままはさすがに嫌だった)は、それはもうしゅーーーんと犬耳(見えない)を垂らした父をかれこれ1時間は睨んでいた。
「わ、わかってくれ、リーシュ。相手が相手だ。」
「絶対に!間違いです。」
「と、とりあえず今日はラファド様と顔合わせ、明日は王との謁見だ。」
「そんなわけありません。」
「ローブもよく似合っているよ。お前なら必ず務まる。自慢の息子よ、そう怒らないでおくれ。」
「・・・そりゃ、これは良い色ですけど・・・」
キラキラとした目でそう言われてもリーシュは納得いかない。
ガーディナーの転移魔法で一瞬にして王宮のこの部屋に連れて来られたものの、これからもあの辺境の地で、生涯を過ごすものだと思っていたリーシュにとって寝耳に水もいいところなのである。
「大体なぜ僕なのですか。他にも適任者はいたはずです。」
「そりゃあ居たかもしれんが・・・」
「第一、僕は第3王子にお会いしたことはありません。絶っっ対に何かの間違いです。」
「リ、リーシュ・・・眼力・・・っ、」
ガーディナーがリーシュの眼力に押され始めた頃、コンコンっと部屋の扉を叩く音がした。
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