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2・一人囲まれ、槍刺され(閲覧注意)
しおりを挟むやわらかな草の感触。青い匂い。土の匂い。
薄らと目を開くと薄暗い。
朝だろうか? 夜だろうか?
何処かが痛い感じはしない。けれど身体に力が入らない。
……ええと、何がどうなったんだろ?
ゆっくりと身を起こそうとした時。
「っあ!!!」
肩。右肩にどん、と衝撃。
瞬時に脂汗がぶわりと滲む。
右肩が焼けるように熱い。
いいえ、これは。
これは、激痛!
「っ、ぃたぁ、ああああッ!!」
「うるさい!」
左頬に衝撃。
何か鋭いモノに斬り付けられた感触。
ヌルヌルとしたものが伝う感触。
血だ。
ああ、しびれて何も感じていなかった右肩からも液体がぼたぼたと、腕を伝って指先からポタポタと。
私の喉は引きつって、恐る恐る激痛を見る。
右肩には長い木の棒が続いていて、私に刺さっているのはサビ混じりの金属で。ああ、いわゆる槍と、いうもので。私の肩は地面に縫い付けられていた。
なに? なに??
私は訳が分からない。
槍?? そんなもの見た事がなかった。
どうしてそんなモノが私の肩に突き刺さっている?
視界正面、ギラリと光る白刃。
血が滴っている。
私の左頬を斬り付けて付着した血。
更にその上。
剣を持つ手、ぶよぶよとした腕、醜悪な男の顔。
見慣れない衣服。
簡素だけれど、例えば日本の昔の農民とかじゃないのは分かる。
どちらかというと西洋風。
というか、実際の昔の西洋の服というより、どことなく西洋ファンタジー的な格好をしている。
剣と槍をもった素朴な顔の素朴な衣服の男達が6人くらいで、私の周りを取り囲んでいた。
「異界からの漂流物か?」
「違うだろ。だってこの女普通じゃん」
「別に聖なる気配ないしな。むしろ汚染されてるんじゃないか?」
「傷を見ろ。まだ癒えてない」
「ならアレのお手つきではない人間の女、か。レアモノだな」
男達は私を下卑た目で見下して、ニタニタしながら好き勝手に話し合っている。私は男が柄を持ったままの槍で地面に右肩ごと突き刺されていて、目の前が真っ暗になりそう。血もたくさん流れて止まらない。気が遠くなりそう。
でも、失神なんてしていられない状況だという事は分かる。
突然挨拶もなしに槍で刺して、悲鳴を上げたら五月蠅いからと左頬ざっくりとか、どう考えてもこの男達サイコパス。や、挨拶されたら槍ザックリしていいって訳じゃないけどさ。
「は~俺達と同じ人間の女が貴重っておかしいよなぁ?」
「そりゃ女は基本、貴族や金持ちの所有物だし。そうでなくても監禁孕ませ機。自由に出歩く女って初めて見たわ」
「仕方ない。女ってすぐ人狼どものメスに成り下がるからな」
「んですぐ孕まされて人狼ども殖やしまくるし。馬鹿かと」
「害獣どもを頑張って殺しまくってる俺達の苦労も知らずにさあ」
「ホント馬鹿は俺らがキチンと管理してやらないと」
「俺らが管理してやるんだから、有り難くヤらせろよなァ?」
「まだ若そうだ。俺達一人につき最低二人、孕ませよう」
「ああ貴重な繁殖用の女だ、今はかけるだけにしておけ」
「口に突っ込むのは?」
「ここは封印の森だぞ。後にしろ。…………だがまあ、初めて見る若い女だ、気持ちは分かる。ひと抜きだけなら、まあ大丈夫だろう」
「ああ。足の腱を斬っておけ。女に自由を与えておくと碌な事にならないからな」
なに。なにこの会話。
いってる意味が分からない。
痛いし、いたいし、痛いし、とにかく頭が上手く回らない。
あしのけん? あしのけんって何だっけ??
私は訳も分からず後退ろうとしてみたけれど。
右の肩が槍に突き刺さったままだったから。身動きしてしまった所為で、脳髄に鋭く響く痛みがガンガン増しただけ。
「何? いっちょ前に嫌がるの? 生意気だなあ」
「女に男を拒める権利なんてあるかよ」
「女なんて身体にしか価値がないんだ。俺達男の手を煩わさせずにさっさとカタワ化処理されろ」
汚い手が伸びてくる。
伸びてくる。
伸びてくる。
土に、垢にまみれた気持ち悪い手。
それらが四方八方、私の腕を、手を、胸を、腰を、太ももを掴む。
色んな男達の手が、おぞましい手つきで無遠慮に撫でつつ拘束。
小馬鹿にした気色の悪い笑い声だけが聞こえてくる。
無理矢理身体をひねらされて、私は喉が裂けんばかりに悲鳴を上げる。槍の刺さった右肩からまた肉の裂ける音がした。
私の悲鳴に男達はああぁ~と何故か感じ入った声を上げる。
涙ににじむ視界、何処を見ても性処理道具を見る男の目。
私を人格ある、彼らと同じ人間であるとは見なしていない目。
暴れる脚が、また取り押さえられる。
気色悪く感触を味見されながら。
かかとを、固定される。
脚の腱を、斬るために。
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