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第0章 紫の乙女は日本に降り立つ
0-3 紫の乙女は日本に降り立つ
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わたしは夢をみた。
ウルの森の夜はとても寒くて厳しい。昼間はなんでもない気温でも、夜になると全身が震えるほどの寒さになる。その厳しい寒さゆえに、夜に活動する生き物が少ないのが唯一の救いなほど。昼間に雨が降ったからか、その日はいつもより、とても寒い夜だった。
「なんだよ、ひとの家の前に犬を捨てていくなんて常識考えろよな。しかもご丁寧に箱に「捨て犬です、やさしいひと拾ってください」ってなめてんのか。しかも、まだ子犬じゃねぇかよ、雨の日に捨てるとか、正気かよ。こいつを捨てたやつはぜってーろくな死に方しないぜ。」
「うわっ、よく見たらボロボロなうえに、泥だらけじゃねえか、生きてる・・・・んだよな?ほんとに最近の世の中はどうなってんだ、くそったれめ。まぁ、見つけちまったもんはしょうがないか。こんな雨の中で、このままにしておいたら死んじまいそうだしな。ごめんな、本当ならまだ親に頼って、親と一緒に生活してるはずなのに、人間の都合でこんな扱いを受けて。」
「んー、体温と息はあるから生きてはいるな。でも、犬ってこんなに体温低かったか?結構やばそうな感じがするな。この時間じゃ、もう病院あいてないだろうし、まいったな。とりあえず、雨に濡れた体をバスタオルで拭いて、毛布でくるむか。あとは暖房くらいか?ちくしょう、誰だよ、こんなにちいさいのにひどいことするやつは。」
わたしは夢をみた。
私は寒さで全身が震えて、その夜はとても眠れる状態ではなかったけど、お父さんとお母さんが隣にきて、ひとかたまりになって温めてくれた夜。両親のぬくもりに包まれて過ごした、寒いけど幸せな夜の夢。
「濡れた体をタオルで拭いた、よし。ついでに風呂で洗うまでバスタオルでくるんでと、よし。毛布かけてと、よし。おっと顔の周りだけはしっかり開けとかないとな、よし。野生の生き物だからあんまり温めすぎてもだめだよな。電気カーペットを弱設定にして座布団敷いて、その上に毛布の毛玉お化けをのせてと、よし。こんなもんかな。あとは、目が覚めたらメシか。って、犬って何食うんだ?犬なんて飼ったことないからドッグフードなんてないぞ。まぁ、ネットで調べるか・・・・」
「ふむ、今家にあるものだと水分補給でトマト、キュウリ。あとはゆでてつぶしたジャガイモってところか。起きたら食欲があるといいんだが。トマトのヘタはのどに詰まる可能性があるから取って与えることか、キュウリもそうするか。ゆでたジャガイモは適当につぶして、粗熱をとっておくか。猫は熱いのだめだというし、犬も一緒だろう。人間じゃないから塩での味付けとかはいらんな。」
「よし、体温は上がってきたな。あとは目が覚めて、食欲があれば大丈夫そうだな。うーん、明日の朝までに目が覚めなかったら、朝一で病院に連れていくか。ってか、目が覚めたらいきなり襲い掛かって噛みついてくるとかないよな?だいじょうぶだよな?フラグじゃないからな?大切だから2回言うぞ?フラグじゃないからな?」
私は夢をみた。
これはつい最近あった出来事?大樹様の声が聞こえる。
『私の巫女よ、よいですか。目を覚ましたら、見知らぬ地で不安もあると思いますが、最初に出会うものとの縁を大切にしなさい。きっとあなたの助けとなってくれます。』
はい、大樹様。
「今日はもう目が覚めそうにないな。うーん、心配だし、今日は隣で寝るか。犬って何が必要なんだろう。これから飼うにしても明日はいろいろ買ってこないとな。」
大樹様と別れてから、どれくらいの時間がたったのだろう、目が覚めた。周りは真っ暗だ。でも、もこもこしてふわふわでとても温かい。ちょっと前まですごく寒かった気がしたけど、気のせいだったのかな。
ふと気づいた。いつもと匂いが違う。知らない場所だ。
少し離れたところに大きな寝息が聞こえる。知らない匂い。私は一瞬びくっと身を固めたが、すぐに大樹様の言葉を思い出した。
