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しおりを挟む「ラ、ラ、ラウーさん!一緒に食堂に、い、行きませんか?!」
昼休みに入ってすぐ、教科書をトントン揃えて片付けていた僕の目の前に現れたのはクラスメイトの兎の獣人のティフくん。
淡い茶色の毛色、垂れた長耳が印象的な男の子。
丸い眼鏡をかけた目も垂れていて、とっても優しい顔立ちなんだけど、こう見えて、超超攻撃的な魔法を使う実力者だ。
何日か前の演習でペアになってから、こうやって話しかけてくれるようになった。
一年遅れて入学っていうのもあって、このクラスでは歳上。
そのせいか少し浮いてる・・・気がする。
だから話しかけてくれて、凄く嬉しい。
「もちろん!あと、僕は一応歳上ってだけで同じ一年なんだから、さん付けはしないでね?いい?」
「は、」
「敬語もなしね。」
「はっ・・・・・・う、うん!わかり、わかった!」
「ふふふ、じゃ、行こっか!誘ってくれてありがとう。」
「~~~はい!あっ、うん!」
頬っぺが赤くなったティフくんは、ふわふわした耳も相まってとっても可愛い。
僕は嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
そしたら何故かティフくんはもっと顔が真っ赤。
尚更可愛くて、思わずよしよし、と頭を撫でると、ふわふわな耳がピーン!と立っていて、僕は声を出して笑ってしまった。
「ちょ、ちょっと、ラウーさ・・・ラウーくん!悪戯しないで!」
「ティフくんが可愛くて、つい。」
「かっ、可愛い上に美人で更にプラスでかっこいいのはラウーくんだから!!!」
「あはは、ありがと~」
「あ゛!その顔!!真に受けてないでしょう?!」
「あはは、今日天気いいね。外で食べよう。」
「~~~もうっ!!早く食堂行くよ!!」
「はぁ~い。」
僕がこの学校に来たのは、クロヴィスさんの近くにいたかったからっていうのが一番の理由。
でもこうやってクラスメイトが話しかけてくれて、アントス先輩が親切にしてくれて。
きっと卒業する頃には、この学校に来てよかった理由がたくさん増えてるんだろうな~って。
そう思うと、僕はやっぱり幸せな気持ちになって心がふわふわふわ・・・・・・・・・してたんだけどなぁ。
この時まで。
「いいなぁ~、羨ましい。やっぱり凄い人には、みんな惹かれ・・・・・・あ、あれ?ラウーくん・・・?どうしたの・・・?」
「・・・・・・・・・ナンデモナイヨ。」
食後のティータイム。
香りのいい紅茶を飲んでいると、たまたまそこに居合わせた魔法科の先輩。
ティフくんによると、三年生次席の人らしい。
で、その人の隣には何やら距離が近い人が居て、二人ともとっても幸せそう。
ティフくんはその光景に『やっぱりそうなんだ~』とにこにこ微笑んでいた。
やっぱりって何?と聞いた僕は、とんでもない噂を耳にしたわけである。
「三科(魔法科、士官科、史科)の首席や次席の人、みんな恋人がいるって本当だったんだね!」
「こ、こ、こ、恋人ぉ・・・?」
「・・・?成績上位者は将来有望だし、恋人が居ても全くおかしくはないよね。というか、狙ってる人多いって聞くし。」
「ね、ね、狙っ、狙ってる・・・?!」
「だって学生の間に良い人と親しくなっておかないと、やっぱ働き出したらそれどころじゃないもん。」
「な、な、なるほど・・・?」
そ、そ、そうだよね。
僕の上の兄さんだって、そうだもん。
学生の間に今の結婚相手とお付き合い始めて、今すでに子どもが三人ずついるし。
いつ遊びに行っても幸せオーラ全開!羨ましい!
・・・じゃなくて、待て待て。
ってことは、士官科のトップ成績者であるクロヴィスさんにも、こ、こ、恋人がいる・・・!?
そもそも確認したことなかった・・・!
だって、僕が恋人になりたかったんだもん・・・!!
「・・・ねえ、ラウーくんにもやっぱり恋人がいるの?」
「んええ?!こ、こ、こ、恋人!?」
「ま、そりゃいるよね。ラウーくん今もモテ」
「いないよ!!!?いない!こ、こ、恋人だなんて、今まで居たことないし!!?」
「ラウーくん?!こ、声!声が大きい・・・!!」
「あっ・・・・・・・・・ゴメンナサイ・・・・・・」
ガタッと椅子が倒れそうな勢いで立ち上がった僕。
周りをそろ~っと見渡すと、物凄い視線を感じる。
ここ、人が多い食堂のテラス席でした・・・っ!はっ、恥ずかしい・・・!
ペコペコ必死に頭を下げてから、一音も音を立てないように着席。
僕、今絶対顔真っ赤。
「・・・うわぁ~・・・これは・・・マズイ・・・非常にマズイ・・・」
「ごっ、ごめんね!ぼ、僕、声大きかったよね・・・みんな食事中なのに・・・」
クロヴィスさんは僕の幼馴染であって、憧れであって、片思いの相手。
在学中に猛アタックするつもりでいるけど、恋人だなんてまだまだ程遠い。
恋人って言葉に思わず願望増し増しでクロヴィスさんを思い浮かべてしまったけど、危うくとんだ勘違い野郎になってしまうところだった。
それを主張したかっただけなのに、ティフくんを巻き込んで悪目立ちしちゃって・・・・・・反省します。
ほら、その証拠に、目の前に座るティフくん頭抱えてるし。
僕が更に付け足して「本当にごめんね」と謝ると、「違うそうじゃない」と更に頭を抱え出した。
「・・・・・・ああ・・・ほら、狼がいっぱいいる・・・ラウーくんのこと獣の目で見てるよ・・・」
「・・・・・・?狼の獣人は少なくて珍しいんでしょう?沢山在学中なんてやっぱこの学校凄いねぇ。」
「・・・・・・」
「え?な、なんで、黙るの?!僕また変なことしちゃった?!」
「・・・・・・ラウーくん、これから毎日僕とご飯食べよう?」
「え!いいの?!やったーーー・・・じゃなくて!!」
「・・・・・・ラウーくんには敵わないけど・・・こう見えて僕強いから安心して・・・」
「・・・ありがと・・・?」
「どういたしまして・・・・・・」
昼食友達ができてしまった!嬉しい!
僕を見て、ははは、と力無く笑うティフくんには悪いけど、僕は嬉しさの方が勝ってしまって、顔のによによが止まらない。
僕は懲りもせず、うーんと手を伸ばし、ティフくんの頭をよしよしと撫でた。
また耳がピーンと立った、赤面ティフくんにめちゃくちゃ怒られたのは言うまでもない。
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