「わん?」
それが後に私の運命を大きく変えるであろう、初めてのニンゲンという生き物との出会いだった。
ウルの森の夜はとても寒くて厳しい。昼間はなんでもない気温でも、夜になると全身が震えるほどの寒さになる。その厳しい寒さゆえに、夜に活動する生き物が少ないのが唯一の救いなほど。昼間に雨が降ったからか、その日はいつもより、とても寒い夜だった。
「なんだよ、ひとの家の前に犬を捨てていくなんて常識考えろよな。しかもご丁寧に箱に「捨て犬です、やさしいひと拾ってください」ってなめてんのか。しかも、まだ子犬じゃねぇかよ、雨の日に捨てるとか、正気かよ。こいつを捨てたやつはぜってーろくな死に方しないぜ。」
「うわっ、よく見たらボロボロなうえに、泥だらけじゃねえか、生きてる・・・・んだよな?ほんとに最近の世の中はどうなってんだ、くそったれめ。まぁ、見つけちまったもんはしょうがないか。こんな雨の中で、このままにしておいたら死んじまいそうだしな。ごめんな、本当ならまだ親に頼って、親と一緒に生活してるはずなのに、人間の都合でこんな扱いを受けて。」
「んー、体温と息はあるから生きてはいるな。でも、犬ってこんなに体温低かったか?結構やばそうな感じがするな。この時間じゃ、もう病院あいてないだろうし、まいったな。とりあえず、雨に濡れた体をバスタオルで拭いて、毛布でくるむか。あとは暖房くらいか?ちくしょう、誰だよ、こんなにちいさいのにひどいことするやつは。」
わたしは夢をみた。
私は寒さで全身が震えて、その夜はとても眠れる状態ではなかったけど、お父さんとお母さんが隣にきて、ひとかたまりになって温めてくれた夜。両親のぬくもりに包まれて過ごした、寒いけど幸せな夜の夢。
「濡れた体をタオルで拭いた、よし。ついでに風呂で洗うまでバスタオルでくるんでと、よし。毛布かけてと、よし。おっと顔の周りだけはしっかり開けとかないとな、よし。野生の生き物だからあんまり温めすぎてもだめだよな。電気カーペットを弱設定にして座布団敷いて、その上に毛布の毛玉お化けをのせてと、よし。こんなもんかな。あとは、目が覚めたらメシか。って、犬って何食うんだ?犬なんて飼ったことないからドッグフードなんてないぞ。まぁ、ネットで調べるか・・・・」
「ふむ、今家にあるものだと水分補給でトマト、キュウリ。あとはゆでてつぶしたジャガイモってところか。起きたら食欲があるといいんだが。トマトのヘタはのどに詰まる可能性があるから取って与えることか、キュウリもそうするか。ゆでたジャガイモは適当につぶして、粗熱をとっておくか。猫は熱いのだめだというし、犬も一緒だろう。人間じゃないから塩での味付けとかはいらんな。」
「よし、体温は上がってきたな。あとは目が覚めて、食欲があれば大丈夫そうだな。うーん、明日の朝までに目が覚めなかったら、朝一で病院に連れていくか。ってか、目が覚めたらいきなり襲い掛かって噛みついてくるとかないよな?だいじょうぶだよな?フラグじゃないからな?大切だから2回言うぞ?フラグじゃないからな?」
私は夢をみた。
これはつい最近あった出来事?大樹様の声が聞こえる。
『私の巫女よ、よいですか。目を覚ましたら、見知らぬ地で不安もあると思いますが、最初に出会うものとの縁を大切にしなさい。きっとあなたの助けとなってくれます。』
はい、大樹様。
「今日はもう目が覚めそうにないな。うーん、心配だし、今日は隣で寝るか。犬って何が必要なんだろう。これから飼うにしても明日はいろいろ買ってこないとな。」
大樹様と別れてから、どれくらいの時間がたったのだろう、目が覚めた。周りは真っ暗だ。でも、もこもこしてふわふわでとても温かい。ちょっと前まですごく寒かった気がしたけど、気のせいだったのかな。
ふと気づいた。いつもと匂いが違う。知らない場所だ。
少し離れたところに大きな寝息が聞こえる。知らない匂い。私は一瞬びくっと身を固めたが、すぐに大樹様の言葉を思い出した。
「わん?」
それが後に私の運命を大きく変えるであろう、初めてのニンゲンという生き物との出会いだった。
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